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電解水素化反応の反応機構解明に向けた in situ XAFS 測定の活用
Application of In Situ XAFS Measurements for Mechanistic Elucidation of Electrocatalytic Hydrogenation Reactions

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執筆者 Author

信田 尚毅 SHIDA Naoki[1]、跡部 真人 ATOBE Mahito[1]、井口 翔之 IGUCHI Shoji[2]

所属機関 Affiliation

[1]横浜国立大学 大学院工学研究院 Department of Chemistry and Life Science, Yokohama National University、[2]京都大学 大学院工学研究科 Graduate School of Engineering, Kyoto University

抄録/Abstract

 本稿では、ピリジン類を代表とする窒素含有芳香族化合物の電解水素化反応に関する最新の研究成果を紹介し、その反応機構解明においてビームラインBL14B2で実施したin situ X線吸収微細構造(XAFS)測定が果たした役割を詳述する。アニオン交換膜型電解セルとRh触媒を用いることで、常温・常圧かつ酸添加剤を用いずに、ピペリジンを高効率かつ定量的に合成することに成功した。XAFS測定では、反応中におけるRh種の還元過程を可視化し、電解運転条件において活性種としてRh(0) が発生していることを示した。本成果は、触媒設計・反応場制御・解析技術が融合することで、電解合成の高度化が可能であることを示しており、SPring-8 の放射光測定がその基盤として大きく貢献している。

本文

4 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.1 JUNE 2025 '30. LATEST 3ESEA3C) 横浜国立大学 大学院工学研究院 信 田 尚 毅、 跡 部 真 人 京都大学 大学院工学研究科 井 口 翔 之 電解水素化反応の反応機構解明に向けた in situ XAFS 測定の活用 Abstract 本稿では、ピリジン類を代表とする窒素含有芳香族化合物の電解水素化反応に関する最新の研究成果を紹 介し、その反応機構解明においてビームライン BL14B2 で実施した in situ X 線吸収微細構造( XAFS )測定が 果たした役割を詳述する。アニオン交換膜型電解セルと Rh 触媒を用いることで、常温・常圧かつ酸添加剤を 用いずに、ピペリジンを高効率かつ定量的に合成することに成功した。 XAFS 測定では、反応中における Rh 種の還元過程を可視化し、電解運転条件において活性種として Rh(0) が発生していることを示した。本成果 は、触媒設計・反応場制御・解析技術が融合することで、電解合成の高度化が可能であることを示しており、 SPring-8 の放射光測定がその基盤として大きく貢献している。 1.はじめに 21 世紀に入り、世界の産業構造はかつてない規 模での転換を迫られている。その中心にあるのが脱 炭素社会の実現という目標である。気候変動に対す る国際的な合意、すなわちパリ協定に端を発した温 室効果ガス排出削減の枠組みは、エネルギー ・ 輸送 ・ 製造といった従来の重厚長大な産業分野だけでなく、 化学産業にも大きな影響を与えている。 特に、化学産業はエネルギー集約型であることに 加え、製品ライフサイクルの中でもっとも上流に位 置する基礎化学品の製造過程において、大量の化石 資源を原料および熱源として用いている。そのため、 CO 2 排出量の全体に占める割合も無視できず、持続 可能な未来に向けたプロセス革新が不可欠とされて いる。 このような背景から、近年注目されているのが、 再生可能エネルギー由来の電力を直接駆動力とする 電解合成プロセスである。電解合成は、反応を電位 で制御し、電子そのものが試薬となるため、温度や 圧力に依存しない温和な条件での選択的な分子変換 を可能とする。とくに、熱的条件では制御が難しい 高選択的還元・酸化反応や、フロー系を通じたス ケーラブルな合成手法との親和性が高く、学術界・ 産業界を問わず関心が高まりつつある。 その中でも、芳香族化合物の電解水素化反応は、 電気化学の新たな応用先として特筆すべき領域であ る。芳香環を部分的または完全に飽和させることで、 分子構造を 2 次元から 3 次元へと変換することが可 能であり、医薬品・農薬・香料・高機能材料などの 合成において多面的な有用性を発揮する。 