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Online ISSN 2760-3245 SPring-8 Document D2025-012 Vol.1 No.2 (SEPTEMBER 2025) SPring-8/SACLA/NanoTerasu INFORMATION 利用者情報 Vol. 1 No. 2 SEPTEMBER 2025 目 次 CONTENTS 1 .最近の研究から/ FROM LATEST RESEARCH 大学院生提案型課題(長期型)報告 放射光 X 線回折を用いた精密価電子密度解析による分子性結晶の研究 Research on Molecular Crystals by Precise Valence Electron Density Analysis Using Synchrotron X-ray Diffraction 東北大学 理学研究科/名古屋大学 工学研究科 原 武史 Graduate School of Science, Tohoku University /Graduate School of Engineering, Nagoya University HARA Takeshi 名古屋産業科学研究所/名古屋大学 澤 博 Nagoya Industrial Science Research Institute/ Graduate School of Engineering, Nagoya University SAWA Hiroshi ・・・・・・・ 107 大学院生提案型課題(長期型)報告 高温高圧下における鉄の水素誘起体積膨張係数 Hydrogen-induced volume expansion of iron under high- PT conditions 東京大学大学院 理学系研究科 森 悠一郎 Graduate School of Science, The University of Tokyo MORI Yuichiro ・・・・・・・ 112 大学院生提案型課題(長期型)報告 大規模 S 波低速度領域での地震波異方性の成因の理解に向けたフェロペリクレースの高温高圧大歪変形実験 Large-strain deformation experiments on the ferropericlase in situ at high pressure–temperature conditions: Towards understanding the origin of seismic anisotropy in Large Low Shear Velocity Provinces 東京科学大学 理学院地球惑星科学系 夏井 文凜 School of Science, Institute of Science Tokyo NATSUI Bunrin 東 真太郎 AZUMA Shintaro 太田 健二 OHTA Kenji ・・・・・・・ 117 2 .ビームライン・加速器/ BEAMLINES ・ ACCELERATORS ビームライン再編後の BL 35 XU における核共鳴散乱アクティビティ Nuclear Resonant Scattering in BL 35 XU after public beamline upgrade (公財)高輝度光科学研究センター 精密分光推進室 永澤 延元 Precision Spectroscopy Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute NAGASAWA Nobumoto 依田 芳卓 YODA Yoshitaka バロン アルフレッ ド BARON Alfred ・・・・・・・ 122 NanoTerasu 共用ビームライン BL 06 U の紹介 Introduction of public beamline at NanoTerasu : BL 06 U (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 保井 晃 NanoTerasu Promotion Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute YASUI Akira 神田 龍彦 KANDA Tatsuhiko ・・・・・・・ 126 NanoTerasu 共用ビームライン BL 13 U について Introduction of public beamline at NanoTerasu : BL 13 U (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 脇田 高徳 NanoTerasu Promotion Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute WAKITA Takanori ・・・・・・・ 132 利用系グループ活動報告 JASRI 回折・散乱推進室 回折構造生物チーム Activity Reports-Diffraction Stractural Biology Team, Diffraction and Scattering Division, JASRI (公財) 高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室 長谷川 和也 Diffraction and Scattering Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute HASEGAWA Kazuya 馬場 清喜 BABA Seiki ・・・・・・・ 144 3 .研究会等報告/ WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT 12th Hard X-ray FEL Collaboration Meetin g (公財)高輝度光科学研究センター XFEL 利用研究推進室 籔内 俊毅 XFEL Utilization Division, JASRI YABUUCHI Toshinori ・・・・・・・ 148 「第 25 回 SPring- 8 夏の学校」実施報告 Report on the 25 th SPring- 8 Summer School SPring-8 夏の学校実行委員会 委員長 木村 滋 Chair of SPring-8 Summer School Executive Committee KIMURA Shigeru ・・・・・・・ 152 4 . SPring- 8 /SACLA/NanoTerasu 通信/ SPring- 8 /SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 2022 A 期 採択大学院生提案型課題(長期型)の事後評価について Post-Project Review of Long-term Proposals Starting in 2022 A (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 最近 SPring- 8 、 SACLA 、 NanoTerasu から発表された成果リスト List of Recent Publications (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160 SPring- 8 /SACLA 研究成果公表 論文サイテーション数調査 2025 Statistical Analysis on Publications and Citations at SPring- 8 /SACLA 2025 (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 189 SPring- 8 /SACLA 有償利用料収入の実績 有償利用:成果専有と公開優先 The Revenue Results of the Fees for Beamline Use of SPring- 8 /SACLA / Fees for Beamline Use: Beamtime Fees for Proprietary Research & Program Fees for Non-Proprietary Grant Aided Proposal (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 194 専用ビームラインにおける評価・審査の結果について Review Results of Contract Beamlines 登録施設利用促進機関(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 Registered Institution for Facilities Use Promotion, User Administration Division, JASRI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 197 専用施設の設置計画趣意書承認について Letter of Intent for New Contract BL Approved ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 203 5 .告知版/ ANNOUNCEMENTS 今後の課題募集一覧 List of upcoming proposals ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 204 今後のイベント一覧 List of upcoming events ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 205 東北大学 理学研究科 物理学専攻 微視的構造物性 原 武 史 名古屋産業科学研究所 澤 博 大学院生提案型課題(長期型)報告 放射光 X 線回折を用いた精密価電子密度解析による 分子性結晶の研究 Abstract 本研究では放射光 X 線回折による価電子密度解析を分子性結晶に適応し、精密な価電子密度分布の観測に挑 戦した。高空間分解能及び高精度で観測された価電子密度分布は波動関数に由来した微細な構造を示し、長距 離電子相関まで考慮した理論計算の結果とも高い精度で一致した。この結果から、実験価電子密度分布は量子 化学計算と直接比較可能であることがわかった。さらには実験価電子密度分布と量子化学計算を組み合わせる ことで、π軌道のような価電子の各軌道成分の実空間分布を分離・抽出することにも成功した。 1.背景 化学結合は原子をつなぐだけでなく、分子に機能 を与える上でも重要な役割を果たしている。近年、 有機合成技術の発展により多種多様な機能性分子が 開発され、従来の単純化された混成軌道の概念を超 えた特異な化学結合が続々と発見されている。その 機能性を理解し、分子設計へ役立てるためには、化 学結合のメカニズムを理論的、実験的に明らかにす ることの必要性がこれまで以上に高まっている。そ こで筆者は量子力学的なモデルを用いずに結晶中の 価電子密度分布を実験的に抽出する手法により、化 学結合の詳細な情報を実験的に明らかにする研究に 取り組んだ [1] 。 2.研究手法 本研究では Core Differential Fourier Synthesis ( CDFS ) 法 が 研 究 手 法 の 中 心 的 な 役 割 を 果 た す。 この手法では、単結晶 X 線回折によって得られる実 験結晶構造因子から各構成原子の内殻電子の原子散 乱因子への寄与を差し引いてからフーリエ変換する。 これにより、フーリエ変換の打ち切りによるアー ティファクトを最小限に抑え、価電子密度分布の異 方性を抽出することができる [2,3] 。すなわち、量子 力学的なモデルに依存しない電子状態の直接観測を 可能としている。価電子密度分布の正しい異方性を 捉えるためには、回折強度の十分なダイナミックレ ンジと統計精度、高い空間分解能を持つデータの取 得が必要である。 原理的に、 X 線回折で得られる強度は電子数の二 乗に比例するが、ユニットセルに含まれる全電子の 内、少数の電子(価電子)の情報を精密に観測する ためには、 10 6 程度 (あるいはそれ以上) のダイナミッ クレンジが要求される。このダイナミックレンジを 保証する統計精度の測定を行うためには高輝度な X 線の利用が必須である。また、実験室系の Mo K α 線の波長(~ 0.7 Å )でこの手法を適応すると、異 方性の空間分解能が低いために電子状態の理解が困 難となる。以上の理由から、 SPring-8 などの高輝度 ・ 高エネルギーな X 線を用いた高精度・高分解能な X 線回折実験を実施することが必要不可欠である。 3.研究課題 本研究で対象とした分子性結晶は一般に結晶構造 の対称性が低く、複雑な位相の足し合わせにより平 均的な回折反射強度が小さくなる傾向がある。ま た、軽元素を含むために熱振動の影響が大きく、高 精度な電子密度分布を得る上で重要な高角領域の回 折反射強度の減衰が著しい。これら分子性結晶に SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 107 最近の研究から 一般的に見られる特徴は精密な価電子密度分布の 観測を妨げる要因となる。そこで、本研究では測 定・解析方法の見直しからはじめ、分子性結晶を対 象とした精密な価電子密度解析を実現することを 目標とした研究を行った。精度の高い検証を行う ため、電子状態がよく知られている標準的な 2 つの 分子としてアミノ酸の中で最も単純な構造を持つ Glycine ( C 2 H 3 NO 2 ) と核酸の構成要素として知られ る Cytidine ( C 9 H 13 N 3 O 5 ) の結晶を対象とした。 4.実験および計算 SPring-8 BL02B1 に て 単 結 晶 X 線 回 折 実 験 を お こなった。 X 線のエネルギーは Glycine に対しては 40 keV 、 Cytidine に対しては 38 keV で行った。検出 器は光子計数型半導体検出器 PILTUS3 X CdTe を用 いた。試料の温度制御には回折計に備え付けられ た He 吹付け装置を用い、 Glycine は 45 K 、 Cytidine は 35 K で測定を行った。測定はΔω= 0.1 ° の fine slice 法で行い、強度抽出は 3D profile fitting 法によ り行った。本研究で実施した検証では分子性結晶を 対象とする価電子密度解析において、特に強度の小 さい回折反射を精度よく測定・解析を行うことがで きるこの fine slice 法と profile fitting 法の組み合わせ が極めて有効であった。 CDFS 法による価電子密度 解析におけるフーリエ変換では Glycine ( C 2 H 3 NO 2 ) 、 Cytidine ( C 9 H 13 N 3 O 5 )の構成元素である C,N,O, につ いて、それぞれ 1s 2 を内殻電子とした。 長距離相関を考慮することで高精度な計算を可能 とする Long-range corrected density functional theory ( LC-DFT )による理論計算 [4] を共同研究者である 長谷部匡敏様(北大) 、常田貴夫教授(北大) 、武次 徹也教授(北大)に実施頂いた。計算は Gaussian 16 Rev. A. 03 プログラムを用いて、 LC-BLYP 汎関数 (μ = 0.47 ) 、 cc-pVTZ 基底関数の組み合わせで行った。 5.実験結果と考察 ま ず、 Glycine の 結 果 に つ い て 述 べ る。 図 1 に CDFS 法により観測された実験価電子密度分布と等 方的な原子散乱因子(等方性原子モデル)から計算 した全電子密度分布を示した。各原子の等方的な電 子密度分布が包絡的に重ね合わさることで、分子全 体にわたり滑らかな分布を示す。一方、実験価電子 密度分布では、所々が途切れたような複雑な離散構 造を持つ。これが本質的であるかを明らかにするた め、特に中心の炭素炭素単結合について波動関数 を用いた単純な結合モデルによる考察を行った。 炭素炭素単結合は、炭素の価電子である 2s 軌 道と 2p 軌道による混成軌道が炭素原子間において 同位相で重ね合わされた結合性軌道を作ることに よって形成される。このとき 2s 軌道は原子中心か ら 0.2 Å程度の距離に波動関数の振幅がゼロとなる 節(ノード)を持つことから、結合性軌道波動関数 においても炭素原子周りにノードが生じることにな る。これが実験価電子密度分布における炭素原子周 りで離散的なノード構造が見られた理由である。 続いて、結合中心付近の実験価電子密度分布に注 目すると、電子密度が薄くなっていることがわかる。 結合性軌道における原子間の波動関数の重なりにこ のような分布を示すことは直観的には理解できない。 そこで、高精度な LC-DFT 計算を実施した。 DFT 計算では実験から得られた構造パラメータを構造最 適化せずに使用しており、実験価電子密度と直接比 図 1 in situ XAFS 測定。 ( a ) in situ XAFS 測定に用いた電解セルの概観、 ( b ) BL 14 B 2 において構築した実験の セットアップの写真、 ( c ) 得られた Rh K 端 XANES スペクトル。文献 1 より一部改変し掲載。 108 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH 較できるように、全電子密度分布から各原子の 1s 2 軌道に対応する内殻電子軌道の寄与を差し引いた。 図 2 (a) , (b) に示すように理論価電子密度分布は全 体的に実験価電子密度分布と高い精度で一致を示し、 原子周りで見られるノード構造や炭素炭素結合中 心で電子密度が薄くなるなど微細な構造を含めて良 く再現している。この結果は、電子相関の影響を含 んだ分子軌道状態を実験的に捉えており、理論計算 と直接比較できる精度と分解能、波動関数の微細な 構造を含めた議論が可能であることを示している。 このように精密価電子密度解析が理論計算と直接 比較できる精度と分解能に達したことで両者を組み 合わせたより高度な解析が可能となる。ここでは、 五員環と六員環がつながったような分子構造を持 つ Cytidine に注目し、価電子内のπ結合のみの抽出 に挑戦した。六員環内の炭素炭素間で形成される π結合は分子平面内にノードを持ち、分子面垂直方 向に伸びた分布を示すことが期待される。まずはπ 結合をもたない単結合部位の実験価電子密度分布の 結合軸上断面図を確認した。例えば、五員環の C3 C4 結合二次元断面図をプロットすると (図 3 (a) 上部) 、σ結合の特徴である軸対称な分布が観測さ れた。次に、π結合の寄与が期待される六員環の C1-C2 結合についてみると、同様に軸対称な分布が 得られた (図 3 (a) 下部左側) 。これはπ結合とσ結 合が空間的に混在する価電子密度分布全体の特徴を 反映している。そこで、理論計算の結果と組み合わ せて実験価電子密度分布からπ結合のみを抽出する。 二重結合は、 2s2p 混成軌道による 2 σ結合と、余っ た 2p 軌道間で形成されるπ結合から構成される (図 3 (b) ) 。このうち、エネルギー的に安定な 2 σ結合 に相当する電子密度について理論計算から抽出した 電子密度分布を、実験で観測された価電子密度分布 から差し引けばよい。その結果が 図 3 (a) の下部右 側である。 この結果の電子分布は、分子面内ではノードと なっており、分子面に垂直方向に伸びた分布が得ら れ、予想されるπ電子分布の異方性と一致する。理 図 3 Cytidine におけるπ結合の可視化。 (a) 実験価電子密度分布における C 3 -C 4 結合の断面を赤の破線枠内に、 C 2 C 1 結合の断面を青の破線枠内に示す。 (b) 単純化された C=C 結合のエネルギー図。 図 2 Glycine の (a) CDFS 法および (b) DFT 計算による 価電子密度分布の二次元カラーマップ。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 109 最近の研究から 論計算と組み合わせ、分子軌道をエネルギー的に分 解することで、選択的に分子軌道の実空間分布を明 らかに出来ることが実証された。 最後に、回折データの空間分解能と得られる価電 子密度分布の関係について示す。ここでは、観測 された最も高角の回折反射の面間隔 d (=λ /2sin θ) を価電子密度分布における実空間分解能と定義す る。これまで議論してきたようなノードなどの微細 な構造を観測するためには、高い空間分解能データ を取得する必要がある。分解能による価電子密度分 布の差について 図 4 (a) に示した。高分解能データ ( d > 0.28 Å )の場合の高分解能データでは、ノード などの微細な構造が明瞭に観測されているのに対し て、低分解能データ( d > 0.50 Å )ではこれらは見 られない。このことが、実験室系の回折実験では価 電子の詳細が明らかにできない理由である。電子状 態の本質的な理解のためには、 d 値が 0.30 Å より小 さな回折反射強度を十分な統計精度で観測しなけれ ばならない。価電子密度解析では、高エネルギーか つ高輝度な X 線を利用することが望ましい。 また、高角領域の回折反射の測定には温度の影響 も無視できない。特に構成原子の異方的な熱振動は、 電子密度分布の高角領域の回折反射に大きく影響す る。高エネルギーの X 線による実験であっても、熱 振動の影響が大きく有効的な空間分解能が不足する 場合には、細かな構造が見えない滑らかな分布が得 られてしまう (図 4 (b) ) 。したがって、理論計算と 直接比較できる価電子密度分布を得るためには、大 型放射光施設の高品質な X 線を利用することに加え て、その X 線の品質を最大限に活かすための実験環 境の構築にも追求する必要がある。 6.総括と今後の展望 本研究では、放射光 X 線を用いた精密単結晶 X 線 回折実験を行い、 Glycine と Cytidine の価電子密度 分布を観測した。観測された価電子密度分布は波動 関数の性質を反映した複雑な構造を示し、最先端 の高精度 DFT 計算の結果とも極めて一致を示した。 これは、これまで分光学的な実験手法により得られ るエネルギーとの一致を主な研究指針として発展し てきた理論計算が、実空間においても実験とよく整 合することを明確に示す結果となった。これにより 実験と理論計算を組み合わせた解析の可能性がさら に広がり、分子軌道がエネルギー的に分解されるこ とに注目することで、π結合のような各軌道の抽出 が可能であることを示した。これらの手法を可能と 図 4 (a) 45 K の Glycine の回折データ( dmin = 0 . 28 Å )について、 d > 0 . 28 Å までの反射を用いた高分解能な価 電子密度解析結果 (上)と、 d > 0 . 50 Å までの反射を用いた低分解能な価電子密度解析結果 (下) 。低分解能 な価電子密度分布では、ノードなどの微細な構造が見られない。 (b) 35 K (上)及び 100 K (下)で測定した Cytidine の価電子密度解析結果。測定温度が高いと観測可能な d 値が狭まり、分解能が低下する。 110 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH するためには、 SPring-8 の高品質な放射光のポテン シャルを最大限に活かす必要がある。 本研究では、古くから極めて精密に調べられてき た標準的な分子を用いてこの手法の信頼度について 検証した。今後は、高機能な分子性結晶、複雑な相 互作用が内在する系、特異な化学結合を実現する系 などへ研究対象を拡張していく。 参考文献 [1] T. Hara, M. Hasebe, T. Takao, T. Naito, Y. Nakamura, N. Katayama, T. Taketsugu, and H. Sawa, J. Am. Chem. Soc. 146 , (2024) 23825. [2] S. Kitou, T. Fujii, T. Kawamoto, N. Katayama, S. Maki, E. Nishibori, K. Sugimoto, M. Takata, T. Nakamura, and H. Sawa, Phys. Rev. Lett. 119 , (2017) 065701. [3] S. Kitou, T. Manjo, N. Katayama, T. Shishidou, T. Arima, Y. Taguchi, Y. Tokura, T. Nakamura, T. Yokoyama, K. Sugimoto, and H. Sawa, Phys. Rev. Res. 2 , (2020). [4] H. Iikura, T. Tsuneda, T. Yanai, and K. Hirao, J. Chem. Phys. 115 , (2001) 3540. 原 武史 HARA Takeshi (現所属) 国立大学法人 東北大学 理学研究科 物理学専攻 微視的構造物性 〒 980 - 8578 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 6 - 3 TEL : 022 - 795 - 5600 e-mail : takeshi.hara.d 2 @tohoku.ac.jp (課題遂行時の所属) 国立大学法人 名古屋大学 工学研究科 応用物理学専攻 〒 466 - 8603 愛知県名古屋市千種区不老町 澤 博 SAWA Hiroshi (現所属) 名古屋産業科学研究所 〒 464 - 0819 愛知県名古屋市千種区四谷通 1 丁目 13 ノア四谷ビル 2 F e-mail : hiroshi.sawa@nagoya-u.jp (課題遂行時の所属) 国立大学法人 名古屋大学 工学研究科 応用物理学専攻 〒 466 - 8603 愛知県名古屋市千種区不老町 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 111 最近の研究から 東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 森 悠 一 郎 大学院生提案型課題(長期型)報告 高温高圧下における鉄の水素誘起体積膨張係数 Abstract 水素は地球核の軽元素候補として重要な元素である。