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大学院生提案型課題(長期型)報告
高温高圧下における鉄の水素誘起体積膨張係数
Hydrogen-induced volume expansion of iron under high-PT conditions

執筆者情報

執筆者 Author

森 悠一郎 MORI Yuichiro

所属機関 Affiliation

東京大学 大学院理学系研究科 地殻化学実験施設
Geochemical Recerach Center (GcRC), Graduate School of Science, The University of Tokyo

抄録/Abstract

 水素は地球核の軽元素候補として重要な元素である。地球核の主要成分は鉄であるが、高圧条件下において水素は金属鉄に固溶し、鉄水素化物を生成する。このとき、水素は鉄の格子間に侵入固溶することで著しい体積膨張を引き起こし、密度や物性を変化させる。特に、水素化による密度変化は、地球核の密度欠損問題を考察する上で重要であるにも拘わらず、これまで十分に研究されてこなかった。本研究では、高温高圧環境でX線回折をおこなうことで、鉄水素化物の水素誘起体積膨張について詳細に調べた。

本文

東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 森 悠 一 郎 大学院生提案型課題(長期型)報告 高温高圧下における鉄の水素誘起体積膨張係数 Abstract 水素は地球核の軽元素候補として重要な元素である。地球核の主要成分は鉄であるが、高圧条件下において 水素は金属鉄に固溶し、鉄水素化物を生成する。このとき、水素は鉄の格子間に侵入固溶することで著しい体 積膨張を引き起こし、密度や物性を変化させる。特に、水素化による密度変化は、地球核の密度欠損問題を考 察する上で重要であるにも拘わらず、これまで十分に研究されてこなかった。本研究では、高温高圧環境で X 線回折をおこなうことで、鉄水素化物の水素誘起体積膨張について詳細に調べた。 1.序言 遷移金属水素化物中の水素原子は、金属の格子間 サイトを占有し金属特性を保持しつつ水素化物を形 成する。教科書的には鉄は hydride gap に属し、常 温常圧下において金属類似水素化物を形成しない。 しかし、高圧環境下ではその描像は変化する。水素 流体のギブス自由エネルギーの圧力依存性をみると 数 GPa では数倍に増加する [1] 。結果的には、 H 2 分 子は H 原子に解離して金属格子の隙間を占有した方 がエネルギー的に安定であるため、鉄水素化物を形 成する。固溶した水素原子は原子間距離を拡大する。 水素化による体積膨張は水素誘起体積膨張と呼ばれ、 地球惑星科学・物質科学において重要なパラメータ となる。水素誘起体積膨張 ( v H ) は、鉄水素化物の 体積 ( V FeH x )と純鉄 ( V M )の体積差を溶け込んだ水 素量 ( x ) で除して、単位胞中の金属原子数で規格化 することで求められる: v H = V FeH x - V Fe x . (1) ここで、地球核の軽元素(鉄よりも軽い元素を意 味する)としての水素に目を向ける。水素のケイ酸 塩-鉄メルト間の分配係数は非常に大きく、強親鉄 性元素とみなすことができる [2] 。さらに、水素は格 子間に溶け込むタイプの地球核の軽元素候補の中で は最も固体鉄 – 液体鉄間の分配係数が大きく内核の 軽元素候補としても有力である [3] 。このように、地 球核は地球深部の水素貯蔵庫として働く可能性が指 摘されている [2] 。他方、地震学的観測から地球核は 相当温度圧力の純鉄よりも密度が小さいことで知ら れている [4, 5] 。水素化によって引き起こされる有意 な体積膨張は鉄の密度を大幅に下げるため、地球核 の水素量を制約する上で、水素誘起体積膨張( v H ) の導入 ─ 鉄の水素化による体積膨張の定量化 ─ は非常に重要である。 鉄水素化物の水素誘起体積膨張は中性子回折と状 態方程式を組み合わせることにより、求められてき た。しかし、高温高圧中性子回折実験の性質上、測 定された条件は比較的低圧に限られる。そこで、本 研究では水素誘起体積膨張の( 1 ) 温度圧力効果, ( 2 ) 他軽元素の効果, ( 3 ) 磁歪による効果を調べ た。いずれのテーマも核中の水素量を制約する上で 重要であるが、ほとんど検討されていなかった。な お、ここでは hcp 構造の鉄水素化物を研究対象とす る。