例えば、ピリジン類の水素化によって合成される ピペリジン類は、医薬品の極めて重要な構造単位で あり、その選択的な水素化手法の開発は、学術的に も産業的にも大きな意義を有する。従来の方法では、 高圧水素ガスや高温、酸添加剤を要し、環境負荷や 装置の安全性、操作性の面で多くの制約があった。 我々の研究グループは、こうした制約を打破すべ く、電気を用いた温和かつ選択的な芳香族水素化 反応の開発に取り組んできた [1] 。本稿では、近年報 告したピリジン類の電解水素化に関する研究成果 を起点として、 SPring-8 における X 線吸収微細構造 ( XAFS )測定が果たした役割と、今後の電解合成 研究における展望について述べる。 2.ピリジン類の選択的水素化とその課題 ピリジンは、窒素原子を 1 つ含む 6 員環状の含窒 素芳香族化合物である。その還元体であるピペリジ ンは、米国食品医薬品局( FDA )により承認され ている低分子医薬品の約 9 %( 2021 年時点)に含ま れている重要な化学構造である( 図 1a ) [2, 3] 。ピリ SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.1 (2025 年 6月号) 5 ۙ࠷の研究͔ら 図 1 .本研究の背景。 (a) ピペリジン骨格を有する医薬品の例、 (b) 不均一触媒を用いるピリジン類の水素化、 (c) 従来 的な電解反応を利用するピリジン類の電解水素化とその課題、 (d) 本研究の概要。文献1より転載。 a b c d N N HN Desired reactivity (not feasible) +e HN H NH H N H Non-selective side reactions Radical anion interemediate N H N H H N N H N N N N H N HN HOH H +e N Cathodic chamber Anodic chamber 1/4O 2 + 1/2H 2 O + e OH conduction through AEM Rh NPs OH Dimerization Partial reduction Applicable to various N -containing aromatic compounds AEM N N H HN Heterogeneous catalysis Ambient conditions Direct heterogeneous catalysis 30 to 160 o C, 20-60 atm of H 2 Pyridine ( 1a ) Piperidine ( 2a ) Pyridinium cation N O CN Me N N N N H Tofacitinib N H Piperidines HN O F O O Paroxetine Contained in 9% of approved drugs by 2021 H + 3H 2 (g) 3H 2 (g) ジン環の核水素化、すなわち 6e – /6H + の導入による 芳香環の還元は、ピペリジン骨格を構築する最も直 線的な合成法であり、化学的な変換法が様々開発さ れてきた。特に工業的に有用性の高い不均一触媒と 水素ガスを用いる核水素化反応は、古くから研究さ れてきた( 図 1b ) 。ピリジンをルイス酸やプロトン 酸によって活性化することで比較的温和な条件で水 素化を行うことができるが、これは資材コストの増 加や後工程の煩雑化につながるため、添加剤無し の水素化反応が望ましい。しかし、添加剤を用い ない水素化の多くが高圧( 20 – 60 atm )および高温 ( 30 – 160 ℃)条件によって反応を駆動している [4 ‒ 6] 。 このような文脈において、電解水素化は極めて有 望な選択肢と考えられる。電気エネルギーを直接反 応駆動力とするため、熱源としての化石燃料への依 存を回避できるほか、反応場を細やかに制御できる という利点がある。特に、再生可能電力と連動させ ることで、 CO 2 排出ゼロの分子変換を実現するポテ ンシャルを持つ。 実際、電気化学的なピリジン類の水素化反応は 100 年以上前にも研究が行われているが [7] 、意外な ことに現在に至るまで効率的かつ選択的に、ピリジ ン類をピペリジン類へと変換する電気化学な手法は 存在しなかった。この原因として、一般的な電解反 応では電極からピリジン環に電子が注入されるス テップから反応が開始するが、ここで形成されるラ ジカルアニオン種が極めて不安定であるため、プロ トン化を受ける前に 2 量化などの副反応が起こって しまう( 図 1c ) 。このように電子注入とプロトン付 加が段階的に進行する反応機構において、 6e – /6H + の受け渡しが必要となるピリジン→ピペリジンの変 換は極めて難易度が高いと言える。 