地球核の主要成分は鉄であるが、高圧条件下において 水素は金属鉄に固溶し、鉄水素化物を生成する。このとき、水素は鉄の格子間に侵入固溶することで著しい体 積膨張を引き起こし、密度や物性を変化させる。特に、水素化による密度変化は、地球核の密度欠損問題を考 察する上で重要であるにも拘わらず、これまで十分に研究されてこなかった。本研究では、高温高圧環境で X 線回折をおこなうことで、鉄水素化物の水素誘起体積膨張について詳細に調べた。 1.序言 遷移金属水素化物中の水素原子は、金属の格子間 サイトを占有し金属特性を保持しつつ水素化物を形 成する。教科書的には鉄は hydride gap に属し、常 温常圧下において金属類似水素化物を形成しない。 しかし、高圧環境下ではその描像は変化する。水素 流体のギブス自由エネルギーの圧力依存性をみると 数 GPa では数倍に増加する [1] 。結果的には、 H 2 分 子は H 原子に解離して金属格子の隙間を占有した方 がエネルギー的に安定であるため、鉄水素化物を形 成する。固溶した水素原子は原子間距離を拡大する。 水素化による体積膨張は水素誘起体積膨張と呼ばれ、 地球惑星科学・物質科学において重要なパラメータ となる。水素誘起体積膨張 ( v H ) は、鉄水素化物の 体積 ( V FeH x )と純鉄 ( V M )の体積差を溶け込んだ水 素量 ( x ) で除して、単位胞中の金属原子数で規格化 することで求められる: v H = V FeH x - V Fe x . (1) ここで、地球核の軽元素(鉄よりも軽い元素を意 味する)としての水素に目を向ける。水素のケイ酸 塩-鉄メルト間の分配係数は非常に大きく、強親鉄 性元素とみなすことができる [2] 。さらに、水素は格 子間に溶け込むタイプの地球核の軽元素候補の中で は最も固体鉄 – 液体鉄間の分配係数が大きく内核の 軽元素候補としても有力である [3] 。このように、地 球核は地球深部の水素貯蔵庫として働く可能性が指 摘されている [2] 。他方、地震学的観測から地球核は 相当温度圧力の純鉄よりも密度が小さいことで知ら れている [4, 5] 。水素化によって引き起こされる有意 な体積膨張は鉄の密度を大幅に下げるため、地球核 の水素量を制約する上で、水素誘起体積膨張( v H ) の導入 ─ 鉄の水素化による体積膨張の定量化 ─ は非常に重要である。 鉄水素化物の水素誘起体積膨張は中性子回折と状 態方程式を組み合わせることにより、求められてき た。しかし、高温高圧中性子回折実験の性質上、測 定された条件は比較的低圧に限られる。そこで、本 研究では水素誘起体積膨張の( 1 ) 温度圧力効果, ( 2 ) 他軽元素の効果, ( 3 ) 磁歪による効果を調べ た。いずれのテーマも核中の水素量を制約する上で 重要であるが、ほとんど検討されていなかった。な お、ここでは hcp 構造の鉄水素化物を研究対象とす る。これは、鉄の高圧相で、地球内核条件の純鉄の 結晶構造の候補の一つであり、重要な相である。 2.結果 ( 1 ) hcp-FeH x の水素誘起体積膨張の温度圧力効果 これまで hcp FeH x の結晶構造精密化について中 性子回折による報告例は 2 例存在する [6, 7] 。しかし、 これらの v H は一致していない。地球核の密度欠損 を満たす水素量は v H を用いて推定することができ 112 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH るが、 v H を定数として扱っている先行研究が多い。 しかし、鉄水素化物の体積と純鉄の体積はそれぞれ の熱弾性定数が支配する状態方程式によって求めら れ、これらの体積差に比例する v H は圧力と温度の 関数で記述されるはずである。高圧下における水素 誘起体積膨張の温度依存性は高水素濃度における fcc FeH x でのみ探索されており、内核を構成する鉄 合金の結晶構造候補である hcp 構造を持つ hcp FeH x においてはその温度圧力特性がわかっていない。そ こで、 NaCl で作成したカプセル中に鉄と水素源で ある NH 3 BH 3 とともに封入して高圧下で ( ~12 GPa ) で昇温することで、 hcp FeH x を ʻ その場 ʼ で合成した。 水素化による体積膨張が終わってから、 10 25 GPa 、 300 900 K において P V T 関係を測定し、 hcp FeH x の状態方程式を作成した。高圧下で鉄合金中に固 溶する水素量を結晶構造精密化から決定するには X 線回折では事実上不可能である。そこで、先行研究 において中性子回折がおこなわれた温度圧力点を本 研究で作成した hcp FeH x の状態方程式に代入して、 hcp Fe の状態方程式から決定される単位胞体積との 差分をとった( 図 1 ) 。 すると、固溶している水素量を x ~ 0.3 とするこ とで、先行研究の水素誘起体積膨張の不一致を「 v H の温度圧力依存性によるもの」として解釈できるこ とがわかった。 hcp Fe に比べて、 hcp FeH x はより 圧縮されやすい。また、 v H は温度とともに増加する が圧力の上昇とともにその効果は減衰した。これは、 高温高圧条件に向かうほど hcp FeH x の熱膨張の値 (≠熱膨張係数)は hcp Fe のそれに近い値に収斂す ることを示している。地球核の密度欠損から水素の 量を定量的に推定することは、本研究の温度圧力範 囲からの過度な外挿が必要となるため現実的でない。 しかし、以上の特性が広い温度圧力範囲にわたって 定性的な理解として成り立つ場合、 hcp 構造を持つ 純鉄の水素誘起体積膨張への温度効果よりも圧力効 果が顕著であり、低圧・高温で得られた v H を直接 使用する場合、核の水素量を少なく見積もってしま うことを表している。 ( 2 ) ケイ素の共存による効果 地球核の主要軽元素の候補としては水素の他に硫 黄、ケイ素、酸素、炭素などが挙げられる。中でも ケイ素は他の軽元素に比べて大きな固体鉄 / 液体鉄 の分配係数をとることで知られ、特に内核の軽元素 候補として有力視することができる。そこで、こ こではケイ素を含んだ系で v H がどのように変わる のかを調べる。鉄-ケイ素 2 成分系の相図を見ると、 ケイ素量が増えると、 hcp 相から hcp + bcc 相へ分 離する。このとき、ケイ素の分配が二相間で生じ てしまう。従って、ケイ素による v H の影響を調べ るためには、 hcp 単相での実験をおこなうことが直 接的である。そこで、ケイ素を 2.6 wt.% 含んだ Fe ( Fe 0.95 Si 0.05 )を出発試料として高温高圧実験をおこ なうことにした。課題設定は以下の二つである。 · Fe 0.95 Si 0.05 水素化物の水素位置・占有率の決定 先述の通り、高圧下で鉄中の水素量を結晶構造 精密化から決定するには中性子回折実験が必要で ある。これまでの鉄水素化物研究のほとんどは鉄 -水素 2 成分系に限られ、ケイ素を含んだ鉄の水 素化挙動の直接観察はなされていなかった。し たがって、 式 (1) における v H 、 x 両方ともに推定 することができない。そこで、 J-PARC MLF 高圧 専用ビームライン BL11 ( PLANET ) に設置の 6 軸 プレスを使用し、 12 15 GPa, 300 900 K の条件で hcp-Fe 0.95 Si 0.05 水素化物の中性子回折をおこなった。 図 1 本研究で得られた hcp FeH x と先行研究で得られ ている hcp Fe の状態方程式 [ 8 ] との比較 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 113 最近の研究から · Fe 0.95 Si 0.05 の状態方程式の作成 式 (1) で示す通り、 v H を求めるためには V Fe の 情報(正確には V Fe0.95Si0.05 )が必要である。高温 高圧下での中性子回折は解析に十分なプロファイ ルを取得するのに非常に時間がかかる。そこで、 Fe 0.95 Si 0.05 の状態方程式作成のために、放射光 X 線回折を用いた P V T 測定をおこなった。 得られた中性子回折プロファイルを結晶構造精 密化した結果、 図 2 に示すように、 hcp 構造をもつ Fe 0.95 Si 0.05 において水素は八面体サイトに固溶して おり、純鉄の場合と同様の固溶サイトをとった [6, 7] 。 放射光 X 線回折で得られたデータをもとに状態方程 式を決定して、 式 (1) を用いてケイ素の固溶が水素 化による体積膨張に与える影響を見積もった。する と、 hcp Fe 0.95 Si 0.05 の水素誘起体積膨張は、純鉄で報 告されているそれと比べて 10 20% ほど大きいこと がわかった。 ここで得られた結果を用いて Si を含んでいる場 合の核中水素量の再検討を行ったところ、先行研究 の半分程度の水素量で地球核の密度欠損が説明さ れることがわかった。このことは 図 3 に示すように、 この結果は、これまでの研究がケイ素を含む地球コ アの水素含有量を過大評価していた可能性を示唆し ている [10] 。このように共存する軽元素は核の水素 量の見積もりに影響を及ぼし得る。 ( 3 ) 磁歪による効果 Fe の高圧相である hcp-Fe は非磁性体だが、水素 化した dhcp 構造を持つ FeH は強磁性体であること で知られる。この場合の強磁性の出現原理として最 も考えやすいのは、水素化による格子膨張(鉄の原 子間距離の拡大)によってフェルミ準位の状態密度 が増加し、 Stoner 条件を満たすようになることであ ろう。 dhcp FeH は加圧によって原子間距離が縮小す ることで、磁気モーメントが徐々に減少して強磁性 -非磁性転移が起こることが知られている。その相 転移圧力はメスバウアー分光測定 [13] や Fe K 吸収端 X 線磁気円二色性実験 [14] から報告されており、ま た不明瞭な境界ではあるものの圧縮挙動の変化 [15, 16] からも推定されてきた。一方でこれらの実験は室 温あるいは低温に限られている。 dhcp FeH の磁歪 とキュリー温度の圧力依存性は KKR-CPA 法を用 いた報告がされているのみである [17] 。そこで、 15 25 GPa, 300 850 K の範囲において降温過程で dhcp FeH の時分割 X 線回折実験をおこなった。得られ た温度-体積関係に着目することで磁性転移による 図 2 hcp 構造を持った Fe 並びに Fe 0 . 95 Si 0 . 05 を c 軸方向 からの投影した図(描画には VESTA を使用 [ 9 ] ) 。 格子間サイトは八面体サイト(緑色) 、四面体サ イト(赤色)の 2 種類であり、褐色、水色の点は それぞれ鉄原子、水素原子を表している。 図 3 ケイ素の固溶による水素誘起体積膨張の変化 灰色実線・破線はそれぞれケイ素を含んだ hcp 鉄 ( Fe 0 . 88 Si 0 . 12 )の水素化物ならびに非水素化物の圧 縮曲線を示す [ 11 , 12 ] 。ケイ素の固溶による水素誘起 体積膨張の変化は考慮せずに、 v H の値としては純 鉄の値 [ 6 ] の値を用いた場合、 v H の圧力依存性を見 積もった(赤破線) 。本研究の結果、ケイ素固溶 により v H は増大することがわかった(赤点) 。水 素による体積膨張がケイ素濃度に比例して増加す る場合、外核中の水素存在可能量が海水質量換算 で 10 倍程度減少する。 114 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH 熱膨張のアノマリーを検出した。この手法は常圧 では一般的に用いられる正攻法であり、 bcc 鉄など でも温度 – 体積関係からキュリー温度 ( T C ) が見積 もられているが [18] 、高圧下での応用例は殆ど見ら れなかった。 図 4 に測定された温度 – 体積関係を示 す。高圧下における自発体積磁歪によるインバー挙 動ならびに負熱膨張挙動が見られ、温度 – 体積曲線 における不連続点は T C として同定できる場合があ り、 T C の圧力依存性を決めることができる。 T C 直 下の自発磁化は臨界指数βを用いて ( T C T ) β に比 例すると記述される。 Landau 理論や平均場近似を Ising モデルへの適用することで得られる古典的な βは T ~ T C において 0.5 である。自発磁歪は磁気モー メントに依存することが知られている [19, 20] 。この 関係を用いて得られた T C の圧力依存性および体積 磁歪の温度依存性から臨界指数βは ~ 0.4 0.5 と推 定された。この結果は、磁性転移による熱膨張のア ノマリーがスピン揺らぎの小さな強磁性 – 常磁性転 移として解釈されることを示している。自発磁歪と 磁気モーメントは Magnetoelastic-coupling constant ( C ) で結びつけられるが、圧力に対して正の依存 性を持つことがわかった。低圧で見られていたイン バー挙動が、高圧で負の熱膨張へと変化しているこ とは、圧力が増加するにしたがって磁気弾性の相互 作用が強くなったことに起因している。さらに、先 行研究の結果を用いて自発体積磁歪から磁気モー メントを推定する。 dhcp FeH の磁気モーメントは 4.2 GPa, 300 K で中性子回折から M ~ 2 μB と推定さ れている [21] 。一方で、常温における磁化の圧力依 存性は XMCD の信号強度変化から相対的に推定で きる。したがって、これら二つの先行研究を以って 300 K における圧力 – 磁化曲線を推定することがで きる。本研究結果ではある圧力における T C が推定 されているはずなので、平均場近似をもちいて高温 ( T > 300 K )における磁化を推定することができる。 強磁性領域の実測体積を常磁性領域の実測体積を強 磁性領域に外挿したところ、磁歪から得られる磁気 的寄与が理論予測の 20% 程度にとどまることを明 らかにした。また、実験手法としては非常に単純明 快でありながら、高温高圧下における磁歪の定量化 および磁性転移の検出に有効な手法を確立した。 3.結語 本研究では鉄水素化物の水素誘起体積膨張に関し て地球科学的に重要な諸効果がどのように影響を与 えうるかについて調べた。地震学的観測から得られ る惑星内部構造の理解には、物質の密度や弾性など のパラメータが不可欠であり、特に鉄は地球核やマ ントルにおいて重要な元素である。一方で、高温高 圧下では水素が顕著な親鉄性を示すことから、鉄水 素化物の物性は地球深部における水素の存在状態を 考えるうえで極めて重要である。また、火星や水星 などの他惑星における軽元素成分としても水素が候 補とされており、今後の惑星内部構造モデルの精緻 化に貢献するデータとなる。 一方、物質科学の観点からも、鉄水素化物は興味 深い研究対象である。特に dhcp 相は広い温度・圧 力範囲で安定に存在し、強磁性 – 常磁性転移の温度 圧力範囲は比較的 ʻ 適度 ʼ な温度圧力領域である。水 素化に伴う体積変化の物理的起源は、水素の基底状 態エネルギーと格子エネルギーとのバランスに加え、 金属-水素間の電子相互作用などによる電子構造の 変化も含むだろう。金属水素化物において、水素化 による体積変化の背景にある物理的な起源は水素原 子の基底状態エネルギーと格子エネルギーの兼ね合 いによって決まる。しかし、常圧とは異なり、極限 実験でその起源を探ることは非常に難しい。金属- 図 4 鉄水素化物( dhcp 相)の温度-体積関係 ʻ 低温 ʼ 領域で磁歪の効果が見られている。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 115 最近の研究から 水素間の電子相互作用による電子状態の変化による 影響など化学的側面は明らかになっていない部分も 多い。水素化物の本質的な理解を深めるためにも分 野横断的な研究が必要だ。 4.謝辞 本研究における高温高圧下放射光 X 線回折実験は、 大学院生提案型長期課題 ( 2022A0314 ) の下おこなった。 鍵裕之博士、青木勝敏博士、高野将大氏(東大) 、 柿澤翔博士、辻野典秀博士、肥後祐司博士( JASRI ) には日頃より本研究に関する議論をしていただいた。 改めて感謝の意を表したい。また、利用推進部の池 端宏之氏にも事務的な手続きで日頃よりお世話に なった。この場を借りて感謝申し上げる。 参考文献 [ 1 ] H. Sugimoto and Y. Fukai: Acta Metall. Mater . 40 (1992) 2327. [ 2 ] S. Tagawa et al .: Nat. Commun . 12 (2021) 2588. [ 3 ] K. Hirose, B. Wood, and L. Vo č adlo.: Nat. Rev. Earth Environ. 2 (2021) 645-658. [ 4 ] A. Dziewonski and D. Anderson: Phys. Earth Planet. Inter. 25 (1981) 297-356. [ 5 ] J. Irving, S. Cottaar, and V. Leki ć : Sci. Adv ., 4 . (2018) eaar2538. [ 6 ] V. Antonov et al. : J. Alloys Compd. 264 (1998) 214. [ 7 ] A. Machida et al .: Sci. Rep. 9 (2019) 1. [ 8 ] D. Yamazaki et al .: Geophys. Res. Lett. 39 (2012) 20. [ 9 ] K. Momma and F. Izumi: J. Appl. Crystallogr. 44 (2011) 1272–1276. [10] Y. Mori et al .: Earth Planet. Sci. Lett. 634 (2024) 118673. [11] S. Tagawa et al .: Geophys. Res. Lett. 43 (2016) 3686-3692. [12] S. Tateno et al .: Earth Planet. Sci. Lett. 418 (15) 11-19 [13] J. Ying et al .: Physical Review B 101 (2020) 020405. [14] N. Ishimatsu et al .: Physical Review B 86 (2012) 104430. [15] N. Hirao et al .: Geophys. Res. Lett. 31 (2004) 6. [16] C. 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Rep. 10 (2020) 9934. 森 悠一郎 MORI Yuichiro 東京大学 大学院理学系研究科 地殻化学実験施設 〒 113 - 0033 東京都文京区本郷 7 – 3 – 1 TEL : 03 - 5841 - 4450 e-mail : mory@eqchem.s.u-tokyo.ac.jp 116 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH 東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 夏 井 文 凜、 東 真 太 郎、 太 田 健 二 大学院生提案型課題(長期型)報告 大規模 S 波低速度領域での地震波異方性の成因の理解に向けた フェロペリクレースの高温高圧大歪変形実験 Abstract 地震波観測より、地球の下部マントルに広がる大規模 S 波低速度領域の縁部分では、地震波異方性が存在す ることが報告されている。この地震波異方性は、鉱物の結晶方位選択配向の発達によって生じている可能性 がある。本研究では、回転式ダイヤモンドアンビルセルを用いて、下部マントル圧力条件下で高圧大歪変形 実験を行い、変形に伴うフェロペリクレースの結晶方位選択配向の発達を調査し、大規模 S 波低速度領域に おける地震波異方性との関係を明らかにすることを目的とした。実験の結果、フェロペリクレースにおいて は、 Fe の含有量の違いやスピン転移の有無に関わらず、ペリクレースと同様に高圧力下でせん断方向と平行 に { 100 } 面が配向することが明らかになった。 ただし、ペリクレースと比較すると、より低い温度圧力条件 で { 100 } 面の配向が生じることが確認された。このフェロペリクレースの結果を、最下部マントルに横たわ るスラブの状況に当てはめて考えた際には、 S 波速度が鉛直方向よりも水平方向で大きいという地震波異方性 の観測結果と整合的であることが示された。 1.はじめに 地震波観測より、アフリカおよび南太平洋の地下 には、下部マントル中部から最下部マントルにかけ て広がる S 波速度が遅い領域の存在が確認されてい る。この領域は大規模 S 波低速度領域( LLSVPs : Large Low Shear Velocity Provinces )と呼ばれ、そ の縁部分では地震波速度が地震波の進む方向によっ て異なる地震波異方性が報告されている。これは、 鉱物の結晶軸が一定の方向に配列する結晶格子選択 配向( CPO : Crystallographic Preferred Orientation ) に由来すると考えられている。 CPO の発達は、主 に鉱物の塑性変形によって生じることから、沈み込 んだスラブの核マントル境界での衝突や LLSVPs 内 部の物質上昇に伴うせん断変形により CPO が発達 し、 LLSVPs 縁部分で観測される地震波異方性と関 連していると議論されている。 一方で LLSVPs が熱的な特徴によるものか、組成 的な特徴によるものか、あるいはその両方に由来す るのかは未だ不明であり、岩石・鉱物学的なことは、 ほとんど制約できていない。 LLSVPs が組成的特徴 に由来すると仮定した場合、マントル対流による撹 拌に耐えてマントルの底に留まり続けるためには、 周辺のマントルと比べて約 10 % 高い密度を持つ組 成である必要がある。このような高密度の組成の鉱 物として Fe に富むフェロペリクレース( Mg,Fe ) O やブリッジマナイト ( Mg,Fe ) SiO 3 が挙げられている。 LLSVPs の成因を明らかにするには、これら鉱物の CPO の発達を含めた変形特性を実験的に明らかに する必要がある。しかし、下部マントルの温度圧力 条件を実験的に再現することは技術的に非常に困難 であり、これらの条件下で議論を行った先行研究は 乏しい。さらに、 Fe を含むフェロペリクレースや ブリッジマナイトは、高温高圧下において Fe のス ピン転移が生じることが報告されている。スピン転 移は Fe の原子半径を変化させるため、鉱物の物性 に大きな影響を及ぼし、すべり系や粘性率などの変 形特性を変化させる可能性がある。加えて、フェロ ペリクレースおよびブリッジマナイトは、それぞれ SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 117 最近の研究から Fe 含有量によってスピン転移が生じる温度圧力条 件が異なることが知られており、 LLSVPs の成因の 解明を困難かつ複雑にしている。 本研究では、 LLSVPs における地震波異方性の成因 の理解に向けて、その構成候補鉱物であるフェロペ リクレースに対して、回転式ダイヤモンドアンビルセ ル( rDAC : Rotational diamond anvil cell )と SPring-8 での X 線測定を組み合わせた定量的な高圧大歪変形 実験を実施した。 2.SPring-8 で実施した理由 これまで、下部マントルの圧力条件を実験的に再 現して変形実験を行うことは技術的に非常に困難で あった。そのため、下部マントル構成鉱物を下部マ ントルの温度圧力条件で定量的に変形させ、その変 形特性について議論した研究は限られており、特に 最下部マントル条件の変形実験は報告がなかった。 近年開発された rDAC はこの状況を打破し、地球内 部の全圧力条件における定量的な変形実験を可能に した。これまで、 rDAC は常温下で 135 GPa までの 定量的な変形実験を行った実績がある [1] 。また、地 球科学的議論を行ったものでは 120 GPa まで行われ た MgO の変形実験に基づき CPO の発達と地震波異 方性の関係を議論したものがある [2] 。 rDAC を用いた変形実験の試料は、厚さ 30 μ m 以 下、直径約 100 μ m の円盤状であり、中心に埋め込 んだ Pt 製の歪マーカーに至っては高さ 30 μ m 以下、 長さ 20 μ m 以下、幅約 5 μ m の板状で非常に微小で ある。そのため、この微小領域から X 線回折 ( XRD : X-Ray Diffraction ) および X 線ラミノグラフィー ( 3D イメージング)の有意なデータを得るには大強度の X 線が必要不可欠である。さらに、試料の応力測定 のため、変形実験中のその場 XRD 測定を行う必要 がある。 SPring-8 の BL47XU は rDAC にセットした 試料中の Pt 製歪マーカーの X 線ラミノグラフィー および多結晶体試料の変形実験中のその場 XRD 測 定を行った実績がある。加えて、 BL10XU は微小試 料の多角度 XRD 測定を行った実績がある。これら のビームラインの性能とデータクオリティの観点か ら、本研究の変形実験は SPring-8 でなければ達成で きなかった。 3.実験 本 研 究 で 用 い た rDAC は 静 的 高 圧 発 生 装 置 の DAC を応用した高圧ねじり変形装置である。対に なったダイヤモンド製のアンビルの間に試料を挟 み、上部のアンビルを回転させてねじりの変形を与 えることで、高圧下での大歪変形実験が可能にな る。試料には、 Fe 含有量の異なるフェロペリクレー ス( Mg,Fe ) O ( Fe=90, 40, 20 wt% )をそれぞれ用 図 1 SPring- 8 BL 47 XU での X 線測定の模式図 118 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH いた。試料はタングステンまたはレニウム製の板に 円盤状の穴を開けて作成した試料室へ配置した。