これは、鉄の高圧相で、地球内核条件の純鉄の 結晶構造の候補の一つであり、重要な相である。 2.結果 ( 1 ) hcp-FeH x の水素誘起体積膨張の温度圧力効果 これまで hcp FeH x の結晶構造精密化について中 性子回折による報告例は 2 例存在する [6, 7] 。しかし、 これらの v H は一致していない。地球核の密度欠損 を満たす水素量は v H を用いて推定することができ 112 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH るが、 v H を定数として扱っている先行研究が多い。 しかし、鉄水素化物の体積と純鉄の体積はそれぞれ の熱弾性定数が支配する状態方程式によって求めら れ、これらの体積差に比例する v H は圧力と温度の 関数で記述されるはずである。高圧下における水素 誘起体積膨張の温度依存性は高水素濃度における fcc FeH x でのみ探索されており、内核を構成する鉄 合金の結晶構造候補である hcp 構造を持つ hcp FeH x においてはその温度圧力特性がわかっていない。そ こで、 NaCl で作成したカプセル中に鉄と水素源で ある NH 3 BH 3 とともに封入して高圧下で ( ~12 GPa ) で昇温することで、 hcp FeH x を ‘ その場 ’ で合成した。 水素化による体積膨張が終わってから、 10 ‒ 25 GPa 、 300 ‒ 900 K において P ‒ V ‒ T 関係を測定し、 hcp FeH x の状態方程式を作成した。高圧下で鉄合金中に固 溶する水素量を結晶構造精密化から決定するには X 線回折では事実上不可能である。そこで、先行研究 において中性子回折がおこなわれた温度圧力点を本 研究で作成した hcp FeH x の状態方程式に代入して、 hcp Fe の状態方程式から決定される単位胞体積との 差分をとった( 図 1 ) 。 すると、固溶している水素量を x ~ 0.3 とするこ とで、先行研究の水素誘起体積膨張の不一致を「 v H の温度圧力依存性によるもの」として解釈できるこ とがわかった。 hcp Fe に比べて、 hcp FeH x はより 圧縮されやすい。また、 v H は温度とともに増加する が圧力の上昇とともにその効果は減衰した。これは、 高温高圧条件に向かうほど hcp FeH x の熱膨張の値 (≠熱膨張係数)は hcp Fe のそれに近い値に収斂す ることを示している。地球核の密度欠損から水素の 量を定量的に推定することは、本研究の温度圧力範 囲からの過度な外挿が必要となるため現実的でない。 しかし、以上の特性が広い温度圧力範囲にわたって 定性的な理解として成り立つ場合、 hcp 構造を持つ 純鉄の水素誘起体積膨張への温度効果よりも圧力効 果が顕著であり、低圧・高温で得られた v H を直接 使用する場合、核の水素量を少なく見積もってしま うことを表している。 ( 2 ) ケイ素の共存による効果 地球核の主要軽元素の候補としては水素の他に硫 黄、ケイ素、酸素、炭素などが挙げられる。中でも ケイ素は他の軽元素に比べて大きな固体鉄 / 液体鉄 の分配係数をとることで知られ、特に内核の軽元素 候補として有力視することができる。そこで、こ こではケイ素を含んだ系で v H がどのように変わる のかを調べる。鉄-ケイ素 2 成分系の相図を見ると、 ケイ素量が増えると、 hcp 相から hcp + bcc 相へ分 離する。このとき、ケイ素の分配が二相間で生じ てしまう。従って、ケイ素による v H の影響を調べ るためには、 hcp 単相での実験をおこなうことが直 接的である。そこで、ケイ素を 2.6 wt.% 含んだ Fe ( Fe 0.95 Si 0.05 )を出発試料として高温高圧実験をおこ なうことにした。課題設定は以下の二つである。 • Fe 0.95 Si 0.05 水素化物の水素位置・占有率の決定 先述の通り、高圧下で鉄中の水素量を結晶構造 精密化から決定するには中性子回折実験が必要で ある。これまでの鉄水素化物研究のほとんどは鉄 -水素 2 成分系に限られ、ケイ素を含んだ鉄の水 素化挙動の直接観察はなされていなかった。し たがって、 式 (1) における v H 、 x 両方ともに推定 することができない。そこで、 J-PARC MLF 高圧 専用ビームライン BL11 ( PLANET ) に設置の 6 軸 プレスを使用し、 12 ‒ 15 GPa, 300 ‒ 900 K の条件で hcp-Fe 0.95 Si 0.05 水素化物の中性子回折をおこなった。 