本研究では、アニオン交換膜( AEM )型リアク ターを活用し、炭素担持 Rh 触媒( Rh/KB )を用い ることで、ピリジンからピペリジンへの 6 電子還 元反応を、常温・常圧・酸添加剤なしで実現した ( 図 1d ) 。本研究で用いた AEM 型リアクターにおい ては、金属触媒表面に発生する水素化性種( H ads ) がピリジンに付加することで、電子とプロトンが同 時に受け渡しされ、不安定なラジカルアニオン中間 体の形成を回避することができ、これによって効率 的な反応が実現されている。加えて、本研究の大き な特長は、 in situ XAFS 測定によって、触媒表面に おける Rh 種の還元過程を追跡した点にある。この ように、反応場の設計とその場構造解析を組み合わ せた戦略こそが、持続可能な分子変換の実現に向け た鍵であると考えている。 3.本研究の概要と主な成果 本研究では、窒素含有芳香族化合物の代表である ピリジン誘導体に対して、常温・常圧かつ酸添加剤 を一切用いない条件下で、定量的かつ高選択的に水 6 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.1 JUNE 2025 '30. LATEST 3ESEA3C) 素化反応を進行させることを目的とした。そのため の中核的な技術基盤として、 AEM 型リアクターを 設計・構築した( 図 2a ) 。 本電解セルの特長は、従来のバッチセルとは異な り、陽極と陰極が固体高分子膜(ここではトクヤマ 製 A201 膜)によって密着している点にある。この 構造により、膜内部でのイオン輸送により回路が成 立するため、電解質溶液中に支持電解質を添加する 必要がない。さらに、反応液がポンプによって電解 セル中に送液されるフロー型電解であるため、ス ケーラビリティに優れ、実用性が高い。 触媒には、ロジウム( Rh )をケッチェンブラッ ク( KB )に担持した Rh/KB 触媒を最適とした。電 極 は カ ー ボ ン ペ ー パ ー を 担 体 と し、 触 媒 イ ン ク をスプレー塗布することで電極( Catalyst-Coated substrate, CCS )を作製した。実験では、基質とし てピリジン( 1.0 mmol )を含む水溶液を陰極側電解 液として用いた。陽極では、陰極で生成した OH – が酸化され酸素を発生する反応が進行するため、特 に電解液を流通させる必要はなく、大気に解放して いる。電解は定電流条件下で行い、 通電量 ( F mol – 1 ) と生成物収率の相関を評価し、電流効率として算 出した。結果として、 Rh/KB 触媒を用いた系では、 99% 以上の収率でほぼ定量的にピペリジンが得られ、 副生成物が一切検出されないことを確認した。一方、 本反応の成否は電極触媒の金属種に強く依存するこ とを見出しており、例えば同じ白金族であるプラチ ナ( Pt )を用いた場合にはほとんど目的の反応は進 行しなかった。 特筆すべきは、反応後期に至るまで、電流効率が ほぼ 100% に近いという点である ( 図 2b ) 。すなわち、 投入した電気エネルギーのほとんどが目的生成物の 形成に寄与しており、副反応としての水素発生反応 ( HER )は極めて抑制されている。この結果は、電 極表面での選択的吸着と脱離のバランスが良好であ ることによって、選択性を発揮していることを示唆 する。 さらに本反応系は、ピリジンのみならず、他の含 窒素芳香族化合物にも適用可能であることを実証し た。たとえば、キノリン、ピラジン、さらには電子 豊富な含窒素芳香族化合物であるピロールにも拡張 でき、それぞれにおいて高い変換率と収率、選択性 が確認された( 図 1d ) 。 これらの成果は、従来の熱的還元反応に比べ、は るかに温和な条件下で、高付加価値の化合物群を効 率よく合成可能であることを実証したものである。 さらに、このような反応系を理解し制御するために は、触媒表面で進行する電子状態や中間体の挙動を その場観測により可視化する必要がある。次節では、 その鍵となった in situ XAFS 測定について詳述する。 4.機構解明における in situ XAFS 測定の意義 電解反応の最適化において、反応中における触媒 の電子状態や構造変化を把握することは極めて重要 である。とりわけ、遷移金属を担体に分散させたナ ノ粒子触媒の場合、表面の酸化還元状態、配位環境、 粒子サイズ、集合状態などが反応性に大きな影響を 図 2 .ピリジンの電解水素化 (a) AEM 型リアクターを 用いた反応系の概略、 (b) 定電流電解におけるピ ペリジン生成量と電流効率の通電量依存性。文献 1 より一部改変し掲載。 