さ らに、試料の歪量の測定のため、集束イオンビーム ( FIB : Focused ion beam )を用いて、変形時の回転 軸に平行、ねじり方向に垂直になるように Pt を板 状に蒸着し、その後 rDAC へセットした。 高温高圧変形実験は BL47XU で実施した。実験 前後で X 線ラミノグラフィーを用いて歪マーカーの 観察を行った [3,4] ( 図 1 ) 。ラミノグラフィー取得時 の X 線のエネルギーは、 Pt の L3 吸収端よりやや高 い 12 keV を用いた。実験前後の歪マーカー形状の 変化を解析することで、試料の変形量を見積もった。 実験条件は圧力 10 126 GPa 、温度 298 963 K 、歪速 度一定で行った。高温条件は近赤外線集光加熱装 置(イメージ炉) [5] により達成し、ダイヤモンドア ンビルの酸化を防ぐため真空条件下(<~ 100 Pa ) で行った。変形中にその場 XRD 測定と X 線ラジオ グラフィーによる試料撮像を実施した。 XRD 測定 は 36 keV の X 線エネルギー、カメラ長約 150 mm で 行った。得られたデバイリングのリートベルト解析 を行い、変形実験前後の CPO の解析をした。 CPO が発達している場合、デバイリングの強度にむらが 見られる。これは、結晶格子が特定の方向に配向す ることで、回折ピークが集中して現れるためである。 この回折ピークの分布を解析することで、 CPO を 定量的に評価することができる。解析には Material Analysis Using Diffraction ( MAUD )を用いた。 BL47XU で取得した変形実験中の XRD は装置の 配置の制約があり、試料の回転軸から 60 ° 傾けた一 方向からの入射によって得られた。この単一方向 の XRD データを解析して、全球のポールフィギュ アを計算により補完することで CPO を求めた。し かし、理論的には全球のポールフィギュアを得る には 180 ° 範囲でのデータ取得が必要である。そこ で、 BL47XU で得た結果の妥当性を検証するため、 減圧回収後の試料について BL10XU で多角度 XRD 測定を実施した。 BL10XU での XRD 測定は X 線の エ ネ ル ギ ー は 30 keV 、 カ メ ラ 長 約 300 mm で 行 っ た。試料のねじり変形の回転軸に対して 35 ~ 35 ° まで、 70 ° の範囲をカバーする多角度 XRD 測定を行 い、 MAUD を用いて CPO の決定を行った。これに より、 BL47XU の単一方向測定から得られた計算で ポールフィギュアの大部分を補完している CPO と の整合性を検証し、議論の正当性を確認した。 4.結果 歪マーカーの形状解析の結果、試料縁部での歪量 は 1.1 8.4 、歪速度は 10 3 10 4 /s の範囲で変形実験が 行われた。変形中の試料の応力は、フェロペリク レースの 200 面と 220 面の格子面間隔から計算した。 得られた応力 歪曲線では、変形初期では、歪量の 増加に伴ってせん断応力も増加し、弾性変形が生じ ていることが確認できた( 図 2 ) 。その後、歪量が 増加してもせん断応力は一定の値を保ち、試料は変 形実験中に塑性変形による定常状態に移行したこと が確認できた。さらに、ポールフィギュアの結果か ら、変形前後で、 CPO の発達が確認できた。本研 究では、フェロペリクレースにおいて下部マントル 図 2 変形実験中の応力 歪曲線 [ 6 ] ( Mg 0 . 8 Fe 0 . 2 ) O @ 67 GPa 図 3 ( Mg , Fe ) O の剪断面に沿った結晶面、温度、圧力 の関係 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 119 最近の研究から 圧力条件で { 100 } 面がせん断方向に配列する CPO が発達することが明らかになった。ただし、 Fe の スピン転移領域をまたがっても、 CPO の傾向が変 化することはなく、スピン転移の影響はなかった。 また、 Fe の含有量が変化しても、 CPO の傾向に大 きな変化は見られなかった( 図 3 ) 。 また、変形実験中の1角度 XRD 測定と減圧回収 試料の多角度 XRD 測定から得られたポールフィギュ アの結果は調和的であり、本研究における1角度 XRD 測定から得られるポールフィギュアは信頼性 があることを確認出来た。この結果は、減圧回収時 に試料が引張変形を受けていたとしても、その影響 は実験中のせん断変形によって形成された CPO を 上書きするほどは大きくなく、減圧回収試料は実験 中のせん断変形の情報を保持していると考えられる。 5.考察 Amodeo ら は 従 来 の 対 称 型 DAC を 用 い た 定 性 的な高圧下の一軸圧縮変形実験より、ペリクレー スでは温度と圧力の増加に伴い、支配的なすべり 面が { 110 }面から { 100 }面へと変化することを報 告した [7] 。本研究の結果はこの結果と整合的であ り、フェロペリクレースでも、高圧力下において、 { 100 } 面がせん断方向に平行に配向する結果が示 された。これは下部マントルに沈み込みマントル底 に横たわるスラブを想定した場合に、 S 波速度が鉛 直方向よりも水平方向の方が大きいという地震波異 方性の観測結果と一致する。ただし、フェロペリク レースではペリクレースよりも低い圧力で { 100 } 面が配向した。例えば、常温下でペリクレースは約 60 GPa の圧力で { 100 }面が配向するが、フェロペ リクレースでは約 30 GPa の圧力で配向した。この 違いは Fe が加わることによって、 MgO と比較して フェロペリクレースのすべり面の臨界分解せん断応 力の温度圧力依存性が変化し、 { 100 } 面の配向がよ り低い圧力で生じる可能性が考えられる。 また、 Fe90 % という高い Fe 含有量かつ歪量 6.6 の実験では、得られた CPO は他の実験結果とは異 なり、 100 軸が同心円状に配向する特徴的な組織を 示した( 図 4 ) 。この組織は、同組成の歪量 2.2 の 実験では観察されていない。この特異的な CPO は、 Heidelbach ら Fe20 % のフェロペリクレースのねじ り変形実験で報告した組織とよく類似している。彼 らの実験条件は本研究より低い圧力( 300 MPa )か つ高い歪量( 15.5 )であった。彼らはこのような組 織はひずみの蓄積による組織発達に起因し、 2 つ以 上のすべり系、例えば、 { 100 } 面と { 111 } 面が同時 に活性化するような変形が起こることで、このよう な組織発達が生じる可能性を提案している。これは Fe に富む試料の方が、 Fe に乏しい試料よりも速く 動力学的過程が進行するためだと考えられる。した がって、支配的なすべり系が大きく変化しなくても、 発達するフェロペリクレースの組織は、 Fe の含有 量や歪量によって変化する可能性が示唆される。 謝辞 本研究を実施するにあたり協力してくださった高輝 度光科学研究センターの上杉健太朗氏、安武正展氏、 河口沙織氏、 門林宏和氏、 広島大学の岡﨑啓史准教授、 Eranga Gyanath Jayawickrama 氏、 八木寿々歌氏、 東京科学大学の長谷川暉氏、石森慧也氏、古賀亘氏、 京都大学の野村龍一氏に感謝します。実験および X 線 測 定 は、 SPring-8 の BL10XU お よ び BL47XU で 行 い ま し た( 課 題 番 号 2023B0312 、 2023B0320 、 2024A0312 、 2024A0320 、 2024B0312 、 2024B0320 ) 。 図 4 変形実験後のポールフィギュア [ 6 ] 120 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 FROM LATEST RESEARCH 参考文献 [1] R. Nomura et al .: Rev. Sci. Instrum. 88 (2017) 044501. [2] Y. Park at al.: GRL 49 (2022) 21. [3] R.Nomura et al .: Rev. Sci. Instrum. 87 (2016) 046105. [4] S. Azuma et al .: High Press. Res. 38 (2018) 23. [5] S. Azuma et al .: Rev. Sci. Instrum . 95 (2024) 073907. [6] B. Natsui et al .: PEPI 366 (2025) 107392. [7] J. Amodeo, P. Carrez, P. Cordier : Philosophical Magazine 92 (2012) 1523-1541. [8] F. Heidelbach, I Stretton, F Langenhorst and S Mackwell : GRL 108 (2003) 2154. 夏井 文凜 NATSUI Bunrin 東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 〒 152 - 8550 東京都目黒区大岡山 2 - 12 - 1 I 2 - 13 TEL : 03 - 5734 - 2334 e-mail : natsui.b.aa@gmail.com 東 真太郎 AZUMA Shintaro 東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 〒 152 - 8550 東京都目黒区大岡山 2 - 12 - 1 I 2 - 8 TEL : 03 - 5734 - 3536 e-mail : azuma.sihntaro@eps.sci.titech.ac.jp 太田 健二 OHTA Kenji 東京科学大学 理学院 地球惑星科学系 〒 152 - 8550 東京都目黒区大岡山 2 - 12 - 1 I 2 - 13 TEL : 03 - 5734 - 2590 e-mail : k-ohta@geo.titech.ac.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 121 最近の研究から 公益財団法人高輝度光科学研究センター 精密分光推進室 永 澤 延 元、 依 田 芳 卓、 バロン アルフレッ ド ビームライン再編後の BL35XU における核共鳴散乱アクティビティ Abstract SPring-8 共用ビームライン BL09XU で実験されていた核共鳴散乱アクティビティは、 2021 年にビームライ ン再編によって BL35XU へ移動した。高フラックス化をはじめとした移設による様々な利点を活かして、移 設後も活発なユーザー利用が行われている。本稿ではビームライン再編後の核共鳴散乱アクティビティの成果 について紹介する。 1.はじめに 核 共 鳴 散 乱 は 1997 年 に BL09XU で 始 ま っ た、 SPring-8 において最も歴史のあるアクティビティ の一つである。核共鳴散乱実験は BL11XU ( QST ) 、 BL19LXU (理研) においてもひとつの手法として行 われているが、共用ビームラインとしては BL09XU にて様々な成果が創出されてきた。 こ の 核 共 鳴 散 乱 ア ク テ ィ ビ テ ィ は、 共 用 ビ ー ムライン再編 [1,2] に伴い 2021 年にその活動拠点を BL09XU か ら BL35XU に 移 動 す る こ と と な っ た。 ビ ー ム ラ イ ン 再 編 計 画 は SPring-8 全 体 の 成 果 創 出の最大化及び利用支援体制の強化を目的とし て 2019 年度から検討が開始され、先陣を切って 核共鳴散乱アクティビティの移動が行われた。予 定 通 り 2021A 期 ま で に 装 置 移 設、 コ ミ ッ シ ョ ニ ン グ を 終 了 し、 2021B 期 か ら ユ ー ザ ー 利 用 を 再 開 し て い る [3] 。 BL35XU に 導 入 さ れ て い る 短 周 期アンジュレーターは特定の入射エネルギーを 除き 2 倍以上のフラックスを供給することが可能 で あ り、 今 回 の 移 設 は ス ペ ク ト ル の 測 定 に 時 間 がかかる核共鳴散乱実験においてシグナルの増 加、 S/N 比の向上をもたらした。また BL35XU の 複数のハッチに高分解能モノクロメーターやスペ クトロメーターを常設することで実験核種や測 定 手 法 の 切 り 替 え に 必 要 な 時 間 を 短 縮 し、 ビ ー ムタイムの効率的な利用が可能となっている [1,3] 。 本稿では、ビームライン再編後の BL35XU 核共鳴 散乱アクティビティで得られた成果を紹介する。 2.準弾性散乱 分子や原子の拡散などミクロなダイナミクスを 調べることが可能な準弾性散乱においても核共鳴 散乱をプローブにした手法が存在する。これまで 核共鳴準弾性散乱は APD 検出器を用いた時間領域 干渉法 [4] によって実験が行われており、シグナル 効率を高めるために 57 Fe 2 O 3 を用いたマルチライン γ線時間領域干渉法が SPring-8 で開発されている [5] 。 BL35XU 移設後は分光器を常設し、先に述べたアン ジュレーターによるフラックス数増加の恩恵も受け たことでユーザーに効率的な測定環境を提供してい る [6] 。その一方で、純核ブラッグ散乱 [7] と高いダイ ナミックレンジを持つ 2 次元検出器 CITIUS を組み 合わせるエネルギー領域準弾性散乱法が東北大学の 齋藤氏、理研等の共同グループによって開発され [8] 、 BL35XU にて利用可能となった [9] 。このγ線準弾性 マルチライン分光法では時間領域干渉計を用いた方 法とは異なる時間スケールのダイナミクスを測定可 能にしただけでなく、最大 17.4 kHz のフレームレー トを持つ高速 2 次元検出器によって一度の計測で運 動量トランスファー q について全領域のスペクトル を収集できる( 図 1 ) 。これにより試料の異方的ダ イナミクスや異なる運動量領域を一度に観測できる ようになった。 3.時間窓を用いた放射光メスバウアー分光測定 2009 年に瀬戸氏によって開発された時間窓を用 いた放射光メスバウアー吸収分光 [10] は放射光のパ 122 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS ルス構造と原子核励起の長い寿命を利用することで 放射線同位体線源を用いずにメスバウアー分光測定 を可能にした、 SPring-8 独自で発展を続けてきた測 定手法である。放射光のバンチ構造を利用して超微 細相互作用を測定する手法はこれ以外にも核共鳴前 方散乱 [11,12] が存在するが、核共鳴前方散乱測定は複 数の核準位によるエネルギー差が時間スペクトルに 干渉パターンとして現れるのに対し、放射光メスバ ウアー吸収分光測定では透過体と散乱体の共鳴吸収 をエネルギースペクトルとして観測できる。この手 法がもつ独自のエネルギー、時間スケールを巧みに 利用して、近年では異常金属相と格子振動、価数揺 らぎの相関を直接観測した研究結果が報告されてい る [13] 。なお、この研究については利用者情報誌で も紹介されている [14] 。 BL35XU へ移設後の放射光メスバウアー吸収分 光 は 151 Eu 、 161 Dy 、 61 Ni 、 193 Ir 、 174 Yb な ど の 核 種 で 測定が行われてきた [15-17] 。 BL35XU の高いフラック スによって従来の測定が高効率・高精度で行えるよ うになっただけでなく、高フラックスを活かした新 たな手法開発も行われており、放射光メスバウアー 吸収分光測定に散乱過程のエネルギー依存性も追加 した測定も開発されている。この測定は散乱体が核 共鳴励起した後の脱励起過程を測定している。具体 的には、γ線の他に蛍光 X 線や内部転換電子も検 出しており、これらの過程で放出されるイベントの エネルギーはそれぞれ異なる。京大複合研の北尾氏 らのグループはこのエネルギーの違いに着目し、 2 つの高速マルチチャンネル・スケーラー ( MCS ) と Amplitude-to-Time-Converter ( ATC )を 組 み 合 わ せ た計測回路系によって計測した散乱エネルギーの 分光を可能にしている [18] 。この報告では応用例と して、 151 Eu メスバウアー分光測定において散乱体 Eu-Cr-EuF 3 の薄膜状化合物の厚み方向のスペクト ルの違いを示している。 4.核共鳴非弾性散乱 BL35XU への移設後は前述の短周期アンジュレー ターによる強度向上だけでなく、精密空調によるモ ノクロメーターの安定性の向上によってフラックス の増加以上の恩恵を受けている。常設された高分解 能モノクロメーターを用いていくつかの核種( 57 Fe 、 119 Sn 、 161 Dy ) についての核共鳴非弾性散乱測定 [19] (特 に生物分野においては核共鳴振動分光測定、以下 NRVS 、と呼ばれている)が行われており、その成 果も報告され始めている [20-22] 。ここでは生物分野で の研究例を紹介する。カテコールジオキシナーゼは 土壌に広く分布する細菌などに含まれる芳香環化合 物を分解する酵素で、地球の炭素循環において重要 な役割を果たしていると考えられている。 Solomon 氏らの研究グループはエクストラジオール型 ( EDO ) とイントラジオール型 ( IDO )の 2 種類のこの酵素 が異なるカテコール環開裂を行うメカニズムにつ いて研究を行い、 NRVS と密度汎関数計算を組み合 わせることでその中間体の評価に成功している [20] ( 図 2 ) 。 図 1 ( A ) γ 線 準 弾 性 マ ル チ ラ イ ン 分 光 法 の 模 式 図 ( B ) ポリブタジエンを用いた回折スペクトルと 準弾性吸収スペクトル。 ( a ) 2 次元回折データ ( b ) 235 K で 測 定 さ れ た 散 乱 強 度 の q 依 存 性 ( c ) 前方散乱と、 q = 14 nm - 1 で測定された各温度 の準弾性吸収スペクトルの温度依存性。 (どちら も文献 9 より引用) 。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 123 ビームライン・加速器 5.最後に 本稿でビームライン再編によって高フラックス 化・効率化が行われた核共鳴散乱アクティビティの その後の活動と成果を紹介した。ここで述べた様に、 ビームラインの移設によって従来の測定の高効率 化・高精度化だけでなく、高フラックスであること を活かした新たな手法開発も行われている。 本 稿 で は 詳 細 を 触 れ な か っ た が BL35XU の ア ンジュレーターでは利用できない X 線エネルギー ( <14 keV 、 29 43 keV ) に つ い て は BL19LXU の JASRI 共用枠にて実験が可能である。核共鳴散乱測 定に興味のある方は、是非ビームライン担当者にコ ンタクトしていただきたい。 参考文献 [ 1 ] Y. Sakurai, M. Yabashi: SPring-8/SACLA Information 25 (2020) 259. [ 2 ] O. Sakata, et al .: SPring-8/SACLA Information 26 (2021) 261. [ 3 ] Y. Yoda, et al .: SPring-8/SACLA Information 26 (2021) 450. [ 4 ] A.Q.R. Baron, et al .: Phys. Rev. Lett . 79 (1997) 2823. [ 5 ] M. Saito, et al .: Sci. Rep . 7 (2017) 12558. [ 6 ] R. Mashita, et al .: ACS Macro Lett . 13 (2024) 847. [ 7 ] G.V. Smirnov, et al .: Pis ʼ ma Zh. Eksp. Teor. Fiz . 9 (1969) 123 [ JETP Lett . 9 (1970) 70]. [8] H. Nishino, et al .: Nuclear Inst. and Methods in Physics Research A 1057 (2023) 168710. [9] M. Saito, et al .: Phys. Rev. Lett . 132 (2024) 256901. [10] M. Seto, et al .: Phys. Rev. Lett . 102 (2009) 217602. [11] J. B. Hastings, et al .: Phys. Rev. Lett . 66 (1991) 770. [12] U. van Bürck, et al .: Phys. Rev. B 46 (1992) 6207. [13] H. Kobayashi, et al .: Science 379 (2023) 908. [14] H. Kobayashi: SPring-8/SACLA Information 28 (2023) 232. [15] R. Masuda, et al .: Hyperfine Interact . 243 (2022) 17. [16] S. Hayami, et al .: J. Phys. Soc. Jpn . 92 (2023) 033702. [17] Y. Kinoshita, et al .: New Phys.: Sae Mulli 73 (2023) 1145. [18] S. Kitao, et al .: J. Phys.: Conf. Ser . 2380 (2022) 012136. [19] M. Seto, et al .: Phys. Rev. Lett . 74 (1995) 3238. [20] J.T. Babicz, Jr., et al .: J. Am. Chem. Soc . 145 (2023) 15230. [21] A. Rulev, et al .: Crystals 15 (2025) 440. [22] A. Radovic, et al .: Nat. Commum . 16 (2025) 6843. 図 2 NRVS によって得られた、エクストラジオール型( EDO )とイントラジオール型( IDO )のカテコールジ オキシゲナーゼによるそれぞれの O 2 中間体の 57 Fe 部分振動状態密度(文献 20 より引用) 。 124 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 永澤 延元 NAGASAWA Nobumoto (公財)高輝度光科学研究センター 精密分光推進室 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 0791 - 58 - 0833 e-mail : nagasawa@spring 8 .or.jp 依田 芳卓 YODA Yoshitaka (公財)高輝度光科学研究センター 精密分光推進室 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 0791 - 58 - 0833 e-mail : yoda@spring 8 .or.jp バロン アルフレッド BARON Alfred (公財)高輝度光科学研究センター 精密分光推進室 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 0791 - 58 - 0833 e-mail : baron@spring 8 .or.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 125 ビームライン・加速器 公益財団法人高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 利用研究推進グループ 保 井 晃、 神 田 龍 彦 NanoTerasu 共用ビームライン BL06U の紹介 Abstract NanoTerasu の共用ビームライン BL06U は 50 ~ 1000 eV の真空紫外から軟Ⅹ線領域の幅広いエネルギー領域 で高フラックス、高エネルギー分解能、高空間分解能を有するビームを利用した角度分解光電子分光 ( ARPES ) 計測が利用可能なビームラインである。 B ブランチの最下流にはマイクロ集光ビームが利用でき、かつ、四端 子電圧印加機構によるオペランド計測が可能な ARPES 装置が配置されており、共用に供されている。本稿で は、 BL06U の概要や整備状況のほか、我々 JASRI が進めている、ユーザー実験の利便性向上や測定可能試料 の広範化を目的とした高性能化研究について紹介する。 1.光電子分光・ARPES について 放射光施設には多くの装置があり、様々な測定手 法により物質の性質が調べられている。ほとんどの 手法が X 線を試料に照射したときに試料から発せら れる X 線を検出する中で、光電子分光は試料から 発せられる電子(光電子)を検出する数少ない手法 の一つである。放射光を用いずとも実験室 X 線源に よる Al K α線などの固定エネルギーの X 線を利用す ることで、物質の性質を知ることができるため、メ ジャーな実験手法でもある。 光電子分光の概要を説明する。本手法は、あるエ ネルギー hv の X 線を物質に照射したときに、光電 効果により物質から放出される光電子のエネルギー を観測することで、物質内の電子のエネルギーを調 べるものである [1,2] 。その原理は、次のエネルギー 保存則で表される。 hv = E B + φ Ana + E K 、つまり、 E B = hv - φ Ana - E K ここで、 E B は電子が物質内で有していた束縛エ ネルギー、 φ Ana は光電子アナライザーの仕事関数、 E K は光電子アナライザーで観測した光電子の運動 エネルギーである。 E B は物質中の元素、化学結合 状態などによって値が異なるため、これを調べるこ とで物質の性質を知ることができる。光電子分光は、 物質の中の電子を直接取り出し観測するため、物質 の電子状態を詳細に評価することが可能である。一 方で、 X 線を検出する手法と比べると、表面敏感で あり、また、電場、磁場、圧力といった外場を印加 した状態での測定が難しいという弱点もある。 