図 1 本研究で得られた hcp FeH x と先行研究で得られ ている hcp Fe の状態方程式 [ 8 ] との比較 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 113 最近の研究から • Fe 0.95 Si 0.05 の状態方程式の作成 式 (1) で示す通り、 v H を求めるためには V Fe の 情報(正確には V Fe0.95Si0.05 )が必要である。高温 高圧下での中性子回折は解析に十分なプロファイ ルを取得するのに非常に時間がかかる。そこで、 Fe 0.95 Si 0.05 の状態方程式作成のために、放射光 X 線回折を用いた P ‒ V ‒ T 測定をおこなった。 得られた中性子回折プロファイルを結晶構造精 密化した結果、 図 2 に示すように、 hcp 構造をもつ Fe 0.95 Si 0.05 において水素は八面体サイトに固溶して おり、純鉄の場合と同様の固溶サイトをとった [6, 7] 。 放射光 X 線回折で得られたデータをもとに状態方程 式を決定して、 式 (1) を用いてケイ素の固溶が水素 化による体積膨張に与える影響を見積もった。する と、 hcp Fe 0.95 Si 0.05 の水素誘起体積膨張は、純鉄で報 告されているそれと比べて 10 ‒ 20% ほど大きいこと がわかった。 ここで得られた結果を用いて Si を含んでいる場 合の核中水素量の再検討を行ったところ、先行研究 の半分程度の水素量で地球核の密度欠損が説明さ れることがわかった。このことは 図 3 に示すように、 この結果は、これまでの研究がケイ素を含む地球コ アの水素含有量を過大評価していた可能性を示唆し ている [10] 。このように共存する軽元素は核の水素 量の見積もりに影響を及ぼし得る。 ( 3 ) 磁歪による効果 Fe の高圧相である hcp-Fe は非磁性体だが、水素 化した dhcp 構造を持つ FeH は強磁性体であること で知られる。この場合の強磁性の出現原理として最 も考えやすいのは、水素化による格子膨張(鉄の原 子間距離の拡大)によってフェルミ準位の状態密度 が増加し、 Stoner 条件を満たすようになることであ ろう。 dhcp FeH は加圧によって原子間距離が縮小す ることで、磁気モーメントが徐々に減少して強磁性 -非磁性転移が起こることが知られている。その相 転移圧力はメスバウアー分光測定 [13] や Fe K 吸収端 X 線磁気円二色性実験 [14] から報告されており、ま た不明瞭な境界ではあるものの圧縮挙動の変化 [15, 16] からも推定されてきた。一方でこれらの実験は室 温あるいは低温に限られている。 dhcp FeH の磁歪 とキュリー温度の圧力依存性は KKR-CPA 法を用 いた報告がされているのみである [17] 。そこで、 15 ‒ 25 GPa, 300 ‒ 850 K の範囲において降温過程で dhcp FeH の時分割 X 線回折実験をおこなった。得られ た温度-体積関係に着目することで磁性転移による 図 2 hcp 構造を持った Fe 並びに Fe 0 . 95 Si 0 . 05 を c 軸方向 からの投影した図(描画には VESTA を使用 [ 9 ] ) 。 格子間サイトは八面体サイト(緑色) 、四面体サ イト(赤色)の 2 種類であり、褐色、水色の点は それぞれ鉄原子、水素原子を表している。 図 3 ケイ素の固溶による水素誘起体積膨張の変化 灰色実線・破線はそれぞれケイ素を含んだ hcp 鉄 ( Fe 0 . 88 Si 0 . 12 )の水素化物ならびに非水素化物の圧 縮曲線を示す [ 11 , 12 ] 。ケイ素の固溶による水素誘起 体積膨張の変化は考慮せずに、 v H の値としては純 鉄の値 [ 6 ] の値を用いた場合、 v H の圧力依存性を見 積もった(赤破線) 。本研究の結果、ケイ素固溶 により v H は増大することがわかった(赤点) 。水 素による体積膨張がケイ素濃度に比例して増加す る場合、外核中の水素存在可能量が海水質量換算 で 10 倍程度減少する。 114 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH 熱膨張のアノマリーを検出した。この手法は常圧 では一般的に用いられる正攻法であり、 bcc 鉄など でも温度 – 体積関係からキュリー温度 ( T C ) が見積 もられているが [18] 、高圧下での応用例は殆ど見ら れなかった。 図 4 に測定された温度 – 体積関係を示 す。