1a 2a b 5.0 7.5 9.0 Charge passed / F mol - 1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (bar) Yield of 1a and 2a / % (plot) Current efficiency for 2a / % 1a 2a Circular flow operation at 120 mL h - 1 a AEM MEA SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.1 (2025 年 6月号) 7 ۙ࠷の研究͔ら 与えることが知られている。しかしながら、これら の情報は従来の ex situ 分析手法では把握が困難で あり、反応中の真の活性状態を捉えるためには、 in situ (または operando )測定によるリアルタイム観 測が不可欠である。 本研究においては、 SPring-8 の BL14B2 ビームラ インにおいて、 in situ XAFS 測定を実施した。特に、 XANES 領域のスペクトル変化から、反応条件にお ける Rh 種の電子状態を観測することを目的とした。 測定セルの設計 in situ 測定には、 X 線窓を有しながら電解反応の 効率を損なわない特殊なセル設計が求められる。本 研究では、我々が以前に開発した in situ 赤外分光 ( IR )測定用レーザー透過型電解セルの設計思想を 継承し、 X 線に対しても高い透過性を有する材料構 成へと最適化を行った。 IR 測定用セルは、我々の研 究グループにおいて、固体高分子電解質電解環境下 における H ads の直接観測 [8] 、ならびに中間体の吸着 様式を可視化する目的で開発されたものである [9] 。 そ の 基 本 構 造 は、 中 央 に 高 分 子 電 解 質 膜 を 挟 み、両側に触媒層を担持した電極を密着させ、レー ザーや X 線が通過する小型窓を配置したものであ る( 図 3a ) 。これにより、通電しながら任意の波長 の放射光を電極界面に照射し、反応中の構造変化 をリアルタイムで検出できる。 IR 測定においては CaF 2 窓を用いたが、 XAFS 測定にあたりポリイミド フィルムを窓材として使用し、電解と in situ 測定の 両立を実現した。また,測定対象であるカソード の Rh K 端の測定を妨げないよう、アノードとして 酸素発生の触媒能を有する DSE © 電極を用いた。本 セットアップにより、透過法による in situ XAFS 測 定が可能となった( 図 3b ) 。 今回の XAFS 測定では、このセルに Rh/KB 触媒 を担持したカーボンペーパーを取り付け、反応条件 下(定電流電解)における Rh K 端 XANES スペク トルの変化を追跡した。 XAFS による酸化状態変化の可視化と構造解析 XANES スペクトルの測定により、反応開始前の Rh 種には Rh(0) と Rh(III) が混在していることが示 された。これは、触媒調製および電極作製後の空気 酸化によって特にナノ粒子表面に酸化物層が形成さ れていたためと考えられる。通電を開始すると、時 間とともに XANES スペクトルに変化が現れ、 Rh K 端の吸収端位置が低エネルギー側へシフトするとと もに、ホワイトライン強度が低下した。よって、電 気化学的に Rh 種が逐次的に Rh(0) へと還元されて いくことが明らかとなった( 図 3c ) 。 計算科学への展開と機構解析 Rh(0) が反応における触媒活性を有するという in situ XAFS 測定の知見に基づき、密度汎関数( DFT ) 計算を実施した。吸着→電解水素化→脱着の過程を それぞれシミュレーションした。 Rh(0) 上での水素 化反応のエネルギーダイアグラムを解析したとこ ろ、生成物であるピペリジンの脱離過程に最も多く のエネルギーが必要となっており、この段階が律速 段階であることが示唆された。また、触媒活性をほ とんど示さなかった Pt においても脱着過程のエネ 図 3 . in situ XAFS 測定。 (a) in situ XAFS 測定に用いた電解セルの概観、 (b) BL 14 B 2 において構築した実験のセット アップの写真、 (c) 得られた Rh K 端 XANES スペクトル。文献 1 より一部改変し掲載。 a c 23180 23205 23230 23255 23280 Normalized intensity / a.u. Photon energy / eV 336 s Before electrolysis Rh foil After electrolysis X-ray b 8 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.1 JUNE 2025 '30. LATEST 3ESEA3C) ルギー計算を行うと、 Pt はピペリジンの脱着によ り大きなエネルギーを要することも示唆された。