ここまでが通常の光電子測定の概要であるが、角 度分解光電子分光( ARPES )測定の場合、さらに 光電子の放出角度を分解して検出する。 ARPES 測 定の模式図を 図 1 に示す。この時、光電子の放出角 度、エネルギーと物質内で有していた電子の運動量 の間に次の関係式が成り立つ。 図 1 : ARPES 測定の模式図。 || || 2 ℏ cos 2 sin ℏ 126 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS ここで、 K || (⊥) は光電子の試料表面平行(垂直) 方向の運動量、θは試料表面と光電子放出方向のな す角、 k || (⊥) は物質内の電子の試料表面平行(垂直) 方向の運動量、 m は物質内の電子の質量、ℏはプラ ンク定数、 V 0 は内部ポテンシャルである。この関 係式から、物質中の電子がどのように運動している かがわかる。この情報は、超伝導体の形成機構やト ポロジカル絶縁体の表面伝導機構など、様々な魅力 的な物性起源の解明に必要なものである。 ARPES 測定を高効率かつ高精度に測定するには、光電子を 高スループットで高エネルギー分解能かつ高角度分 解能で検出可能な光電子アナライザーだけでなく、 ビーム性能としても、高フラックス、高エネルギー 分解能、高空間分解能が必要である。 2.BL06U の概要 NanoTerasu 共用ビームラインは量子科学技術研 究開発機構( QST )と高輝度光科学研究センター ( JASRI )が共同で運営を行っており、 2025 年 3 月 3 日より共用利用が開始された [3] 。そのうちの 1 つ である、軟X線ナノ角度分解光電子分光ビームライ ン BL06U は 50 ~ 1000 eV の真空紫外から軟Ⅹ線領 域の幅広いエネルギー領域で ARPES 計測が可能な ビームラインである [4] 。光源として、 Apple-II 型ア ンジュレータが用いられており、水平・垂直直線偏 光、および左右円偏光を利用可能である。 図 2 に BL06U のビームラインレイアウトを示す。 本ビームラインには、共用実験に供されている B ブ ランチと 2026 年度の共用開始が計画されている 100 nm 程度の集光ビームの利用を目指したナノ ARPES 装置を有する A ブランチがある。本稿では、ビーム ライン光学系、および B ブランチ最下流に配置され ているマイクロ ARPES 装置に焦点を絞って紹介する。 BL06U では、分光器として等刻線間隔平面回折 格子を用いた可変偏角平行化分光器が採用されてお り、ビームの縦方向の角度発散を自由自在に制御可 能である。これにより、エネルギー分解能を優先さ せるモード (高発散角モード) と試料位置でのフラッ クスを優先させるモード(低発散角モード)といっ た異なる性格のモードを全エネルギー領域で使い分 けることが可能である。回折格子としては 1200 本 /mm と 600 本 /mm の刻線本数のものを備えている。 回折格子で分散されたビームは M3 ミラーで A また は B ブランチに振り分けられ、各々の出射スリット ( S2 )位置に集光される。ビームのエネルギー分解 能は、 S2 の縦スリット開口幅に依存する。例えば、 ビームエネルギー E = 65 eV で 1200 本 /mm の回折格 子のときに、 S2 縦開口幅を 30 μ m に設定することで、 ビームのエネルギー分解能 Δ E ~ 1.1 meV (つまり、 E / Δ E ~ 60000 )と非常に高分解能なビーム性能が達 成されている。 S2 で分光されたビームは ARPES 装 置の直前に設置された Monolithic Wolter 型ミラー ( M4 )で集光され、試料に照射される。 M4 ミラー によるビームサイズの縮小比は約 1/10 である。す なわち、 S2 開口が 100 μ m (縦)× 100 μ m (横)の とき、試料位置では 10 μ m 角程度の集光ビームが得 られる。一方、薄膜試料など、ビームサイズに拘り が無い場合は、 S2 横開口を広げることで、ビーム エネルギー分解能は維持した状態で高強度のビーム を利用した効率良い測定も可能である。 図 2 : BL 06 U のビームラインレイアウト [ 4 ] 。 図 3 :マイクロ ARPES 装置の写真と試料周りの座標系。 本装置には R 4000 光電子アナライザーと 6 軸試料 マニピュレータを搭載している。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 127 ビームライン・加速器 図 3 にマイクロ ARPES 装置の写真、および試料 周りの配置構成を示す。本装置には X 、 Y 、 Z 、 Polar (θ) 、 Tilt 、 Azimuth の 6 軸電動マニピュレータ(た だし、 Azimuth は手動)とシエンタオミクロン社製 の R4000 光電子アナライザーが備わっている。本 装置は、 元々は広島大学 HiSOR で低エネルギーレー ザーを用いた ARPES 研究に利用されていた装置で あり、本アナライザーの高エネルギー分解能、高角 度分解能を活かして、数々の先端研究がなされてい た [5] 。さらに、 NanoTerasu に移設後、試料マニピュ レータには、世界的に見ても数少ない電流電圧印加 によるオペランド測定が可能な四端子電圧印加機構 が搭載された。試料は液体ヘリウムフローにより冷 却可能であり、試料最低温度は約 15 K である。試 料の表面処理として測定槽での劈開のほか、試料 準備槽で、アニール処理が可能である。アニール 処理にはセラミックヒーターによる背面輻射加熱 ( ≤ 600 ℃)と試料通電加熱( ≤ 10 A )の 2 種類がある。 なお、光電子アナライザーは、 2026A 期にシエ ンタオミクロン社の DA30 アナライザーにアップグ レードされる予定である。この DA30 アナライザー は、 R4000 アナライザーには無い、ディフレクター 機能を有することが特徴である。広い波数空間の電 子状態を調べるためには、広い角度範囲の光電子を 検出する必要がある。 R4000 アナライザーでは、ア ナライザースリットと平行方向の約 ± 15 ° の電子を 取り込むことが可能であるが、アナライザースリッ トと垂直方向は取り込み角度が小さいため、広い角 度範囲の光電子を検出するには、その方向に試料を 回転させる必要がある( BL06U では Tilt 方向) 。一 方で、 DA30 アナライザーの場合はディフレクター 機構により、試料を回転せずとも、アナライザース リットと垂直方向に関しても約 ± 15 ° の広い角度範 囲の光電子を取得可能である。この機能はマイクロ 集光ビームを用いた局所測定を行っているときに非 常に効果的である。特に、試料に不均一なドメイン 構造がある場合、試料を回転させることでX線照射 位置がずれ、ドメイン間にまたがった測定となって しまう恐れがあるが、 DA30 であれば、試料位置は 固定のため、単一ドメインでの測定を容易に実施可 能である。なお、 DA30 アップグレード後には、さ 図 4 : 2025 A 期のユーザー層割合。 らに光電子の持つスピン自由度を分解可能なスピン 検出器が導入される予定である。 2025A 期におけるユーザー実験の研究分野の割合 を 図 4 に示す。トポロジカル絶縁体、スピントロニ クス材料、ワイドギャップ半導体、強相関電子系が 大部分を占めている。ただし、それらの境界線は曖 昧であり、あくまでも参考程度としていただきたい。 3.ユーザビリティ向上・試料環境整備のための高 性能化 我々 JASRI スタッフは主にユーザー成果の最大化 を目的とし、ユーザー実験の利便性向上や測定可能 試料の広範化などに主眼を置いて、 ARPES 装置の 高性能化を行っている。これまでに我々は、 1 . 光 学系制御・ ARPES 測定連動ソフトウェア、 2 . ビー ム同軸観察ミラー機構、 3 . 四端子電圧印加ホルダー の開発を行った。 3 . 1 光学系制御・ ARPES 測定連動ソフトウェア これまで述べたとおり、幅広い 3 次元波数空間の 電子状態を調べるためには、試料を Tilt 回転させて ARPES 測定を行う k x k y 面内スキャン、および入射 光ビームエネルギーを変えて測定を行う k z スキャン を行う必要がある。これには、それぞれ、試料マニ ピュレータ駆動機構の制御、ビームライン光学系機 器の制御と光電子アナライザーの制御を連動させる 必要がある。 NanoTerasu BL06U と SPring-8 BL09XU ( HAXPES I ビームライン)では、ビームのエネルギー領域が 大きく異なるものの、光電子測定手法には多くの 128 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 共 通 点 が あ る。 例 え ば、 SPring-8 BL09XU で は、 SPring-8 パートナーユーザー課題の下で、軟 X 線領 域では盛んにおこなわれている共鳴光電子分光計測 を硬 X 線領域に拡張した共鳴 HAXPES 計測手法の 開発が行われた [6 8] 。その手法は、元素吸収端付近 のエネルギー領域でビームエネルギーを掃引しなが ら、光電子測定を行うというものであり、 k z スキャ ンと必要な技術要素は同じである。また、 SPring-8 BL09XU では 1 μ m 角のマイクロ集光ビームを利用 した 3 次元空間分解電子状態解析も行われており、 試料位置を走査しながら光電子強度を取得するソフ トウェアの整備を行っている。また、どちらのビー ムラインでも、光学系制御に BL 774 、光電子アナ ライザー制御にシエンタオミクロン社のアナライ ザーが利用されているという共通点がある。そこで、 SPring-8 BL09XU および BL46XU ( HAXPES II )で 利用しているビームライン制御用 Web アプリケー ションソフトウェア [9] (以降、単にビームライン制 御ソフトウェアと呼ぶ)を NanoTerasu BL06U 用に 改造し導入した。 SPring-8 BL09XU のユーザー層と NanoTerasu BL06U のそれは大きく重なるため、ソ フトウェアの共通化は、ビームライン・施設間の横 断利用の促進に繋がると考える。 導入したビームライン制御ソフトウェアは以下の ものである。 ⅰ. Sequence Measurement Control ( 図 5 ) 光電子測定と各種光学系機器および試料マニ ピュレータの制御を連動したシーケンシャルな 自動測定を行う。 3 次元波数空間のバンドマッ ピング測定などに利用される。 ⅱ. 2D Mapping 試料表面方向に 2 次元的に走査しながら光電子 強度を取得する。試料中の測定位置決めに利用 する。 ⅲ. Control optics 測定に利用するビームエネルギーに応じて、ア ンジュレータギャップ幅、 M2 ・回折格子の角 度などの光学系機器を制御する。 ⅳ. Stage scan 光電子強度やビーム強度を利用して、光学系機 器、試料位置を調整するために使用する。 ⅴ. Energy scan 全電子収量法による吸収測定を行うために使用 する。 さらに、ソフトウェア導入に先だってアナライ ザー制御ソフトウェアを SPring-8 BL09XU で利用 されているシエンタオミクロン社製の PEAK ソフト ウェアに更新した。これは従来使用されていたシエ ンタオミクロン社の SES ソフトウェアには無い光 電子測定と外部機器との連携機能を持つものである。 移植・導入されたビームライン制御ソフトウェ アは、これまでに SPring-8 でユーザー利用されて きたもので、主要なトラブルは修正してきたため、 NanoTerasu BL06U への導入において、大きな障害 は無いであろうと甘く考えていたが、光学系制御機 器が異なることや、ネットワーク・ PC 環境の違い により、大きな修正が必要であることが判明した。 そのため、様々な最新技術を導入することで、ソフ トウェアの安定化を図った。その結果、ソフトウェ アのインターフェイスはほぼ同じであるが、中身は より進化したものになっている。進化した技術は BL09XU のソフトウェアにも相互にフィードバック される予定である。さらに、試料マニピュレータ制 御ソフトウェアや、各種光学系機器の状態監視ソフ トウェアなども独自開発している。 3 . 2 ビーム同軸観察ミラー機構 試料内の元素や組成に不均一がある試料や、単 結晶試料であっても劈開や破断により得られた表 面、デバイス構造を有する薄膜試料などでは、電子 状態に空間的なドメイン構造ができる。測定したい 図 5 :光学系制御と APRES 測定の連動 Web アプリケー ション ” Sequence Measurement Control ” の画面。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 129 ビームライン・加速器 ドメインが非常に小さい場合、測定希望箇所にピ ンポイントにビームを照射する必要がある。マイ クロ ARPES 装置における試料位置出しの際に、試 料観察のためのカメラが光電子アナライザー側に設 置されたものしか無く、アナライザースリット越し に観察するため、不鮮明な像しか得られないことか ら、試料位置出しに多くの時間を要していた。いく ら高フラックスビームを利用でき短時間に測定を完 了できるとしても、試料の位置出しに多くの時間を 割いてしまうようであれば、効率の良い実験はでき ない。そこで試料位置出しの高速化に繋がる高性能 化を行った。 SPring-8 BL09XU (および統合前の BL47XU )に おいて、同じ困難を克服するために、ビーム同軸か ら試料表面を観察する機構を開発した [10] 。この機 構は、ビーム軸に 45 ° 傾けた穴あきミラーを配置し、 ビーム軸と垂直方向から穴あきミラーを通して試料 表面を長作動距離顕微鏡により観察するものである。 ビームはミラーの穴の中を通って試料に照射される。 ユーザー試料の位置出しの前に、 X 線照射により発 光する Ce:YAG などの物質を使ってビーム位置を記 録しておけば、ユーザー試料の測定希望箇所をその 位置に配置することで、ビームを照射することが可 能である。その後、ビーム光軸方向に走査し、アナ ライザーレンズ軸に試料を位置させれば試料の位置 出しが完了する。長作動距離顕微鏡の分解能は数十 μ m のため、より詳細な位置出しには、 3.1 章の 2D Mapping ソフトウェアが必要であるが、位置出しに 要する時間は大幅に短縮される( BL09XU では約 4 時間要していたものが 30 分に短縮された例がある) とともに、その信頼性は大きく向上する。本機構は 2025B 期からの利用開始予定である。 3 . 3 四端子電圧印加ホルダー 上述のとおり、 BL06U の試料マニピュレータに は四端子電流電圧印加機構が搭載されている。これ により、デバイス動作下のバンド分散解析が可能で ある。例えば、グラフェン試料に電圧を印加するこ とで、電子を注入しディラックコーンの位置を変化 させ、表面電気伝導を変化させることができるが、 その時のバンド構造変化を直接観測した先行研究が ある [11] 。これまで、共用ユーザー向けの四端子試 料ホルダーが無かったため、その開発を行った。そ のプロトタイプの模型図、および写真を 図 6 に示す。 ホルダー下部の電極がホルダー内の端子台と繋がっ ており、そこから試料に配線することで、試料に電 流 / 電圧を印加可能である。このホルダーを用いた 予備測定を実施しており、四端子法を用いた電流電 圧測定を行いながら、 ARPES 測定を行うことに成 功している。さらに、本試料ホルダーを用いれば、 全電子収量法による X 線吸収分光測定も可能である。 今後も予備測定を通して試料ホルダーの改良を続け ていき、ユーザー共用に繋げる。 4.今後の展望 NanoTerasu 共用ビームライン BL06U の現状につ いて紹介した。本年 2025 年 3 月に共用を開始して、 本稿執筆時点で 4 か月ほど経過しており、いくつか の成果について論文投稿されている。新しいビーム ラインが稼働し始めて初期ということもあり、多く のトラブルが起こり、ユーザーの皆様にはご迷惑 をおかけしているが、徐々にトラブルの頻度も収 まってきている。今後も、 QST スタッフの皆様と 情報共有をより密にし、連携して、不具合事象の修 正や高性能化を進めていきたい。 BL06U では、今 後も大きな改造・高度化が実施される予定である。 2026 年度からは、 A ブランチで 100 nm 程度のナノ 集光ビームの利用を目指したナノ ARPES 装置が共 用開始される予定である。ビームの集光にゾーンプ レートではなくミラーを用いる予定であり、非常に 明るいナノ集光ビームを利用した局所 ARPES 解析 が可能となる。また、試料の搬送の自動化やスピン 検出器の導入も予定されている。一方、 B ブランチ 図 6 :四端子電圧印加ホルダーの模型図と写真。 130 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS のマイクロ ARPES 装置は上述の通り、 DA30 アナ ライザーへの更新やスピン検出器の導入が予定され ている。また、試料準備槽の機能充実も予定されて いる。今後も多くの皆様のご利用を期待している。 謝辞 本稿の執筆にあたり、 QST NanoTerasu センター の 北 村 未 歩 博 士、 岩 澤 英 明 博 士、 西 野 史 博 士、 堀場弘司 グループリーダーから専門的・技術的コ メントをいただきました。原稿の全体構成について は JASRI ナノテラス事業推進室の本間徹生 グルー プリーダーと大石泰生 室長から多くのアドバイス をいただきました。ビームライン制御ソフトウェア の改造・導入につきましては JASRI 分光・イメー ジング推進室の藤保友希 様のご尽力をいただきま した。ここに深く御礼申し上げます。また、マイク ロ ARPES 装置の開発にご尽力いただいた広島大学 HiSOR の方々に感謝いたします。 参考文献 [ 1 ] S. Huefner: “ Photoelectron Spectroscopy, Principles and Applications, 3rd ed. ” (Springer Verlag, Berlin, 2003). [ 2 ] 髙桑雄二 編著 : X 線光電子分光法(講談社サイ エンティフィック , 2018 ) . [ 3 ] 宮脇淳 他、放射光、 37(2) (2024) 95. [ 4 ] K. Horiba et al .: J. Phys.: Conf. Ser. 2380 (2022) 012034. [ 5 ] H. Iwasawa et al .: Ultramicroscopy , 182 (2017) 85-91. [ 6 ] A. Yasui et al .: J. Synchrotron Rad ., 30 (2023) 1013. [ 7 ] 三村功次郎 他、 SPring-8/SACLA 利用者情報、 28(1) (2023) 12. [ 8 ] E. Ikenaga et al .: Sync. Rad. News , 31 (2018) 10. [ 9 ] A. Yasui et al .: SPring-8/SACLA Annual Report FY 2023 (2024) 33. [10] A. Yasui and Y. Takagi, SPring-8/SACLA Annual Report FY 2017 (2018) 90. [11] 例えば、 F. Joucken et al .: Nano Lett . 19 (2019) 2682. 保井 晃 YASUI Akira (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 利用研究推進グループ 〒 980 - 8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 468 - 1 [兼]分光・イメージング推進室 光電子分光計測チーム 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 050 - 3496 - 8842 e-mail : a-yasui@jasri.jp 神田 龍彦 KANDA Tatsuhiko (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 利用研究推進グループ 〒 980 - 8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 468 - 1 TEL : 050 - 3502 - 6481 e-mail : tatsuhiko.kanda@jasri.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 131 ビームライン・加速器 公益財団法人高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 脇 田 高 徳 NanoTerasu 共用ビームライン BL13U について Abstract NanoTerasu では、 3 本の軟 X 線ビームライン( BL02U 、 BL06U 、 BL13U )が共用ビームラインとして建設 され、 本年 3 月から共用利用が開始された。軟 X 線吸収分光のビームラインである BL13U は、世界的にみても 屈指の特色を有する。本稿では、利用者がそのようなビームラインの特色を十分に活かして、共用課題申請や 共同課題実験を実施していただけるよう、 BL13U が持っているその特筆すべき特徴と、現状および将来計画 について紹介させていただく。 1.はじめに X 線吸収分光( XAS )は、前世紀半ばに放射光に よる分光測定の試みが始まった当初から、放射光を 利用した測定技法の主要な柱の一つで有り続けてい る。使用されるエネルギーは軟 X 線から硬 X 線ま でに及ぶ。この手法では元素選択的に部分状態密度 や局所構造について情報を抽出できる。さらに、外 部磁場を印可して吸収強度の磁気円二色性( MCD ) を測定することで、強磁性体の軌道およびスピン磁 気モーメントを定量解析することも可能である。ま た、強磁性体の MCD や反強磁性体の磁気線二色性 ( MLD )の顕微分光測定から強磁性磁区構造や反強 磁性磁区構造を可視化することもできる。 このような X 線吸収分光を主要な測定手法とする 軟 X 線ビームラインである BL13U は、後述するよ うに、世界的にみても屈指の特色を有しており [1-3] 、 その特徴と現状および将来計画について以下に紹介 させていただく。 2.BL13U の特徴 BL13U は、令和 2 年 3 月の次世代放射光施設利用 研究検討委員会の報告書においてビームラインの 概形がその形を現し、量子科学技術研究開発機構 ( QST )においてさらに検討が進められて令和 4 年 度から現地建設作業が開始された。加速器や ID の 設置が進み、令和 5 年初めからビームライン光学系 装置の設置作業が開始され、令和 5 年の 12 月に 1st ビームを観測、令和 5 年度末に完成し、令和 6 年度 の試験的共用を経て、本年 3 月から共用利用が開始 された。 BL13U の特徴を端的に表す点として、二つだけ を特に挙げるとすれば、それは、 1 . 軟 X 線領域における偏光の高速スイッチングが 可能な光源を有すること 2 . 180 eV から 3000 eV までにおよぶ広いエネル ギー範囲での高強度の X 線が利用できること の二点である。この節では、この二点について少々 詳しく紹介する。なお、この第 2 節で紹介させてい ただく BL13U の設計および建設・整備は、 QST に より実施されたものである。高輝度光科学研究セン ター( JASRI )は、昨年 4 月より登録施設利用推進 機関として共用利用に関わる業務を担当しており、 JASRI の関わった整備については第 3 節以降に適宜 紹介させていただく。 2 . 1 高速偏光スイッチングの実現 スピントロニクス材料開発の最前線では、 MCD や MLD の微小なシグナルを顕微分光測定する必要 がしばしば生じる。そのような測定を高精度かつハ イスループットで実現するには、高速での偏光ス イッチングが必須となる。 高速偏光スイッチングは、可視光領域や硬 X 線 領域では適切な偏光子の利用により容易に実現され ている。一方で、軟 X 線領域では、 X 線と電子との 132 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 相互作用が強く、 X 線が簡単に吸収されてしまうた め、透過型の素子の開発は困難である。一方、反射 型の素子としては特殊な多層膜が開発されている が、現在のところ特定のエネルギーでの利用に限ら れている。そうした軟 X 線領域において、任意のエ ネルギーにおける任意の偏光を利用する手段として は、現状では放射光の利用が唯一の解となっている。 とりわけ、アンジュレーターは、磁石列を適切に選 ぶことで各種の偏光を自在に生み出すことができる。 中でも、 APPLE II 型アンジュレーターは、上下二 組ずつの計 4 つの磁石列から構成され、その相対位 置を変えることで、任意の角度の直線偏光や左右円 偏光、楕円偏光を一台のアンジュレーターにて生成 できる。当然、スイッチングへの利用も試みられて お り、 SPring-8 の BL23SU に お い て、 APPLE II 型 アンジュレーターの磁石列の機械駆動による偏光ス イッチング(~ 0.1 Hz )が実現された [4] 。しかしな がら、このような機械駆動では、偏光スイッチング のスピードを上げることが難しい。 放射光の偏光を高速でスイッチングする方式の 一つとして、これまでに「直列 2 台」のアンジュ レーター(蓄積リングの直線部を 2 台のアンジュ レーターで分割している、という意味で「分割アン ジュレーター( Segmented Undulator ) 」とよばれる ことがある)とキッカーマグネットを利用する方法 がいくつか考え出されている [5] 。