高圧下における自発体積磁歪によるインバー挙 動ならびに負熱膨張挙動が見られ、温度 – 体積曲線 における不連続点は T C として同定できる場合があ り、 T C の圧力依存性を決めることができる。 T C 直 下の自発磁化は臨界指数βを用いて ( T C ‒ T ) β に比 例すると記述される。 Landau 理論や平均場近似を Ising モデルへの適用することで得られる古典的な βは T ~ T C において 0.5 である。自発磁歪は磁気モー メントに依存することが知られている [19, 20] 。この 関係を用いて得られた T C の圧力依存性および体積 磁歪の温度依存性から臨界指数βは ~ 0.4 ‒ 0.5 と推 定された。この結果は、磁性転移による熱膨張のア ノマリーがスピン揺らぎの小さな強磁性 – 常磁性転 移として解釈されることを示している。自発磁歪と 磁気モーメントは Magnetoelastic-coupling constant ( C ) で結びつけられるが、圧力に対して正の依存 性を持つことがわかった。低圧で見られていたイン バー挙動が、高圧で負の熱膨張へと変化しているこ とは、圧力が増加するにしたがって磁気弾性の相互 作用が強くなったことに起因している。さらに、先 行研究の結果を用いて自発体積磁歪から磁気モー メントを推定する。 dhcp FeH の磁気モーメントは 4.2 GPa, 300 K で中性子回折から M ~ 2 μB と推定さ れている [21] 。一方で、常温における磁化の圧力依 存性は XMCD の信号強度変化から相対的に推定で きる。したがって、これら二つの先行研究を以って 300 K における圧力 – 磁化曲線を推定することがで きる。本研究結果ではある圧力における T C が推定 されているはずなので、平均場近似をもちいて高温 ( T > 300 K )における磁化を推定することができる。 強磁性領域の実測体積を常磁性領域の実測体積を強 磁性領域に外挿したところ、磁歪から得られる磁気 的寄与が理論予測の 20% 程度にとどまることを明 らかにした。また、実験手法としては非常に単純明 快でありながら、高温高圧下における磁歪の定量化 および磁性転移の検出に有効な手法を確立した。 3.結語 本研究では鉄水素化物の水素誘起体積膨張に関し て地球科学的に重要な諸効果がどのように影響を与 えうるかについて調べた。地震学的観測から得られ る惑星内部構造の理解には、物質の密度や弾性など のパラメータが不可欠であり、特に鉄は地球核やマ ントルにおいて重要な元素である。一方で、高温高 圧下では水素が顕著な親鉄性を示すことから、鉄水 素化物の物性は地球深部における水素の存在状態を 考えるうえで極めて重要である。また、火星や水星 などの他惑星における軽元素成分としても水素が候 補とされており、今後の惑星内部構造モデルの精緻 化に貢献するデータとなる。 一方、物質科学の観点からも、鉄水素化物は興味 深い研究対象である。特に dhcp 相は広い温度・圧 力範囲で安定に存在し、強磁性 – 常磁性転移の温度 圧力範囲は比較的 ‘ 適度 ’ な温度圧力領域である。水 素化に伴う体積変化の物理的起源は、水素の基底状 態エネルギーと格子エネルギーとのバランスに加え、 金属-水素間の電子相互作用などによる電子構造の 変化も含むだろう。金属水素化物において、水素化 による体積変化の背景にある物理的な起源は水素原 子の基底状態エネルギーと格子エネルギーの兼ね合 いによって決まる。しかし、常圧とは異なり、極限 実験でその起源を探ることは非常に難しい。金属- 図 4 鉄水素化物( dhcp 相)の温度-体積関係 ʻ 低温 ʼ 領域で磁歪の効果が見られている。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 115 最近の研究から 水素間の電子相互作用による電子状態の変化による 影響など化学的側面は明らかになっていない部分も 多い。水素化物の本質的な理解を深めるためにも分 野横断的な研究が必要だ。 4.謝辞 本研究における高温高圧下放射光 X 線回折実験は、 大学院生提案型長期課題 ( 2022A0314 ) の下おこなった。 鍵裕之博士、青木勝敏博士、高野将大氏(東大) 、 柿澤翔博士、辻野典秀博士、肥後祐司博士( JASRI ) には日頃より本研究に関する議論をしていただいた。 改めて感謝の意を表したい。また、利用推進部の池 端宏之氏にも事務的な手続きで日頃よりお世話に なった。この場を借りて感謝申し上げる。 参考文献 [ 1 ] H. 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