こ のように、 in situ XAFS 測定によって反応系中で Rh(0) が生成することを実証したことで、 DFT 計算 における正確なモデルを選択することが可能となり、 触媒の金属種が反応のどのステップに影響を与え、 反応速度や収率に違いを与えたのかを明らかとする に至った。 合金電極触媒の解析 さらに我々は、 Ni ・ Co ・ Fe 系の非貴金属触媒を用 いた AEM 型リアクターにおけるアルコール酸化反 応の検討を行い、その過程で XAFS 測定を活用した 触媒の電子状態評価を行っている [10] 。本研究では in situ 測定ではないものの、 NiFe や NiCo 合金触媒 の XANES および EXAFS 解析を通じて、構成元素 の混合状態や酸化還元挙動の違いを明らかにした。 このような XAFS による電子状態・局所構造の解 析は、触媒活性点の設計指針となり、非貴金属を用 いた高選択的反応系の構築に貢献している。 6.おわりに 本稿では、我々の研究グループが近年発表したピ リジン類の電解水素化反応に関する研究成果を軸 に、 SPring-8 での in situ XAFS 測定が果たした役割と、 そこから得られた知見について紹介した。電解反応 という、動的な反応場における触媒の構造や電子状 態を、リアルタイムかつ高精度で捉える手段として、 放射光 XAFS は極めて有効であり、反応機構の定量 的解明にとって不可欠な分析技術となっている。ま た、 in situ 測定のみならず、静的条件下での XAFS 解析も材料開発や構造 – 性能相関の確立に大きく貢 献しうることを示した。 SPring-8 という世界有数の放射光施設は、物質 の深部構造と反応の本質を “ 見る ” ための窓であり、 その可能性は無限と言える。今後も、電気化学と放 射光科学が緊密に連携し、エネルギー・物質変換・ 環境のあらゆる分野において新たな価値を創出して いくことを、我々は確信している。 本稿に掲載した XAFS 測定は、すべて SPring-8 の BL14B2 において実施したものです。測定にあたり、 公益財団法人高輝度光科学研究センター 主幹研究 員 渡辺剛 博士には、反応系の設計から組み立てま で、大変なご尽力を賜りました。この場をお借りし て厚く御礼申し上げます。 本研究を実施するにあたり、 AEM およびアイオ ノマーは株式会社トクヤマのご厚意により提供され たものです。また、本稿に示した研究成果は、多く の共同研究者のご尽力により発表に至ったものです。 関係各位に厚くお礼申し上げます。 参考文献 [ 1 ] N. Shida, Y. Shimizu, A. Yonezawa, J. Harada, Y. Furutani, Y. Muto, R. Kurihara, J. N. Kondo, E. Sato, K. Mitsudo, S. Suga, S. Iguchi, K. Kamiya, M. Atobe: J. Am. Chem. Soc . 146 (2024) 30212- 30221. [ 2 ] E. Vitaku, D. T. Smith, J. T. Njardarson: J. Med. Chem. 57 (2014) 10257-10274. [ 3 ] P. Bhutani, G. Joshi, N. Raja, N. Bachhav, P. K. Rajanna, H. Bhutani, A. T. Paul, R. Kumar: J. Med. Chem . 64 (2021) 2339-2381. [ 4 ] F. Chen, W. Li, B. Sahoo, C. Kreyenschulte, G. Agostini, H. Lund, K. Junge, M. Beller: Angew. Chem. Weinheim Bergstr. Ger . 130 (2018) 14696- 14700. [ 5 ] W. Qian, L. Lin, Y. Qiao, X. Zhao, Z. Xu, H. Gong, D. Li, M. Chen, R. Huang, Z. Hou: Appl. Catal. A Gen . 585 (2019) 117183. [ 6 ] F. Martinez-Espinar, P. Blondeau, P. Nolis, B. Chaudret, C. Claver, S. Castillón, C. Godard: J. Catal. 354 (2017) 113-127. [ 7 ] J. G. Keay: Comprehensive Organic Synthesis, Elsevier. (1991) 579-602. [ 8 ] J. N. Kondo, S. Ge, T. Suzuki, R. Osuga, T. Matsumoto, T. Yokoi, Y. Shimizu, A. 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