例えば、 SPring-8 の BL25SU では、直列 2 台のヘリカルアンジュレー ターをそれぞれ右円偏光と左円偏光に設定し、 2 台 のアンジュレーターの前後及び中間に設置された 計 5 つのキッカーマグネットにより、アンジュレー ター内の軌道を交互に変調させることで、どちらか 一方の放射光のみを交互に取り出すことを可能にし、 それによって高速スイッチングが実現されている [6] 。 上述の SPring-8 の BL23SU においても現在はこの方 式が採用されている。しかしながら、第 4 世代の蓄 積リングでは、低エミッタンスの実現とキッカーマ グネットによる電子軌道の大きな変調とを両立させ ることができない。 2 台の分割アンジュレーターを使って偏光スイッ チングを実現する、まったく別の方式としては、分 割 ク ロ ス・ ア ン ジ ュ レ ー タ ー( Segmented Cross Undulator )の提案がある [7] 。分割クロス・アンジュ レーターとは、直列 2 台のアンジュレーターを、水 平偏光と垂直偏光にそれぞれ設定し、各アンジュ レーターから生成される直交する二つの直線偏光を、 例えば 90 ° (π /2 ) あるいは 90 ° (π /2 ) の位相差で 図 1 分割クロス・アンジュレーターの ( a ) 直線偏光の重ね合わせ、及び ( b ) 円偏光の重ね合わせ。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 133 ビームライン・加速器 重ね合わせることにより右あるいは左円偏光を生成 する、というシンプルなアイデアに基礎をおく方式 である( 図 1 (a) ) 。任意の偏光の生成およびそのス イッチングを実現するには位相差をどのように制御 するのかがポイントとなる。二つのアンジュレー ターで生成される放射光の偏光の位相差は、アン ジュレーター内の電子のアンジュレーション軌道の 位相差に対応する。そこで、アンジュレーター間に 短い蛇行軌道をつくる移相器(電磁石)を挿入する と、電流値を適切に設定することで任意の位相差を 設定することが可能となる。あとは、移相器の電流 値の高速制御を実装することで、高速スイッチング が実現することになる。加えて、もしも直列 2 台の アンジュレーターを直線偏光ではなく、左右円偏光 に設定するならば、左右円偏光を任意の位相差で重 ね合わせることにより、任意の方向の直線偏光を生 成することも可能となる ( 図 1 (b) ) 。このような移 相器を用いるスイッチングは、キッカーマグネット を使用する場合と比較して、蓄積リングの電子軌道 への擾乱が大きく改善される。 ただし、 2 台の分割クロス・アンジュレーターの 放射光の重ね合わせで作られる円偏光(および直線 偏光)の偏光度は残念ながら高くない [7] 。しかしな 表 1 4 台の分割アンジュレーターの設定とその特徴のまとめ がら、分割クロス・アンジュレーターの数を直列に 増やしていくと、偏光度が大きく改善されることが 報告されており [8] 、しかも、 分割クロス ・ アンジュレー ターを 2 セット、すなわち 4 台のアンジュレーター を使用するだけでも十分な改善が見出されている [9] 。 そこで、 BL13U ではナノテラスの蓄積リングの 直線部の長さを考慮し、 4 台の APPLE II 型アンジュ レーターが導入されている [1-3] 。分割クロス・ア ンジュレーターの先行事例としては、 SPring-8 の BL07LSU において熱負荷低減のため採用された 8 の字アンジュレーター(水平・垂直直線偏光を生成 できる) を 8 台用いた分割クロス ・ アンジュレーター が既に実現されており、スイッチングのスピードは 13 Hz ( 77 ms 周期)が達成されている [10] 。この様な 移相器によるスイッチング方式は、 30 Hz 以上 ( 33 ms 周期)でも機能可能であるとの報告もあり [11] 、よ り高速でのスイッチングの実現性も高い。 なお、分割クロス・アンジュレーターから生成さ れる円偏光や直線偏光では、強度分布の中心付近の 偏光度が高く、そこから外れると偏光度が低下する。 4 台の分割アンジュレーターの場合、このような偏 光度についてのシミュレーションから、最上流の フロントエンド( FE )スリットの幅をある程度狭 134 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS く(ビームプロファイルの 4 σの 75 %)設定するこ とにより、強度はやや犠牲になるものの、 1 次光の 偏光度を 90 % 以上 ( 3 次光 (円偏光) では 85 % 以上) に保てることが示されている [9] 。 2 . 2 広エネルギー範囲・高強度の実現 軟 X 線吸収分光では、偏光の利用とともに、ど のようなエネルギー範囲の X 線が利用できるのか が重要である。例えば、岩石中の生体細胞の分布を 調べたいとき、生体以外の化合物としても自然界に 豊富に存在している炭素( C K 端~ 280 eV )や窒素 ( N K 端~ 400 eV )の分布に加え、リン( P K 端~ 2150 eV )や硫黄( S K 端~ 2470 eV )の分布を同時 に測定できれば、分布の重なり合ったところに生体 が存在している可能性が高いと判断できる。従って、 このような場合には、これらの広いエネルギー範囲 に存在する吸収端を同時に測定できることが、極め て大きなメリットとなる。 BL13U の APPLE II 型 ア ン ジ ュ レ ー タ ー は、 56 mm × 10 周期の磁石列を有し、水平(垂直)直線 偏光の設定では 1 次光および 3 次光を利用すること で 180 3000 eV ( 260 3000 eV )の非常に広いエネ ルギー範囲の光源として利用可能である。一方、左 右円偏光の設定では高次光が中心軸から外れて放射 されるため 3 次光が利用出来ず、 185 1450 eV の光 源として利用可能である。しかしながら、分割クロ ス・アンジュレーターにて直線偏光の重ね合わせで 円偏光を生成すれば、 260 3000 eV のエネルギー範 囲が利用可能となる。 BL13U における各種偏光を 利用する際の分割アンジュレーターのそれぞれの設 定およびそのエネルギー範囲等の特徴を、 表 1 にま とめた(現状で使用可能な設定および今後の整備予 定については 3.1 節 および 4.1 節 を参照されたい) 。 このように、 BL13U の分割アンジュレーターか らは、 180 3000 eV の広いエネルギー範囲の X 線が 生成される。しかしながら、実際にエンドステー ションにおいて、それらの X 線を高強度で利用可能 とするためには、それ相応の工夫が必要となる。鍵 となるのは、ビームラインを構成する各光学素子 ( 図 2 )の反射率を当該エネルギー範囲において高 く保つことである。その目的を達成するため、前 置集光鏡( M0 、 M1 ) 、ブランチ切り替え用平面鏡 ( M3 ) 、後置集光鏡( M4 )は、すべて入射角(反射 角)が 89 ° に設定されている。また、分光器を構成 する平面鏡 ( M2 ) および回折格子 ( G ) は、偏角 (入 射角 α と反射角 β の和)が可変であり、 cos α /cos β の 比( c ff )を一定とすることでエネルギー収差を低減 するとともに、高エネルギー側で偏角がより大きな 値をとるため、反射率の低下防止に役立っている。 加えて、 M1 および M2 の表面は、 ( 1 )素地の Si が露出しているところ、 ( 2 ) Au コーティングされ ているところ、 ( 3 ) Pd コーティングされていると ころの 3 つに分かれており、ミラーの位置を光軸に 垂直な方向に沿って変位させることで、反射面の元 素が選べるようになっている。 M3 では、 Si 面と Pd 面の二つから選択可能である。 Si 面は低エネルギー 領域、 Pd 面は高エネルギー領域、 Au 面はその中間 のエネルギー領域でそれぞれ相対的に高い反射率を 有するため、使用するエネルギー領域に応じて反射 面を選択することで、全エネルギー範囲で十分な反 射率を設定することができる(なお、光軸と垂直な 方向に曲率をもつ M0 および二つの M4 (ウォルター ミラーとトロイダルミラー)については、それぞ れ Au 、 Pd 、 Au の単一のコート面が採用されており、 選択性は付与されていない) 。 さらに、回折格子の表面においても回折効率の低 下を避けるための二つの工夫が施されている。一つ は、広いエネルギー範囲で高い回折効率を示すラ 図 2 BL 13 U を構成する光学素子の配置の模式図。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 135 ビームライン・加速器 ミナー型の刻線形状が選択されている。二つ目に は、刻線深さ 10 nm の Au コート面、刻線深さ 10 nm の Pd コート面、刻線深さ 20 nm の Pd コート面の 3 種類が、一つの回折格子上に平行に加工されており、 光軸に対して垂直な方向の変位によって、そのうち の一つを選択できるようになっている。これらの工 夫、および前述の偏角が可変であるという特徴、さ らには小さな光源点であることにより光学素子上で 放射光が有効領域をはみ出さないような入射角の範 囲を広く設定できることによって、 BL13U では 180 3000 eV の広いエネルギー領域を、一つの回折格 子(中心刻線密度 600 本 /mm )によってカバーする ことが可能となっている。既存の多くの軟 X 線の ビームラインでは、使用するエネルギー領域に応じ て複数の回折格子を使い分けたり、高エネルギー側 では結晶分光器を併用したりする方式が採用され てきた。そうした中にあって、 BL13U においては、 180 3000 eV の広いエネルギー範囲を一つの回折格 子により利用可能とする特徴は、特筆すべき点であ る。この特徴により、光軸調整が極めて簡便になる とともに、本年 3 月から開始された共用実験におい ても、ユーザーに対して非常に高い利便性を提供し ている。 180 3000 eV の放射光が利用可能であることによ り、 図 3 に示したような広範な各種吸収端について 測定を実施することが可能である。各吸収端のエネ ルギー値は文献 [12] の値を記載している。なお、放 射性同位体のみ存在する元素は測定することができ ないため、除外している。また、実際に試料を持ち 込んで実験を行うことが可能か否かについては、当 該試料の状態、毒性、放射性等の諸要素を考慮す る必要がある。そのため、 図 3 に記載された元素が、 必ずしも実験対象として受け入れ可能であるとは限 らない点に留意されたい。 図 4 は、実際に放射光の強度の X 線エネルギー依 存性を水平直線偏光の場合について測定した結果で 図 3 180 eV ~ 3000 eV の範囲にて ( a ) 測定可能な吸収 端を有する元素、 ( b ) 吸収端のエネルギー値の一 覧、および ( c ) そのプロット。 図 4 X 線強度のX線エネルギー依存性。偏光は水平直 線偏光。 図 5 BN 粉末の B K 端近傍のX線吸収スペクトルおよ び RuO 2 粉末の Ru L 3 端近傍のX線吸収スペクトル。 それぞれ TEY および PFY にて測定。ピーク強度 にて規格化して示している。 136 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS ある。主として Pd 面と若干の Au 面を用いた設定 (高 エネルギー側で強い強度が得られる)と、主として Si 面と若干の Au 面を混ぜた設定(低エネルギー側 で強い強度が得られる)における測定結果を比較し ている。コート面選択の参考にご利用いただきたい。 なお、主として Si 面を用いる設定は、 2000 eV 以上 の高次光の除去にも活用できる。 図 5 は、後述の汎用 XAS 装置にて試験測定した 際の BN 粉末の B K 端スペクトルと、 RuO 2 粉末の Ru L 3 端スペクトルである。 BL13U で使用可能なエ ネルギー範囲の両端付近で、全電子収量( TEY )お よび部分蛍光収量( PFY )が、ともに十分な強度で の測定ができていることが見て取れる( BN 粉末は 導電性が低いため B K 端の TEY は S/N 比が不十分 であるが、繰り返し測定により高 S/N 比での測定が 可能である) 。 TEY と PFY の各スペクトル構造に見 られる差異は、後述の表面成分とバルク成分の違い を反映していると考えられる。 エネルギー分解能の設計値は、全エネルギー領 域で E/ Δ E = 10000 と計算されており、実際、窒素 ガスのイオン収量測定から、 400 eV 前後において E/ Δ E ~ 11000 であることが確認されている [3] 。また、 分光後のフラックスについては、 500 1000 eV の範 囲で 10 12 photons/s 以上と計算されており、それ以 外のほとんどのエネルギー領域では 10 11 photons/s 以 上 と 計 算 さ れ て い る( 3000 eV 近 傍 で は 10 11 photons/s をわずかに下回る) [2] 。 次節では、分割アンジュレーターおよびエンドス テーションの現在の状況について述べる。 3.BL13U の現在 3 . 1 分割アンジュレーター 分割クロス・アンジュレーターと移相器を用いた 偏光スイッチングは、蓄積リングの電子軌道へ与え る影響が小さいとはいえ、第四世代の蓄積リングの 一部として調和させるには、やはり様々な要素技術 の開発が必要となる。すなわち、 ·電磁石移相器高速制御システムの開発 ·スイッチング時の電子ビーム軌道への影響の低減 ·アンジュレーターのギャップ値と移相器の電流値 を適切に同期させる方法の確立 がそれぞれ完遂されねばならない。現在、 BL13U では~ 10 Hz の高速スイッチングの早期実現を目指 して QST による開発が進められている。現状では 4 台のアンジュレーターをクロス・アンジュレーター の配置に設定して(高速スイッチングはせずに)任 意のギャップ値で使用できるところまで整備が進ん でいる。 一方で、ギャップ値と移相器の電流値を適切に同 期させるプログラムは現在も開発中である。そのた め、現在の運用では 4 台あるアンジュレーターの内、 1 台のアンジュレーターのみを使用する形態にて共 用実験を実施している。これは、アンジュレーター 1 台でも十分に強い放射光強度が得られていること 図 6 ( a ) 顕微 XMCD ( μ XMCD )装置全体を上から見たときの模式図、 ( b ) 測定槽、 ( c ) 磁場印可時の永久磁石の配置 の模式図 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 137 ビームライン・加速器 に加え、 1 台で使用することで偏光度が最も高い条 件で放射光を利用できることによる。偏光としては 左右円偏光および水平・垂直直線偏光が利用でき る。円偏光(直線偏光)を用いる際は、 2 番目のア ンジュレーターにより右円偏光(水平直線偏光)を 使用し、 3 番目のアンジュレーターにより左円偏光 (垂直直線偏光)を使用する。使用しないアンジュ レーターは、ギャップを最大値( Full open )に設定 する。これにより、他のアンジュレーターからの X 線が混ざることによる偏光度の低下を防止している。 2番目と3番目のアンジュレーターを使用する理由 は、ビームライン設計上の光源点が2番目と3番目 のアンジュレーターの中間点に設定されており、実 際の光源点とのズレによる設計値からのズレが相対 的に小さいと期待されることによる。なお、この運 用は暫定的なものであり、いずれは 4 台すべてを活 用して実験が実施できるよう整備される予定である ( 表 1 および 4.1 節 参照) 。 3 . 2 顕微 XMCD ( μ XMCD )装置 A ブ ラ ン チ に は、 常 設 の 測 定 装 置 と し て 顕 微 XMCD ( μ XMCD ) 装置が QST により整備されている。 この装置はロードロック槽と超高真空環境( 10 -7 ~ 10 -8 Pa )の測定槽、試料バンク槽および成膜槽から 構成され、試料は各真空槽間を真空環境下にて移送 可能である。 ( 図 6 (a) ) 。測定槽( 図 6 (b) )は、 2 つある後置集光鏡( M4 )の内、ウォルターミラー の集光点に設置されている。このウォルターミラー は幾何光学の範囲にて、集光点において X 線のサ イズを分光器の出射スリットのサイズの 1/20 に縮 小できる設計となっている。実際に観測される最小 サイズは、集光点において 3 μm × 3 μm 程度である。 また、測定槽内では永久磁石により 160 mT の磁場 を試料に印可できる( 図 6 (c) ) 。磁場の印可方向は 水平面内で自由に設定可能である。 試料はいわゆるオミクロンプレートと呼ばれる試 料キャリアー( 図 8 (a) )上に設置・固定した状態 でロードロック槽に封入する(この試料キャリアー の規格は BL02U 、 BL06U と共通となっている。後 述の通電加熱用試料キャリアーは BL06U と共通で ある) 。ロードロック槽( 図 7 (b) )には、 4 つまで 試料を封入することができる。また、ロードロック 槽直下の試料バンク槽( 図 7 (b) )には、 10 個まで 試料キャリアーを保持できる。試料バンク槽には成 膜槽( 図 7 (a) )が併設されており、この成膜槽を 図 7 ( a ) 成膜槽、 ( b ) ロードロック槽及び試料バンク槽 図 8 ( a ) オミクロンプレート型試料キャリアー。 ( b ) 通電加熱用の試料キャリアー(中央に XEOL 測定用の穴が開いている) 。 138 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 用いると金属膜の作製や通電加熱による試料加熱が できる。なお、通電加熱には専用の試料キャリアー を使用する( 図 8 (b) ) 。通電加熱は、測定槽でも実 施可能であり、加えて電流を流しながら、あるいは 電圧を印可しながらの測定も実施可能である。試料 は液体窒素による冷やし切りにより、 160 K まで冷 却することができる。 ロードロック槽への試料封入後は、試料からのガ ス放出の程度に応じて、 1 ~ 2 時間程度の真空引き後、 10 -5 Pa 台の前半に到達したところで、測定槽への試 料の移送を開始している。 測定手法としては、 TEY 、 PFY 、 X 線励起可視 発光( XEOL )収量による XAS 測定が可能である。 TEY では試料電流計測器を用いて計測し、 PFY で はシリコンドリフト検出器( SDD ) 、 XEOL 収量で はフォトダイオードを用いて、それぞれ計測する。 SDD による PFY 測定では、専用ソフトウェアを 用いて、まず蛍光スペクトルを測定し、そのスペク トルの中から特定の元素に対応する注目エネルギー 領域( ROI )を最大4つまで設定する。設定した ROI の範囲で積分した信号強度( PFY )を特定の吸 収端近傍で X 線のエネルギーを変化させながら計測 することで、 X 線吸収スペクトルが得られる。同時 に、各測定点のエネルギーと、その測定点での蛍光 スペクトルとのマトリクスのファイルも保存される (このマトリクスを使用することで、蛍光スペクト ルの確認や、改めて ROI を設定して対応する X 線 吸収スペクトルを得ることもできる) 。この PFY の 信号は TEY の信号と同時に計測することができる。 加えて、特定のエネルギーの X 線照射下で計測され る各 ROI の積分信号強度を、試料位置について二 次元走査することで、各 ROI に対応する元素の二 次元分布のマッピングデータも取得できる。 と こ ろ で、 TEY と PFY で は 検 出 深 さ が 異 な っ ており、 TEY では測定する吸収端以降の X 線エネ ルギーで励起されるオージェ電子の脱出深さ(~ 数 nm )に主として依存する。一方、 PFY では、蛍 光 X 線の脱出深さ(~ μm )に依存する。したがっ て、 TEY スペクトルの方が表面の情報(表面成分) をより多く有し、 PFY スペクトルの方が試料内部 (バルク)の情報(バルク成分)をより多く有する。 TEY と PFY が同時計測できることにより、エネル ギー的に分離している表面成分とバルク成分につい ては、両者の相対強度の変化からそれぞれを区別す ることが可能となる。 ただし、 PFY では、測定したい元素の試料中の 濃度が高い場合や、試料の厚さが厚い場合には、い わゆる自己吸収効果によるスペクトルの歪みが生じ る [13] 。もしも、そのような試料を、元素や濃度に 依存して決まる粒径(数十 nm ~数百 nm )以下の サイズの粒子に粉末化することができれば、例えば、 そのような粉末をカーボンテープ上にうっすらと塗 布することで、実質的な濃度を下げ、スペクトルの 歪みを避けることが可能である。あるいは、やはり 元素や濃度に依存して決まる膜厚(数十 nm ~数百 nm )以下の厚さでの薄膜化が可能である場合には、 同様にスペクトルの歪みを避けることができる。 また、酸素よりも原子番号の大きい元素の酸化物 では、高濃度の場合や厚さが厚い場合においても、 歪みのない X 線吸収スペクトルを得る方法が知ら れている [14] 。酸素の結合相手の元素の吸収端にお いて酸素の PFY を計測すると、結合相手の吸収が 強くなる吸収端以上のエネルギー領域において、酸 素の PFY の減少が観測される。このとき、酸素の PFY を入射光の強度で規格化した後に逆数をとると、 酸素の結合相手の元素の歪みのない X 線吸収スペク トルが得られることが見出され、逆 PFY ( Inverse partial fluorescence yield, IPFY )法と呼ばれている。 IPFY 測定も、同時計測が可能である。 XEOL 収量による XAS 測定とは、 X 線励起によ り可視発光する基板上に作成された薄膜試料系に おいて、薄膜試料を透過した X 線により基板内で XEOL が生じることを利用する手法であり、その収 量から透過型の X 線吸収スペクトルが得られる。顕 微 XMCD 装置の測定槽では、 XEOL 収量を測定す るため、マニピュレーター先端に設置した試料の裏 面側にフォトダイオードが装着できるようになって いる。また、あらかじめ中央に穴の開いた試料キャ リアー上に試料を設置することで、基板で生じた XEOL のシグナルが裏面のフォトダイオードにより 検出できる仕組みとなっている。 XEOL 収量のシグ ナルも、 TEY および PFY のシグナルと同時計測す SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 139 ビームライン・加速器 ることができる。十分な XEOL 収量が得られる基 板の選定( MgO や Gd 3 Ga 5 O 12 ( GGG ) など)と、透 過型測定に最適な膜厚についての制限はあるものの、 条件を満たす試料については、バルクの情報を得る 手法として活用が期待される。 これらの XAS 測定および二次元マッピング測定 では、試料位置をいくつか変えながら一連の XAS 測定を実施したり、あるいは X 線のエネルギーを吸 収端の前後でいくつか変えながら一連の二次元マッ ピング測定を実施したりする場合がある。 BL13U ではそのような一連の測定を自動化するシーケンス プログラムを JASRI が開発し、ユーザー利用課題 に提供している。このプログラムを活用してもらう ことで、昼間に実験条件を確定し、夜間に長時間の 自動測定を実施するような実験の遂行が可能となっ ている。 3 . 3 汎用 XAS 装置(トロイダルミラーの集光光軸 上のフリーポート) A ブランチの顕微 XMCD 装置の下流側は、フリー ポートが二つ準備されている。一つは、後置鏡のト ロイダルミラーにより集光した X 線が利用可能な ポートであり、もう一つは、 S2 スリット後の非集 光の状態の X 線がそのまま利用可能なポートである。 トロイダルミラーは、幾何光学の範囲において、 X 線のサイズを集光点で分光器の出射スリットの サイズの 1/4 に縮小できる設計となっている。実際 に観測される最小サイズは、集光点において 17 μm ( H ) × 10 μm ( V ) 程度である。前節で紹介した顕微 XMCD 装置は超高真空装置であるが、天然鉱物や 生体試料など、超高真空環境下での測定にはなじ まない試料についての研究需要も少なくない。そ のような需要に対応するため、より圧力の高い環 境下においても測定できる装置(汎用 XAS 装置) を、トロイダルミラーの集光光軸上のフリーポー トに JASRI が製作・設置し、本年 3 月~ 4 月にかけ て立ち上げを行った( 図 9 ) 。 5 月からは共同利用 での運用も始まっている。この装置は、上流側に Φ 5 mm のオリフィスが 2 か所に直列に設置された差 動排気システムを装備し、 10 -4 Pa 台の圧力でも上流 側に影響を与えることなく実験を実施できる環境と なっている。同装置では TEY 測定ができるととも に、 SDD も装備しており、 TEY と PFY の同時計測 が可能となっている。また、顕微 XMCD 装置同様、 試料位置をいくつか変えながらの一連の XAS 測定 の実施や、 X 線のエネルギーをいくつか変えながら の一連の二次元マッピング測定の実施を自動化する シーケンスプログラムを開発し、ユーザー利用課題 に提供している。 汎用 XAS 装置における試料の導入については、 現在のところ、測定槽をベントしてマニピュレー ターの先端に多数の試料を並べた試料プレート( 図 図 9 汎用 XAS 装置 140 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 10 (a) )を取り付け、真空引き開始後、 10 -4 Pa 台ま で圧力が下がったところで実験を開始する形で運用 している。今後は、ロードロック槽を追加し、測定 槽をベントすることなく実験が開始できる方式も整 備していく予定である ( 図 10 (b) および 4.3 節 参照) 。 3 . 4 事前試料導入準備槽 (オフライン) 及びグロー ブボックス 測定する試料によっては、ガス放出が多く、超高 真空環境を保持できない場合もある。そのような場 合には、事前に試料を真空引きして、ある程度の低 圧にまでガス放出を抑えられる状態になってから 超高真空槽への移送を行うことが考えられる。そ のような目的で使用する真空槽装置(事前試料導 入準備槽)を JASRI が整備した( 図 11 (a) ) 。また、 BL02U の紹介記事にも記載されていたように、グ ローブボックス ( 図 11 (b) ) も JASRI で整備しており、 嫌気性の試料の準備を実施することが可能となった。 グローブボックスから大気にさらさずに測定槽に移 送するためのスーツケースの利用は今後整備される 予定である。 3 . 5 データ解析 BL13U では、測定した複数のデータをその場で すぐに比較したり、二次元マッピングのデータから 測定したい試料位置を読み取ったりするため、市販 の解析用のソフトウェアにおいてデータを迅速にそ の場で解析するためのマクロを JASRI で準備し、利 用者に提供している。利用者はこのマクロのファイ ルをデータとともにコピーして持ち帰ることができ る。また解析結果をテキストファイルに変換して保 存し、持ち帰ることも可能となっている。 次節では、分割アンジュレーターおよびエンドス テーションの今後の整備予定について述べる。 4.BL13U での今後の整備予定 4 . 1 分割アンジュレーターの整備 現在、偏光スイッチングの実現を最優先とする整 備が QST により進められており、今年度から来年 図 10 ( a ) 汎用 XAS 用の試料プレート。一度に 10 個程 度の試料を載せることが可能。 ( b ) オミクロンプ レートとそのレセプター。ロードロックが整備さ れた際に使用予定。顕微 XMCD で測定した試料 をそのまま測定する用途にも使用できる。 図 11 ( a ) 事前試料導入準備槽、 ( b ) グローブボックス SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 141 ビームライン・加速器 度にかけての期間内で、偏光スイッチングの利用開 始を目指している。計画では、まずは 4 台の分割ク ロス・アンジュレーターを同時使用した数 Hz での スイッチングにて運用し、近い将来 10 Hz の実現を 目指すことが予定されている。偏光スイッチングで は、直線偏光の重ねあわせにより円偏光を生成する ため、直線偏光の 3 次光を利用して 3000 eV までの 円偏光が利用できるようになる。一方、円偏光の 重ね合わせにより生成する直線偏光(スイッチン グが可能)では、利用可能なエネルギーの上限が 1450 eV までとなる( 表 1 参照) 。 4 . 2 顕微 XMCD 装置の整備 今年度あるいは来年度に予定されている整備とし ては、全蛍光収量測定( TFY )の整備が QST によ り予定されている。これは、 SDD による PFY では ロックインアンプ測定に対応できないことから、蛍 光収量法におけるロックインアンプ測定の需要に対 応するためである。また、 XAS 測定の On the fly 測 定や 4 台の分割クロス・アンジュレーターにおける 任意の偏光の利用に向けて、対応する計測プログラ ムを QST と JASRI が協力して整備していく予定で ある。試料周りに関しては、温度調整(液体 He 冷 却と温調)の実装が QST により予定されている。 4 . 3 汎用 XAS 装置の整備 計測プログラムの整備は、上述の顕微 XMCD 装 置と同様である。ここでは、今年度あるいは来年度 に JASRI によって予定されているハードウェアの 整備について述べる。現状では試料の導入は測定槽 をベントしてマニピュレーター先端の試料プレート を付け替える形で実施しているが、測定槽をベント すること無く試料が導入できれば、試料導入に要す るロスタイムを短縮することができる。そこで、オ ミクロンプレート型試料キャリアーのレセプターを 装備したロードロック槽を増設する予定である。ま た、試料の鉛直軸周りの回転角度を任意に変更する ため、モーター駆動可能な差動排気付き回転導入器 ( differentially pumped rotary feedthrough, DPRF )を マニピュレーター上部に装備する予定である。 4 . 4 高磁場 XMCD 装置の整備 A ブランチの下流では、非集光フリーポートの延 伸および超伝導電磁石による高磁場 XMCD 測定用 ステーションの建設が QST により予定されている。 2026A 期から試験運用を開始し、早期のユーザー利 用開始に向けた整備が進められる予定である。 4 . 5 B ブランチの整備 B ブランチでは、 QST によるフレネルゾーンプ レートによる集光系を有する透過型の XAS 測定実 験ステーションの製作が予定されている。この装 置では 10 nm の空間分解能の実現を目標としており、 早期のユーザー利用開始に向けた整備が進められる 予定である。 4 . 6 第一原理計算に取り組む利用者への支援 測定された X 線吸収スペクトルや XMCD スペク トルを、第一原理計算を用いて解析することで、よ り詳細な電子状態や局所構造の情報を得ることがで きる。これまでに多くの計算手法や計算コードが開 発されており、理論計算を専門とする研究者ではな くても計算ソフトウェアに接することができる機会 が増えてきている。しかしながら、そのような第一 原理計算のソフトウェアを適切に使いこなすには専 門家からの助言が欠かせない。そこで、 JASRI では、 第一原理計算に取り組む非専門家の利用者に対し、 希望があれば第一原理計算の専門家からの助言が得 られる支援環境の整備を進めている。このような支 援は、測定結果の研究的価値を高め、成果創出に直 結し易くする効果を持つと共に、新規ユーザーが軟 X 線吸収分光へ参入する際の障壁を下げる効果もも たらすと期待される。 5.まとめと展望 ここまで紹介させていただいたように、 BL13U は、分割アンジュレーターによる高速偏光スイッチ ングと 180 3000 eV の放射光を高エネルギー分解 能・高強度で利用できるという特筆すべき特徴を有 するビームラインである。そのような放射光を活用 するエンドステーションとして、現在、 A ブランチ には常設の顕微 XMCD 装置( QST )およびフリー 142 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS ポートの汎用 XAS 装置( JASRI )が製作され、共 用実験にて運用されるとともに、それぞれの装置に ついては、高機能化の整備も進められている状況に ある。今後も、 A ブランチの下流には超伝導電磁石 による高磁場 XMCD 装置の製作( QST )が予定さ れ、 B ブランチにはフレネルゾーンプレートによる ナノ集光 X 線を用いた透過型 XAS 装置の製作 ( QST ) が予定されている。また、第一原理計算に取り組む 非専門家の利用者への支援環境の整備( JASRI )も 進めている。 これらの既定の整備・開発に加えて、大気圧環境 下での XAS 測定システムの整備、あるいは偏光ス イッチングを活用した複素誘電率測定 [15] や分割ア ンジュレーターを活用したベクトルビームの生成 [16] なども、 BL13U の可能性を最大限に引き出すとい う視点において、今後の重要な検討課題である。 なお、エンドステーションの整備状況は、課題公 募時に公開されるビームライン情報の中に反映され 更新されていく予定である。利用者の方々には注視 していただきたい。ビームラインの共同利用は今春 より始まったばかりであり、様々な追加整備が現在 進行形であるが、今後 BL13U が世界の軟 X 線ビー ムラインの中で確固とした地位を築き、放射光科学 の発展に大きく寄与していく姿を皆様に見ていただ けたらと願っている。 6.謝辞 これまで、 BL13U の設計・建設・立ち上げ・運用 に関わってこられた QST 、 JASRI の関係者の方々を はじめとする、すべての方々に深く感謝申し上げる。 と り わ け、 QST NanoTerasu セ ン タ ー の 大 坪 嘉 之 博士、稲葉健斗 博士、 JASRI ナノテラス事業推進室 の 本 間 徹 生 博 士、 小 谷 佳 範 博 士、 菅 大 暉 博 士、 河 合 敬 宏 博 士、 小 出 明 広 博 士、 高 垣 昌 史 博 士、 横町和俊 氏には本稿の作成において大変お世話 になった。改めて心より御礼申し上げる。最後に NanoTerasu の運転・維持・管理に関わられている すべての方々に感謝の意を表する。 参考文献 [ 1 ] Y. Ohtsubo et al .: J. Phys.: Conf. Series 2380 (2022) 012037. [ 2 ] 宮脇淳 , 堀場弘司 , 大坪嘉之 , 放射光 37 , (2024) 95-103. [ 3 ] Y. Ohtsubo et al .: J. Phys.: Conf. Series 3010 (2025) 012079. [ 4 ] A. Agui et al .: Rev. Sci. Instrum. 72 (2001) 3191- 3197. [ 5 ] G. Ingold et al .: Proceedings of EPAC 2000 , Vienna, Austria (2000) 222-226. [ 6 ] T. Hara et al .: J. Synchrotron Rad ., 5 (1998) 426- 427. [ 7 ] J. Bahrdt et al .: Rev. Sci. Instrum . 63 (1992) 339- 342. [ 8 ] T. Tanaka and H. Kitamura, Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A 490 (2002) 583-591. [ 9 ] I. Matsuda et al .: e-J. Surf. Sci. Nanotechnol . 17 (2019) 41-48. [10] S. Yamamoto et al .: J. Synchrotron Rad . 21 (2014) 352-365. [11] I. Matsuda et al .: Nucl. Instum. Methods Phys. Res. A 767 (2014) 296. [12] A. C. Thompson et al .: X-ray data booklet (Lawrence Berkeley National Laboratory, University of California, Berkeley, CA 2009) chap.1, 2-7. [13] 高橋嘉夫 , 岩石鉱物科学 45 (2016) 93-98. [14] A. J. Achkar et al .: Phys. Rev. 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Lett . 113 (2018) 021106. 脇田 高徳 WAKITA Takanori (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 利用研究推進グループ 〒 980 - 8572 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 468 - 1 - 209 室 TEL : 050 - 3502 - 6477 e-mail : wakita.takanori@jasri.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 143 ビームライン・加速器 (公財)高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室 回折構造生物チーム 長 谷 川 和 也、 馬 場 清 喜 Abstract 回折・散乱推進室 回折構造生物チームは、共用の生体高分子結晶解析ビームライン BL41XU の高性能化・ 利用支援と、理研ビームライン BL26B1 の共用枠の利用支援を行っている。同じく生体高分子結晶解析ビーム ラインである BL45XU が自動測定に特化しているのに対し、 BL41XU では、自動測定を含む通常のデータ測 定に加え、遠隔実験、室温での測定や顕微分光と組み合わせた回折実験など、自動では難しい実験を行うこと ができる。ビームラインの高性能化として、室温構造解析と時分割構造解析を中心に、タンパク質の構造ダイ ナミクスに関わる回折データ測定のための技術開発を進めている。時分割構造解析では、 SACLA と相補的に 利用できる環境の構築が重要であり、 SACLA と連携して整備を進めている。 1.はじめに 回折・散乱推進室 回折構造生物チームは、共用 ビームライン BL41XU の利用支援と理研ビームラ イン BL26B1 の共用枠の利用支援を行っている。ま た、高性能化においては、近年多岐にわたる生体高 分子の構造研究のニーズの中で、室温構造解析と時 分割構造解析の 2 つに対して重点的に測定技術の開 発を進めている。本稿では、これらのビームライン の運用と高性能化について紹介する。 2.ビームラインの運用・利用支援 BL41XU には実験ハッチが 2 つあり、下流側にあ る実験ハッチ 2 は波長 0.7 ~ 1.9 Åの X 線を用いた回 折実験(通常モード)に、また上流の実験ハッチ 1 は波長 0.35 ~ 0.6 Åの X 線を用いた回折実験(高エ ネルギーモード)に利用されている。通常モードで は最小 5 μm のマイクロビームが利用でき、数 μm の 微小結晶からの回折データ測定も可能である。自動 測定・遠隔実験を含む凍結結晶を用いた通常のデー タ測定に加え、室温での測定や紫外可視顕微分光法 と組み合わせた回折実験など、自動では難しい回折 実験を行うことができる( 図 1 ) 。高エネルギーモー ドでは、この領域に吸収端をもつ元素の位置の決定 や、分解能 0.8 Åを超えるような超高分解能での構 造解析 [1][2] などに利用されている。このような高エ ネルギー X 線を用いた回折実験ができる生体高分子 結晶解析ビームライン( MX ビームライン)は国内 では BL41XU だけであり、世界的にも珍しい。 BL26B1 では、偏向電磁石 BL の自由度を活かし、 室温測定や汎用的な高分解能測定などに対応してい る。活性部位の化学状態を同定するための紫外可視 顕微分光法と組み合わせた回折実験も可能である。 また、我々の技術開発にも利用されており、後段で 紹介する紫外可視顕微分光装置やプレート回折装置 [3] はここで開発され、 BL41XU に導入された。 これらビームラインの性能諸元は次のサイトを参 照されたい。 http://stbio.spring8.or.jp/ja/blinfo/SPring8_PX_ beamlines.pdf 図 1 BL 41 XU 実験ハッチ 2 の回折計 利用系グループ活動報告 JASRI 回折・散乱推進室 回折構造生物チーム 144 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 3.ビームラインの高性能化 放射光ビームラインにおけるタンパク質結晶の回 折データ測定は、多くの場合、 X 線照射損傷を低減 するために結晶を 100 K の極低温に冷やし、凍結状 態で行う [4] 。しかしながら、タンパク質によっては 凍結状態と非凍結状態で活性部位の構造が異なると いう報告もされており [5] 、ここ十年来、室温での構 造解析が注目されている。また、結晶構造解析で得 られる構造は、タンパク質の働く過程で存在する状 態のうちの一つを捉えたものであることが多い。実 際には生体中ではタンパク質は大きく構造変化して おり、その変化(構造ダイナミクス)が機能発現に 重要である。そこで、このような構造ダイナミクス に関わる構造解析を行う環境を BL41XU に構築す るため、室温構造解析と時分割構造解析を中心に高 性能化を進めている。 ( 1 )室温構造解析 室温での測定では、環境変化に敏感な非凍結状態 の結晶を、データ測定中にいかに品質を保持するか が重要になる。そのための手法として、 Humid Air and Glue-coating method ( HAG 法)の開発を進めて きた [6] 。この手法は、ポリビニルアルコール ( PVA ) などの水溶性ポリマー溶液で包埋した結晶に調湿気 流を吹き付けることで非凍結状態で回折実験を行う 我々独自の手法である。この手法を用いた癌関連 タンパク質 H-Ras の室温構造解析では、閉じた状態 の H-Ras の結晶の湿度を変えたところ開いた構造が 捉えられている [7] 。また、気流の湿度を保ちながら 温度を変えることも可能であり、様々な温度で回折 データを測定することができる [8] ( 図 2 ) 。このよう な手法は Multi-temperature crystallography と呼ばれ、 温度変化に伴う平衡状態の遷移で現れる新たな構造 を捉えることが可能である [9][10] 。現在、さらに別の 物理パラメータを変えながら回折実験を行う技術開 発も進めており、ユニークな技術として新規ユー ザーを取り込むことが期待される。 室温測定のもう一つの手法として、プレート回折 法の高性能化も進めている。プレート回折法は、タ ンパク質の結晶を析出させた結晶化プレートに入っ たまま X 線を照射し、回折データを測定する手法 である [3] 。室温での構造解析という目的に加えて、 ループで掬うという結晶ハンドリングがない利点を 生かした回折実験の効率化・自動化のために開発を 進めてきた。 2025A 期に BL41XU へのプレート回 折計の実装が完了し、現在、相関構造生物チームと 連携して本手法の自動化を進めている。 ( 2 )シリアル結晶解析法による時分割構造解析 シ リ ア ル 結 晶 解 析 法 は、 X 線 上 に 逐 次 搬 送 さ れ る 微 小 結 晶 に X 線 を 照 射 し て 回 折 デ ー タ を 取 得する方法であり、 SACLA などの XFEL 施設で 開 発 さ れ た。 そ の 成 功 を 受 け て、 放 射 光 の MX ビ ー ム ラ イ ン で も 行 わ れ る よ う に な り、 S e r i a l Synchrotron Crystallography ( SSX ) と 呼 ば れ て い る [11] 。 BL41XU で も Serial Synchrotron Rotation Crystallography ( SSROX ) や、それを HAG 法と組 み合わせた HAG-SSROX など、微小結晶解析法の 改良を進めてきた [12][13] 。ここで培った測定技術を 発展させる形で、 2 種類のシリアル結晶解析法によ る時分割構造解析環境の構築を進めている。 一 つ は X F E L 施 設 の S e r i a l F e m t o s e c o n d Crystallography ( SFX ) で使われているインジェク ターを用いる方法である。インジェクターから射出 される微小結晶に X 線を照射して回折データを測 定する手法であり、反応を開始する励起レーザーと 組み合わせることで時分割測定を行う。放射光で は露光時間がミリ秒オーダーになることから Serial Millisecond Crystallography ( SMX ) と も 呼 ば れ、 海外では SFX と組み合わせた構造解析も行われて いる [14] 。我々も SACLA の SFX 実験で実績のある 高粘度媒体インジェクター [15] を BL41XU に導入し、 図 2 HAG 法を用いた室温での回折実験 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 145 ビームライン・加速器 東北大学の南後教授のグループと連携して立ち上げ を進めている。既に励起レーザーの整備やタイミン グ制御系の構築は終わり、光受容タンパク質の時分 割測定を進めており、構造変化を捉えつつある。 もう一つは固定ターゲット法である。この方法で は、テーパー状の穴が数万個あいたシリコン製のサ ンプルチップに結晶をトラップし、あらかじめ計算 した穴の位置を高速で X 線光軸上に逐次移動しなが ら回折データを取得する [16] 。サンプルチップへの 微小結晶の搭載手順の確立や、高速で移動しながら 結晶に X 線を照射するための制御系の準備が完了し、 静的な実験ではあるものの試験的なユーザー利用を 開始した ( 図 3 ) 。反応のトリガーとして、タンパク 質と反応する化合物(基質)を結晶に添加する方法 の開発を進めており、これまでにサンプルチップの 動きに同期してインクジェットで基質の液滴を添加 しながら回折データ測定を行う技術を確立している。 2025B 期に標準試料の結晶に基質を添加する実験を 行う予定である。 リックで、レーザー照射、結晶の凍結、サンプルカ セット( UniPuck )への試料の収納までを行うシス テムを構築している。こうして準備した凍結結晶試 料は、自動測定で回折実験を行うことができる。 また、この試料準備室には紫外可視顕微分光装置 を整備し、結晶中のタンパク質の状態を分光学的に 決定できるようにしている。これを使うことで、反 応開始後の構造変化のタイムスケールの見積もりや、 外場変化で生じる状態の決定を分光学的に行うこと ができる。なお、この顕微分光装置は非常にコンパ クトに設計されており、 BL41XU の回折計にも設置 でき、回折実験を行いながら結晶中のタンパク質の 状態を確認することにも使える。 4.今後の展開 SPring-8-II へ の ア ッ プ グ レ ー ド が 近 づ く 中 で、 BL41XU ではピンクビームを用いるためのビームラ インの改造を提案している。これが実現すると、サ ブミリ秒の時間分解能の時分割構造解析も行える ようになり SACLA と相補的に利用する環境が整う。 それに向けてこれまで以上に SACLA との連携を強 めて高性能化を進めてゆきたい。 構造生物研究を取り巻く環境は、クライオ電子顕 微鏡 ( CryoTEM ) による構造解析の普及や高精度構 造予測プログラムの出現により 10 年前と様変わり している。 SPring-8 キャンパスにも CryoTEM が導 入され、結晶化の難しい膜タンパク質や超分子複合 体など、いわゆる高難度試料の構造解析に利用され ている。このような中で、良質な結晶が得られれば 高い分解能で迅速に構造を決めることができること や、室温でも構造解析ができるという放射光 X 線結 晶解析法の利点を生かした整備が MX ビームライン には求められている。 CryoTEM や自動化に特化し た BL45XU を担当する相関構造生物チームと連携し、 今後も SPring-8 キャンパスの構造生物学研究に貢献 していきたい。 謝辞 BL41XU への SACLA 高粘度媒体インジェクター やレーザーなどの導入にあたっては東北大学の南後 恵理子博士、 JASRI の登野健介博士、大和田成起博 図 3 固定ターゲット法による回折実験 ( 3 )測定試料準備室の整備 ここまで、室温構造解析・時分割構造解析に向け た高性能化について述べてきたが、従来の凍結法に よる構造解析も構造ダイナミクス研究において有効 である。外場からの摂動もしくは反応開始のトリ ガーを与えた後、一定のディレイ時間後に結晶を凍 結することで変化を起こしたタンパク質の構造を固 定することができる。そのために、 BL41XU のハッ チの後方にプレハブ試料準備室を整備し、ワンク 146 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 BEAMLINES・ACCELERATORS 士、理化学研究所の鈴木則広氏にご協力いただき ました。固定ターゲット法の立ち上げにあたって は Diamond Light Source の Robin Owen 博士と Sofia Jaho 博士に大変お世話になりました。心より感謝 申し上げます。 参考文献 [1] K. 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D 75 (2019) 151- 159. 長谷川 和也 HASEGAWA Kazuya (公財)高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室 回折構造生物チーム 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 0791 - 58 - 0833 e-mail : kazuya@spring 8 .or.jp 馬場 清喜 BABA Seiki (公財)高輝度光科学研究センター 回折・散乱推進室 回折構造生物チーム 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 0791 - 58 - 0833 e-mail : baba@spring 8 .or.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 147 ビームライン・加速器 公益財団法人高輝度光科学研究センター XFEL 利用研究推進室 先端光源利用研究グループ 籔 内 俊 毅 12th Hard X-ray FEL Collaboration Meeting 1.はじめに 12th Hard X-ray FEL Collaboration Meeting が 2025 年 5 月 19 日から 21 日の日程でスイスのシュトー スで開催された。この会議は、日本、アメリカ、ド イツの 3 拠点の硬 X 線自由電子レーザー( XFEL ) 関係者によって 2007 年に初めて開催されたもので ある。当時は XFEL の稼働前であり、 XFEL の加速 器技術と利用技術に関する共通課題の解決に向けた 協力や、人材の交流による XFEL 科学技術の推進を 目的として企画された。現在でも、 XFEL 施設間の 科学的または実践的な情報共有と協力関係の維持発 展が本会議の主な目的である。 近年では、 2019 年にアメリカ LCLS が主催した 第 10 回の会議の後、新型コロナウィルス感染症 の影響を受けてしばらく開催が見送られていたが、 2023 年に European XFEL の主催で再開された。第 12 回目の開催となる今回の会議には、現在稼働中 の LCLS 、 SACLA 、 PAL XFEL 、 European XFEL 、 SwissFEL の 5 つの XFEL 施設に加え、中国上海に 建 設 中 の SHINE の 関 係 者 が 参 加 し た。 主 催 機 関 である SwissFEL ( PSI )と隣国の European XFEL/ DESY 以外の機関からは各機関 10 名程度が参加し、 SwissFEL の 30 名、 European XFEL の 20 名 と あ わ せて全参加者は 90 名程度であった。 なお、対面での会議開催が見送られていた期間 においても、 European XFEL/DESY が中心となっ て、オンラインで “ Virtual Hard X-ray Collaboration Meeting ” が毎月のように開催されていた。ここでは 各回 1 時間程度の講演の他、各施設の運転・整備や 技術開発の状況が短く報告されるなど、対面での交 流が難しい状況においても情報交換や交流はある程 度維持されていた。ただ、やはりオンラインと対面 とでは得られる情報には違いがあることを今回も実 感した。 本会議は、同時並行で行われる加速器技術のセッ ションと X 線計測・利用技術のセッションの他、各 施設の最新情報の報告と、加速器及びビームライン の双方に関係する話題について議論するための全 体セッションで構成されている。また、 40 名程度 の希望者に対しては、会議後に PSI ( SwissFEL と SLS )の見学ツアーが開催された。 2.会議内容 会議の冒頭では、主催機関である SwissFEL か ら、開催にあたっての挨拶と会議の全体像の説明が 行われた。それに続く形で各機関からの施設報告が 行われた。ここでは、各施設から利用運転や最新の 高度化の状況と将来計画などが報告されたが、今回 もっともインパクトがあったのは European XFEL からの報告であったと思う。 LCLS に続いて 2 番目 に行われた彼らの施設報告では、昨年新しくディレ クターになった Thomas Feurer 氏が登壇した。ただ、 筆者が会期を通して最も聴衆の注目を集めたと感じ る彼らの XFEL-O ( XFEL Oscillator )プロジェクト の最新の進展に関する 2 ページのスライドについて は、直接実務者から報告がなされた。このプロジェ 図 1 会議場の様子(オープニングセッション) 148 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT クトはアンジュレーターを挟んでダイヤモンドの結 晶を使って共振器を組み、 X 線増幅を目指す研究開 発である。稼働中の XFEL 施設としては European XFEL でのみ実用可能な MHz の繰り返し電子バン チを活用している。今回の報告は、会議の前日の実 験において、この共振器型の XFEL におけるエネル ギー増幅が初めて確認されたというものであり、参 加者から非常に強い関心を集めた。ところで、今 回 LCLS の施設報告では LCLS-II の現在の運転状況 ( 33 kHz の繰り返し周波数で、 400-1000 eV の光子 エネルギー帯において最大 500 μJ 程度のパルスエネ ルギーを達成)や、引き続き計画されている LCLS- II-HE へのアップグレード計画について報告がなさ れていた。実は LCLS-II の最初の光が確認されたの は、前回この会議がドイツで開催されている最中で あった。当時、 LCLS の速報を聞いて参加者から拍 手が起こったと記憶している。このような、まさに 最新の情報の共有の場に立ち会えることは純粋に面 白い。 この報告に次いで目立ったトピックとしては、 ア ト 秒 XFEL の 生 成 と 評 価 が 挙 げ ら れ る。 LCLS 、 European XFEL 、 SACLA 、 SwissFEL において、軟 X 線や硬 X 線のアト秒 FEL の発生と特性の診断に関 する研究が精力的に行われている。このトピックの 注目度と目覚ましい進展具合は、最終日の全体セッ ションのタイトルが当初予定の「 Short pulses 」か ら「 Very Short pulses 」に急遽変更された様子から も見て取れる。 PAL XFEL や建設中の SHINE にお いては、まだ実験や検証には至っていないものの、 すでにシミュレーションなどの検討が開始されてい るということであり、サブフェムト秒パルスの開発 と利用に向けた取り組みが今後一層活発になること を感じさせた。 ところで、ある機関の施設報告においては、高電 圧モジュレーターの不具合とそれよって引き起こさ れたインシデントが、その後の対応とともに具体的 に紹介されていた。本稿の冒頭で紹介した Virtual Collaboration Meeting においても、いくつかの機関 から冷却水や電気関係の事故、装置の不具合などが 何度か紹介され共有されていた。このような、いわ ば「目立った成果」ではないものも含めて情報共有 されるところは、この会議が一般的な科学的な会議 と趣が異なっていることを実感させられるところで ある。 施設報告の後は、 2 日目の夕方まで加速器技術と X 線計測・利用技術の両分野に関するセッションが パラレルに開催された。今回の会議では各分野で以 下の 3 つのセッションテーマが設定された。 【加速器技術】 · Setup and quality assurance procedures · Coherence enhancement · FEL timing and synchronization 【 X 線計測・利用技術】 · X-ray optics and diagnostics · Applications of AI · Large data handling なお、この会議では、セッションごとに 1 2 名の コンビーナー(主には主催機関に所属する研究者) が割り当てられる。各機関の参加者らは、コンビー ナーから各セッションで共有、議論するトピックを 会議開催前に案内され、セッションでの報告の依頼 を受ける。当日のセッション構成や流れはコンビー ナー次第である。各施設の参加者が順に発表して発 表毎に質疑が行われる一般的な学会に近い形式の場 合もあれば、各施設から提出された資料を取りまと めてコンビーナーが発表し、その他の時間を議論に 充てる形式が取られる場合もある。いずれにしても 情報共有や議論の満足感が、コンビーナーの事前準 備と当日の采配に大きく依存するのが実情である。 今回、筆者は X 線計測・利用技術側の 3 セッショ ンに参加した。以下ではこれらのセッションで報告、 議論されたことのうち、特に筆者の印象に残ったこ とを紹介する。 超伝導加速器を用いる LCLS-II が動き始めたこと もあって、高繰り返し X 線パルスによる光学素子 への熱負荷やパルス毎の特性評価技術に関する話題 がやや目立ってきているように感じた。また、極限 集光ビームの実現とその評価については、引き続き SACLA に優位性があり、信頼性の高い波面計測技 術とそれを活用した自動調整技術などについて共同 研究の可能性も含めて議論が行われた。反射系光学 素子ではなく、屈折レンズを用いた X 線集光に関連 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 149 研究会等報告 して、ダイヤモンドレンズの開発状況や評価結果が DESY との共同研究として European XFEL から紹 介された。ベリリウムレンズの入手が困難になって いる現状を踏まえると、今後の動向を注視したいト ピックである。一方で、 1 つのセッションでここに 記した以外のトピックについても各機関が取り上げ ていたため、個々のトピックについて深く議論され なかったことが惜しまれる。 人工知能( AI )を活用した自動調整の利活用の 事例は、 X 線計測・利用技術側の枠での開催にも関 わらず、加速器運転に関連したものが目立っていた。 機械学習( ML )を用いた加速器運転は、 SACLA では日々の調整と運転に使用されており、 X 線パ ルスの特性最適化や安定運用に大きく貢献してい る。一方、 LCLS と European XFEL よる自動調整用 ソフトウェアの共同開発の取り組みなどが紹介され たものの、実際の運転に AI/ML がどの程度うまく 活用されているかという点では施設間で大きな差が あるように感じた。 X 線特性診断に AI をどのよう に活用できるかについては、主に SwissFEL から取 り組みが紹介されたが、まだかなり初期の試験段階 であるように見受けられた。しかし、 SACLA の加 速器やビームライン調整、極限集光調整にも様々な 自動調整がうまく利用されている状況を踏まえると、 AI/ML にどのような活用法があるかは継続して検 討するべきであろう。 これらのパラレルセッションの議論のサマリーに ついては、閉会前の最後の全体セッションで、各 セッションのコンビーナーから簡単に報告され た。それによると、加速器側のセッションでも AI/ ML 技術の活用やソフトウェアの開発について議 論がなされたとのことであった。また、 Coherence enhancement の セ ッ シ ョ ン で は、 先 に 紹 介 し た European XFEL の XFEL-O について詳細が報告さ れたということであった。なお、このサマリーセッ ションの前には、全体セッションとして前述した アト秒 XFEL に関する情報共有とパネルディスカッ ションが行われた。 3.施設見学(PSI) 会議終了後には、 PSI にて SwissFEL と SLS を見 学するツアーが希望者向けに開催された。あいにく 会議 2 日目から連日天候がすぐれなかったため、時 折強く雨が降る中での見学となった。 ツアーでは、まず回折限界リングとしてアップグ レードが行われた SLS2.0 の蓄積リング収納部内と 3 つのビームラインを見学した。ビームラインの立 ち上げを行なっている最中であったにもかかわらず、 この日の午前中は見学のために運転を中断させてい たようである。見学したビームラインの 1 つである 物質科学関連の回折実験ビームライン( ADDAMS : ADvanced DiffrAction for Materials Science )は、 ちょうど見学に前後してファーストビームの導入が 計画されていたらしく、見学前日に初めて光がハッ チまで導入されたことをビームライン担当研究員が やや興奮気味に教えてくれた。 続いて訪れた SwissFEL では実験ホール側から入 室し、加速器の最下流部付近までを歩いてさかの ぼって見学することができた。時間が限られる中 ではあったが、 5 つの全エンドステーションを見学 することができた。 SLS ではタンパク質の結晶構造 解析の自動測定システムを詳細に見せてもらった が、それと同じ装置が SwissFEL にも導入されてお り、本格的に運用されればハイスループット化に大 きく貢献しそうである。 SwissFEL の実験ハッチは 比較的広く、各ハッチにポンプ・プローブ実験用の 光学レーザーが設置されている割には、スペースに 余裕があるように感じられた。そのような環境にお いて、大型の装置でも比較的簡便に置き換えられる 図 2 SwissFEL の Cristallina エンドステーションに設置 されたシリアルフェムト秒結晶構造解析のセット アップ 150 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT ように考慮して設計されている点、定型実験を効率 的に行えるようにハードとソフトの両面の工夫され ている点は大変参考になった。 4.おわりに 本会議は世界の XFEL 施設の関係者が一堂に会し て行われるものであり、各施設の最新の動向を一度 に知ることができる貴重な機会である。また、数日 間にわたって参加者らとセッション外でも交流でき る機会があることで、施設間の共同研究につながる ような議論が行えるところも有益である。 なお、次回の会議が 2026 年 9 月に韓国において PAL 主催で開催される予定であることが本会議の最 後に案内された。今後 SHINE の整備が順調に進め ば、次々回は中国での開催となる見込みである。 籔内 俊毅 YABUUCHI Toshinori (公財)高輝度光科学研究センター XFEL 利用研究推進室 先端光源利用研究グループ 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 050 - 3502 - 4815 e-mail : tyabuuchi@spring 8 .or.jp SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 151 研究会等報告 SPring-8 夏の学校実行委員会 委員長 木 村 滋( JASRI ) 「第 25 回 SPring-8 夏の学校」実施報告 1.SPring-8 夏の学校概要 「第 25 回 SPring-8 夏の学校」 は 2025 年 7 月 6 日 (日) ~ 7 月 9 日 (水)の 4 日間の日程で、日本国内の 25 大 学から 83 名の学生の参加を得て、放射光普及棟お よび SPring-8 蓄積リング棟を会場として開校されま した。 SPring-8 夏の学校は、次世代の放射光利用研 究者の発掘と育成を目的として、 SPring-8 を教育の 場として活用している大学と SPring-8 および関係諸 機関(理化学研究所 放射光科学研究センター、日 本原子力研究開発機構 物質科学研究センター、量 子科学技術研究開発機構 関西光量子科学研究所、 兵庫県立大学理学部・大学院理学研究科、関西学院 大学理学部・工学部・生命環境学部・大学院理工学 研究科、岡山大学、大阪大学蛋白質研究所・核物理 研究センター・理化学研究所科学技術融合研究セン ター、茨城大学大学院理工学研究科、東京大学シ ンクロトロン放射光連携研究機構、島根大学、 (公 財)高輝度光科学研究センター( JASRI ) )が主催 し、ビームラインの使用機会や講師等を供出しあっ て開催しています。校長は兵庫県立大学の田中義人 教授にお願いしました。実行委員会は主催団体のス タッフで構成され、事務局は JASRI 利用推進部普 及情報課が行いました。なお、主催大学の中には SPring-8 夏の学校への参加を講義として単位認定し ているところもあります。 2.カリキュラムについて SPring-8 夏の学校では通例として、初日に 3 講義、 2 日目に 4 講義を行い、その後の 2 日間は、各自が 希望するテーマの中から 2 テーマの実習をビームラ インで行っています。また、 SACLA と SPring-8 の 実験ホールの見学、さらには SPring-8 蓄積リングの 電磁石や挿入光源の見学を行いました。今年の実施 スケジュールを 図 1 に示します。 講義の題目および講師 (敬称略) は以下の通りです。 講義 1 . 放射光発生の基礎 - 正木 満博( JASRI ) 講義 2 . ビームライン~光源と実験ステーションを 繋ぐもの~ - 湯本 博勝( JASRI ) 講義 3 . X 線検出器の基礎 - 今井 康彦( JASRI / 理化学研究所) 講義 4 . X 線自由電子レーザー入門 - 井上 伊知郎 (東京大学 / 理化学研究所) 講義 5 . X 線イ メージング - 篭島 靖 (兵庫県立大学) 講義 6 . X 線回折入門 - 高橋 功(関西学院大学) 講義 7 . XAFS の基礎 - 田渕 雅夫(名古屋大学) 図 1 第 25 回 SPring- 8 夏の学校日程表 152 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT 図 2 に講義の様子を示します。講義後には質疑応 答も活発に行われました。なお、今回の講義 4 を担 当された井上先生は、第 11 回の SPring-8 夏の学校 を修了されています。 ビームライン実習は 26 ビームラインで行われま した。実習のテーマと使用したビームラインおよび 担当者(敬称略)は以下の通りです。 BL01B1 : " その場 " XAFS 計測 - 加藤 和男・片山 真祥( JASRI ) BL02B1 : 単結晶構造解析の入門 - 野上 由夫 (岡山 大学) ・中村 唯我・一栁 光平( JASRI ) BL02B2 : 粉末 X 線構造解析の基礎 - 河口 彰吾・ 小林 慎太郎・森 祐紀( JASRI ) BL04B1 : 大容量高圧プレスによる高圧誘起相転移 その場観察実験 - 肥後 祐司( JASRI / 茨城大学) ・柿澤 翔・辻野 典秀( JASRI ) BL04B2 : 高エネルギー X 線を用いたガラス・ 液体の 構造解析 - 尾原 幸治・廣井 慧(島根大 学 /JASRI ) ・ 山田 大貴 ・ 下野 聖矢 ( JASRI ) BL07LSU : タイコグラフィによる軟 X 線顕微イメー ジング - 木村 隆志(東京大学) BL08W : コンプトン散乱イメージング - 辻 成希、 水野 勇希( JASRI ) BL10XU :ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧 X 線回折実験 - 門林 宏和・平尾 直久 ( JASRI ) BL11XU : 共鳴非弾性 X 線散乱・ X 線発光分光に よる白金微粒子酸化還元のその場計測 - 石井 賢司(量子科学技術研究開発機構 / 岡山大学) ・松村 大樹(日本原子力研究 開発機構 / 関西学院大学) BL13XU : サブミクロン集光放射光ビームによる局所 領域回折実験 - 隅谷 和嗣( JASRI ) BL14B2 : XAFS 分析の基礎 - 大渕 博宣・渡辺 剛 ( JASRI ) BL17SU : 光電子顕微鏡 ~ナノ分解能で見る元素 分布と磁気構造~ - 濵本 諭(理化学研 究所) ・大河内 拓雄(兵庫県立大学) BL19B2 : 粉末 X 線回折 - 大坂 恵一、仲谷 友孝 ( JASRI ) BL20B2 : 放射光 X 線マイクロ CT を用いた 3 次元 画像計測の基礎 - 星野 真人、安東 航太、 竹田 裕介( JASRI ) BL22XU : X 線回折法を利用した金属材料応力・ひ ずみ評価 - 菖蒲 敬久・冨永 亜希(日本 原子力研究開発機構) BL25SU : 軟 X 線光電子分光を用いた電子状態解析 - 大槻 太毅 (岡山大学) 、 山神 光平 ( JASRI ) BL26B1 : 単結晶回折(タンパク質) - 上野 剛(理 化学研究所) ・河村 高志( JASRI ) BL31LEP : GeV 光ビームの生成と物質との相互作用 - 石川 貴嗣・水谷 圭吾・小早川 亮・桂川 仁志・田中 慎太郎・橋本 敏和 (大阪大学) BL35XU : 核共鳴散乱前方散乱を利用した電子状態 解析 - 永澤 延元・依田 芳卓( JASRI ) BL37XU : 走査型顕微分光法の基礎 - 新田 清文・ 関澤 央輝( JASRI ) BL38B1 : BioSAXS によるタンパク質分子の溶液 構造解析 - 関口 博史・長尾 聡( JASRI ) BL39XU : 高エネルギー分解能蛍光 X 線検出 X 線吸 収分光法による電子状態解析の基礎 - 東 晃太朗・河村 直己( JASRI ) BL41XU : 単結晶回折 (タンパク質) - 長谷川 和也 ・ 坂井 直樹・水野 伸宏( JASRI ) BL43LXU : X 線非弾性散乱による原子振動測定 - 石川 大介 ・ 福井 宏之 ・ 萬條 太駿( JASRI ) BL44XU : 単結晶回折(タンパク質) - 中川 敦史 ( JASRI/ 大阪大学) ・山下 栄樹(大阪大 学) ・山口 峻英(茨城大学) BL46XU : 硬 X 線光電子分光 - 安野 聡 ・ Seo Okkyun ・ 髙木 康多 ( JASRI ) 図 2 講義の様子 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 153 研究会等報告 参加者は上記テーマの中から希望を考慮して決定 された 2 テーマの実習を 1 日 1 テーマずつ実施しま した( 図 3 ) 。 前述の講義、実習の他、 2 日目に SACLA の見学 と SPring-8 実験ホールの見学、 3 日目に SPring-8 蓄 積リングの見学があります。普段あまり見ることの できない装置の見学ができることも SPring-8 夏の学 校の魅力になっています( 図 4 ) 。 その他、 1 日目の夕方にはスライド 1 枚を使って 1 人 1 分で行う自己紹介の時間を設けています。ま た、 1 日目と 3 日目の夜には、懇親会(参加希望者 のみ)も実施しています。これらは、 SPring-8 夏の 学校に早くなじんでもらうためだけでなく、他大学 の多くの学生との交流を通じて、将来的にも何らか のネットワークが形成されることも期待しています。 懇親会は実費を徴収していますが、多くの学生が参 加し、学生同士や講師の先生、実習担当者らと交流 を深めていました。 3.おわりに SPring-8 夏の学校は 2001 年度から始まり、今回 で 25 回目を迎えました。コロナ禍も規模は縮小し ましたが、開校してきました。毎回ほとんどの参加 者から、 「参加して良かった」との声を聞かせても らっています。最近では毎回 80 名を超える参加希 望者があり、これまでにのべ 1,502 名が参加してい ます。初期の参加者の中には大学で教授になってい る方々もいます。また、多くの参加者が大学卒業 後や大学院修了後も、大学や企業の研究者として SPring-8 を利用されています。この記事を読んで興 味を持った大学院生の皆様、来年以降の参加をお待 ちしています。 最後に集合写真を 図 5 に示します。 図 3 実習の様子 図 5 集合写真 図 4 SPring- 8 蓄積リング見学の様子 154 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT 謝辞 丁寧でわかりやすい講義をしていただいた講師の 先生方、 2 日間熱心に指導していただいた実習担当 の皆様、わかりやすい説明で参加者の興味を引きつ けてくださった見学引率者の皆様、 SPring 8 蓄積リ ングの見学を実施していただいた JASRI 加速器部 門の方々、 SACLA の見学にご尽力いただいた理化 学研究所および JASRI 関係者の方々に感謝します。 また、事務局として開催にご尽力いただいた JASRI 事務局担当者の方々にも感謝します。 木村 滋 KIMURA Shigeru (公財)高輝度光科学研究センター 産学総合支援室 シニアコーディネーター 〒 679 - 5198 兵庫県佐用郡佐用町光都 1 - 1 - 1 TEL : 050 - 3496 - 8997 e-mail : kimuras@jasri.jp この夏、第 25 回 SPring-8 夏の学校に参加し、 私は放射光科学の奥深さと、研究者という仕 事の魅力を再認識することができました。私 は、これまでは主に大学が所有する実験装置を 用いた研究を行っており、放射光という世界最 先端の光源を使った実験は未経験でした。しか し、将来的に自分の研究を深めていくためには、 放射光という強力なツールが不可欠であると考 えており、この夏の学校は、その第一歩として、 放射光の基礎から応用、そして実際の利用方法 までを体系的に学ぶ絶好の機会だと考え、参加 を決意しました。 夏の学校における全 4 日間の充実したカリ キュラムは、私の事前の予想を遥かに超えるも のでした。前半 2 日間の講義では、放射光がい かにして生み出されるかという根源的な仕組み から、電子を周回させる蓄積リングの精巧な構 造、多岐にわたるビームラインの機能、そして 様々な種類の検出器の動作原理に至るまで、各 分野の専門家から直接、体系的な説明を受ける ことができました。特に、これまでの研究で ほとんど触れる機会のなかった X 線光電子分 光( XPS )や、その名前だけを知っていた X 線 自由電子レーザー( SACLA )といった測定法 の原理についても、その本質から理解を深めら れたのは、極めて大きな収穫でした。講義で得 た知識は、 2 日目と 3 日目に実施された施設見 学を通じてさらに深まりました。とりわけ、放 射光の発生原理に関する講義を受けた直後に、 SPring-8 蓄積リングを自身の目で確かめられた ことは、非常に感動的な体験でした。講義で紹 介された最先端技術の理論が、まさにその場で 実現されている様子を、知識が新鮮なうちに実 物で確認できたのです。見学を通して巨大な加 速器が作り出す放射光が、いかに緻密な技術と 人々の管理によって成り立っているかを直接自 分の目で見て感じることができ、制御室でモニ ターを管理する方々の姿は、世界最高峰の装置 を動かすプロフェッショナルとしての姿を物 語っており、これからの自身の研究生活におけ る大きな刺激となりました。 後半 2 日間の主要プログラムである実習では、 私は BL43LXU にて X 線非弾性散乱を用いた原 子振動測定を、そして BL10XU にてダイヤモ ンドアンビルセルを用いた高圧 X 線回折実験を しました。これらの実習では、測定原理から具 体的な操作方法、そして得られたデータの解析 に至るまで、担当の方々から手厚い指導を受け 東京大学大学院 理学系研究科 太 田 和 可 乃 第 25 回 SPring-8 夏の学校に参加して SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 155 研究会等報告 ながら実践的に学びました。他の参加者との協 力体制で測定や課題に取り組めた点は、非常に 記憶に残る経験でした。普段放射光施設を利用 する機会がない私にとって、測定の合間などに、 他の参加者が日常的にどのように放射光施設を 使いこなしているのかを直接耳にすることもで き、貴重な情報収集の場となりました( 図6 ) 。 さらに、懇親会などの交流の場では、様々な 大学や研究分野に所属する同世代の研究者たち と、研究の話からプライベートなことまで、多 くのことを語り合うことができました。自分と 同じように研究に情熱を傾ける同世代が全国に いることを知り、心強く感じるとともに大きな 刺激をもらいました。この夏の学校で出会った 人々とは、今後も連絡を取り合い、学会などで 再会できることを願っています。 今回の夏の学校は、放射光科学の原理から応 用までを網羅的に学ぶだけでなく、全国の若手 研究者と深く交流できる、他にはない貴重な機 会でした。第 25 回 SPring-8 夏の学校を企画・ 運営してくださった実行委員会の皆様、わかり やすい講義をしてくださった講師の皆様、そし て丁寧な実習指導をしてくださったビームライ ン担当者の皆様、 SACLA 実験ホール・蓄積リ ング内部の見学を引率してくださった皆様に、 心から感謝申し上げます。今回の経験を糧に、 より一層研究に邁進して参ります。本当にあり がとうございました。 図 6 BL 実習の様子 156 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT 登録施設利用促進機関 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 大学院生提案型課題(長期型)の事後評価について 大学院生提案型課題(長期型)は、放射光科学を 支え、更に発展させる人材の育成に資することを目 的として、 2022A 期から運用しています。厳正な審 査を経て採択された大学院生は、博士後期課程の期 間と連動するかたちで複数年の安定かつ計画的な ビームタイムを確保することができます。 大学院生提案型課題(長期型)は、実施期間終了 後に利用研究課題の実施結果に対して大学院生利用 審査委員会による事後評価を行うこととされており、 事後評価に合わせて、大学院生をエンカレッジする ことを目的として、優れた成果 / 取り組みと行った と認められた大学院生に対して「 SPring-8 大学院生 課題優秀研究賞」を授与することとしています。 今回は、第 12 回大学院生利用審査委員会( 2025 年 2 月 28 日開催)において、 2024B 期に実施期間が 終了した 2022A 期に採択された大学院生提案型課 題(長期型)のうち 2 課題と、 2023B 期に採択され た大学院生提案型課題(長期型)のうち 1 課題につ いて、事後評価が行われました。 事後評価は、実験責任者である大学院生が研究課 題の実施結果の発表を行った後、質疑応答を行う形 で実施されました。事後評価の着眼点は、 「独創的、 挑戦的、意欲的な研究成果であること」 、 「実験責任 者として、研究立案、遂行を主体的に行ったこと」 、 「優れた成果 / 取り組みと認められること」とされ ています。質疑応答においては、育成の観点も含め た様々な視点で質問がなされるなど、大学院生利用 審査委員会が大学院生に求める水準が非常に高いと 感じられる場面もありましたが、総じて独創的で挑 戦的な課題を遂行し、優れた博士論文が創出された と評価されました。また、この評価結果を受け、各 課題の実験責任者である原武史氏、森悠一郎氏、夏 井文凜氏の 3 名には、公益財団法人高輝度光科学研 究センターより 「 SPring-8 大学院生課題優秀研究賞」 が授与されました。 以下に各課題の評価結果を示します。研究内容に ついては本誌の「最近の研究から」に実験責任者に よる紹介記事を掲載しています。 [評価結果] コア差フーリエ合成法は、実験的に価電子密度分 布を可視化する手法として注目されている。本研究 課題では、強相関分子性導体の物性を価電子密度分 布の解析によって明らかにすることを目指し、この 手法を発展させる試みとして放射光結晶回折実験の 高精度測定ならびに量子化学計算を導入した電子密 度分布解析の高度化が実施された。 申請時の評価では、コア差フーリエ合成法は概ね 完成しており、技術的な挑戦でなく単なる適用に終 わるのでは、という審査員の懸念があった。しかし、 課題実施初期に適用試料の測定データ取得において 技術的な困難に直面した。具体的には、原子の熱振 動による分解能低下やピクセルアレイ検出器による 回折強度測定精度の問題である。これらの問題を、 低温測定環境整備による振動の抑制や、数え落とし の問題を回避するための測定法およびデータ解析法 の導入によって克服した。その結果、軽元素のみか らなる有機低分子である glycine および cytidine の結 晶構造において、価電子密度の可視化に成功した。 特筆すべき点として、この解析でノードの検出が 課題名 強相関分子性導体の物性 解明を目指した価電子密 度解析手法の確立 実験責任者(所属) 原武史(名古屋大学) 採択時課題番号 2022A0304 ビームライン BL02B1 利用時間 / 配分総シフト 2022A ~ 2024B/72 シフト SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 157 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 可能となるほどの精密な密度分布を明らかにしたこ とが挙げられる。この結果は、量子化学計算と直接 比較が可能となるレベルの実験結果が取得できたこ とといえ、高く評価できる。一方、手法の高度化に 時間を要したため、当初の計画の到達点は変更せざ るを得ず、課題名にある強相関分子性導体等の機能 性分子材料結晶に関する解析の詳細は述べられてい ない。しかし、機能性分子材料結晶の解析にも着手 しており、将来の展開が期待できる。 以上の点から、本課題の実験責任者である原氏に は研究者としての資質が強く感じられ、放射光科学、 物性科学における今後のさらなる活躍が期待される。 また、定期的に SPring-8 の利用機会を確保できる長 期課題の利点を有効に活用した成果と言える。 [成果リスト] (査読付き論文) [ 1 ] SPring-8 publication ID = 48734 原武史 : “ Research on Molecular Crystals by Precise Valence Electron DensityAnalysis Using Synchrotron X-ray Diffraction ” 名古屋大学博士論文 [ 2 ] SPring-8 publication ID = 47317 T. Hara et al .: “ Pseudo-one-dimensional Ribbon Chain Cluster Realized under High Pressure in 1 [itlc] T [/itlc] - VSe[sbsc]2[/sbsc] ” Physical Review B 110 No2 . (2024) L020103 [3] SPring-8 publication ID = 47995 T. Hara et al .: “ Diffuse Scattering and Low- Temperature Crystal Structure of τ -Type Molecular Conductor ” Journal of the Physical Society of Japan 94 No2 . (2025) 024602 [4] SPring-8 publication ID = 48411 T. Hara et al .: “ Unveiling the Nature of Chemical Bonds in Real Space ” Journal of the American Chemical Society 146 No34 . (2024) 23825-23830 [5] SPring-8 publication ID = 45510 N. Katayama and T. Hara et al .: “ Observation of Local Atomic Displacements Intrinsic to the Double Zigzag Chain Structure of 1[itlc]T[/itlc] - [itlc] M [/itlc] Te[ sbsc] 2 [/sbsc] ([itlc]M[/itlc] = V, Nb, Ta) ” Physical Review B 107 No24 . (2023) 245113 [評価結果] 当初の目的は、地球に多量に存在する元素である 水素、ケイ素が地球核の主成分である鉄に入った際 の密度変化を調べる事で、地球形成過程などに繋が る情報を得ようとする課題であった。実施段階で試 料側の相共存による困難のため三元の相関係を探索 する方向は早期にあきらめ、もう一つの主題であっ た水素による体積膨張係数の決定に集中して課題を 実施した。水素の固溶による鉄の格子定数の増大は、 少量のケイ素を固溶させた際に顕著になり、地球核 中の水素濃度に関する従来の見積りに対して見直し を迫るような知見を与えたことは評価に値する。 地球惑星科学の観点では重要な成果を挙げたと評 価できるが、鉄の水素誘起体積膨張に関する温度・ 圧力・磁歪・組成効果の研究においては、物性物理 学的な観点からの議論が求められる。体積変化の背 景にある物理的な起源についての検討が、水素化・ 磁歪両方において不十分であった点はやや残念で あった。 今後、更に物理的な検討を進め、一層の成果を期 待したい。 [成果リスト] (査読付き論文) [1] SPring-8 publication ID = 48739 森悠一郎 : “ Effects of Hydrogen on Elastic Properties of the Deep Earth ʼ s Materials ” 東京大学博士論文 [2] SPring-8 publication ID = 46868 課題名 地球核の組成解明を目指 した Fe-H-Si 三成分系の 相図の推定並びに水素誘 起体積膨張係数の決定 実験責任者(所属) 森悠一郎(東京大学) 採択時課題番号 2022A0314 ビームライン BL04B1 利用時間 / 配分総シフト 2022A ~ 2024B/54 シフト 158 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Y. Mori et al .: “ Hydrogenation of Silicon-bearing Hexagonal Close-packed Iron and its Implications for Density Deficits in the Inner Core ” Earth and Planetary Science Letters 634 (2024) 118673 [3] SPring-8 publication ID = 48067 Y. Mori et al .: “ Unusual Thermal Expansion and Curie Temperature Variation in dhcp-iron Hydride under High Pressure ” arXiv (2025) 2501.08937 [評価結果] 本課題は、地球下部マントルの大規模 S 波低速度 領域( LLSVP )の構成候補鉱物について、高圧下 での変形による結晶方位選択配向の発達と地震波 異方性との関連、ならびに鉄のスピン転移が変形 特性へ与える影響の解明を目的として実施された。 SPring-8 においては、回転式ダイヤモンドアンビル セル( rDAC )を用いてフェロペリクレース [(Mg, Fe)O] およびブリッジマナイト [(Mg, Fe, Al)SiO 3 ] の X線回折測定が行われた。 rDAC により地球の最下 部マントルの高温高圧環境を再現するとともに試料 に剪断応力を印加し、変形中の鉱物のその場観察に 成功している。課題申請の段階では技術的課題と なっていた高温での測定も実現しており、課題を解 決しながら計画された実験を着実に行った点が特に 高く評価された。実験結果は、下部マントルで支配 的な結晶面すべり系について貴重な知見を与えるも ので、地球科学研究において重要な成果である。 一連の実験で貴重なデータが得られているので、 解析と結果の解釈についても、さらなる検討と発展 を期待したい。複雑な応力環境の影響も考慮して結 果を整理することで、得られた実験結果と LLSVP との関連について考察がさらに進むと思われる。ま た、そういった考察の結果、より適切な実験条件の 探索や装置の改善点など、今後の研究を発展させる ための課題が明確になると思われる。 上記のように今後に向けた課題は残っているもの の、申請者は rDAC を用いた独創的で挑戦的な研究 を主体的に行い、地球科学的に重要なデータを得る ことに成功した。したがって、研究目的は達成され、 十分な研究成果があったと評価された。 [成果リスト] (査読付き論文) [1] SPring-8 publication ID = 48746 夏井文凜 : “ Large-strain deformation experiments on the Earth ʼ s lower mantle minerals in situ at high pressure–temperature conditions: Towards understanding the origin of seismic anisotropy in Large Low Shear Velocity Provinces ” 東京科学大学博士論文 [2] SPring-8 publication ID = 48688 B. Natsui et al .: “ Crystallographic Preferred Orientation of (Mg,Fe) O up to 125 GPa Inferred from Torsional Deformation Experiments using a Rotational Diamond Anvil Cell ” Physics of the Earth and Planetary Interiors 366 (2025) 107392 課題名 大規模 S 波低速度領域の 結晶方位選択配向発達の 理解へ向けた LLSVP 構 成候補鉱物の下部マント ル圧力条件での高温高圧 大歪変形実験 実験責任者(所属) 夏井文凜 (東京科学大学) 採択時課題番号 2023B0312 ビームライン BL10XU/BL47XU 利用時間 / 配分総シフト 2023B ~ 2024B/36 シフト 写真 1 右から、 JASRI 雨宮慶幸 理事長、原武史 氏、 JASRI 中村唯我 研究員 ( BL 02 B 1 担当) 、久保田 康成 利用推進部長、 JASRI 井上哲也 常務理事。 なお、都合により、森 氏、夏井 氏については 直接授与することが叶わず、賞状とクリスタル を送付しています。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 159 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 SPring-8 、 SACLA または NanoTerasu において実施された研究課題等の成果が公表された場合は JASRI の成 果登録データベースに登録していただくことになっており、その内容は以下の URL ( SPring-8 論文データベー ス検索ページ)で検索できます。 http://www.spring8.or.jp/ja/science/publication_database/ このデータベースに登録された原著論文の内、 2025 年 4 月~ 2025 年 6 月に登録されたものを以下に紹介します。 論文の情報(主著者、巻、発行年、ページ、タイトル)に加え、データベースの登録番号(研究成果番号)を 掲載していますので、詳細は上記検索ページの検索結果画面でご覧いただくことができます。また実施された 課題の情報(課題番号、ビームライン、実験責任者名)も掲載しています。課題番号は最初の4文字が「 year 」 、 次の1文字が「 term 」 、後ろの 4 文字が「 proposal no. 」となっていますので、この情報から以下の URL で公表 している、各課題の英文利用報告書( SPring-8 User Experiment Report )を探してご覧いただくことができます。 http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/publications/user_exp_report/ 今後も利用者情報には発行月の2ヶ月前の月末締めで、前号掲載分以降に登録された論文情報を掲載してい く予定です。なお、データベースは毎日更新されていますので、最新情報は SPring-8 論文データベース検索 ページでご確認ください。なお、実験責任者のかたには、成果が公表されましたら速やかに登録いただきます ようお願いいたします。 SPring-8 研究成果登録データベースに 2025 年 4 月〜6 月に登録された論文が掲載された主な雑誌と掲載論文数 掲載雑誌 登録 論文数 掲載雑誌 登録 論文数 Physical Review B 12 Scientific Reports 5 Journal of the American Chemical Society 11 Angewandte Chemie International Edition 4 ACS Catalysis 9 Applied Physics Letters 4 Nature Communications 9 Communications Materials 4 ACS Applied Materials & Interfaces 5 Electrochemistry 4 Chemistry of Materials 5 The Journal of Physical Chemistry C 4 Japanese Journal of Applied Physics 5 Journal of Physics: Conference Series 4 The Journal of Physical Chemistry Letters 5 Pediatric Research 4 他全 171 誌、計 313 報 (注意) グループ課題として設定されている課題群については、その論文がグループ課題の中の複数の課題の成果である場合でも、代表課題となっ ている課題番号のみ表示しています。グループ課題に複数のビームラインの課題が含まれる場合、代表課題が複数のビームラインで実施 されたように表示されています。 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 最近 SPring-8、 SACLA または NanoTerasu から発表された成果リスト 160 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 課題の成果として登録された論文 Physical Review B 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48274 Xuan Liang 111 ( 2025 ) 094432 2023 B 1676 BL 02 B 2 山浦 一成 Ca 2 CuWO 6 : A Triclinically Distorted Double Perovskite with Low-dimensional Magnetic Behavior 2024 B 1825 BL 02 B 2 Belik Alexei 48297 Daisuke Takegami 111 ( 2025 ) 165101 2024 A 4250 BL 12 XU 武上 大介 Valence, Charge Transfer, and Orbital-dependent Correlation in Bilayer Nickelates Nd 3 Ni 2 O 7 2023 B 4255 BL 12 XU 武上 大介 48371 Kazuki Sumida 108 ( 2023 ) L 241101 2021 A 3811 BL 23 SU 藤森 伸一 Role of on-site Coulomb Interactions in the Half-metallic Weyl Ferromagnet Candidate Thin-film Co 2 FeSi 2022 A 3811 BL 23 SU 藤森 伸一 48372 Kazuki Sumida 106 ( 2022 ) 195421 2021 A 3811 BL 23 SU 藤森 伸一 Formation of Monolayer V 5 Se 8 from Multilayer VSe 2 Films via V- and Se-desorption 48443 Taisei Kubo 109 ( 2024 ) 104115 2022 B 1570 BL 19 B 2 片山 尚幸 Metastable Ordered States Induced by Low- temperature Annealing of δ- Ag 2 / 3 V 2 O 5 2022 B 1130 BL 04 B 2 片山 尚幸 2023 A 1110 BL 04 B 2 片山 尚幸 2023 A 1869 BL 02 B 2 片山 尚幸 48474 Takeo Ohsawa 111 ( 2025 ) 165153 2014 B 4604 BL 15 XU 大澤 健男 Changes in the Electronic Structure of BaTiO 3 Due to Ferroelectric Phase Transition Investigated via Polarization-Dependent Hard X-ray Photoemission Spectroscopy 2015 A 4603 BL 15 XU 大澤 健男 2015 B 4604 BL 15 XU 大澤 健男 2016 B 4603 BL 15 XU 大澤 健男 2019 A 4602 BL 15 XU 大澤 健男 2019 B 4603 BL 15 XU 大澤 健男 48506 Ikuto Kawasaki 105 ( 2022 ) 195122 2020 A 3811 BL 23 SU 藤森 伸一 Evolution of the Electronic Structure and Correlations Accompanied by Suppression of Itinerant Ferromagnetism in Sr 1 x (La 0 . 5 K 0 . 5 ) x RuO 3 48600 Daisuke Takegami 111 ( 2025 ) 195155 2024 B 4261 BL 12 XU 武上 大介 Experimental Determination of Tetramer Molecular Orbital States in Lacunar Spinel GaNb 4 Se 8 via Hard X-ray Photoemission Spectroscopy 48606 Daiki Ootsuki 111 ( 2025 ) 235107 2015 B 1462 BL 47 XU 吉田 鉄平 Investigating the Insulator-metal Transition in Ca 2 RuO 4 via Temperature and Electric Current: Insights from Hard X-ray Photoemission Spectroscopy 2016 A 1652 BL 47 XU 柴田 大輔 2016 B 1695 BL 47 XU 柴田 大輔 2017 B 1718 BL 47 XU 柴田 大輔 2018 A 1656 BL 09 XU 柴田 大輔 2018 A 7571 BL 07 LSU 吉田 鉄平 2018 A 7572 BL 07 LSU 吉田 鉄平 2018 B 1692 BL 09 XU 柴田 大輔 2019 A 1587 BL 47 XU 吉田 鉄平 2019 A 7598 BL 07 LSU 吉田 鉄平 2019 B 1467 BL 47 XU 吉田 鉄平 2020 A 1318 BL 47 XU 吉田 鉄平 48612 Yukako Fujishiro 110 ( 2024 ) L 220401 2023 A 1438 BL 10 XU 藤代 有絵子 Pressure-induced Quantum Melting of Chiral Spin Order and Subsequent Transition to a Degenerate Semiconductor State in FeGe 48646 Nathan Giles- Donovan 111 ( 2025 ) 224103 2023 B 1501 BL 35 XU Giles- Donovan Nathan First-order Preemptive Ising-nematic Transition in K 5 Fe 4 Ag 6 Te 10 48728 Tsubasa Ohashi 111 ( 2025 ) 224114 2023 B 1921 BL 02 B 1 小島 慶太 Reexamination of the Charge-ordered Dimer Pattern in the Spinel Compound CuIr 2 S 4 using Single-crystal Synchrotron X-ray Diffraction 2022 A 1098 BL 04 B 2 片山 尚幸 2022 B 1130 BL 04 B 2 片山 尚幸 2023 A 1110 BL 04 B 2 片山 尚幸 2023 A 1869 BL 02 B 2 片山 尚幸 2023 B 0304 BL 02 B 1 原 武史 2023 B 1114 BL 10 XU 片山 尚幸 2023 B 1147 BL 04 B 2 片山 尚幸 2024 A 1151 BL 10 XU 片山 尚幸 2024 A 1704 BL 02 B 1 片山 尚幸 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 161 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Journal of the American Chemical Society 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48309 Sota Oguma 147 ( 2025 ) 9098 - 9102 2023 B 2549 BL 41 XU 佐藤 宗太 Helical Sense Control of Metal Peptide Torus Frameworks Leading to the Folding and Assembly of a Ag 21 L 14 Braided Peptide Nanotube 48335 Shunsuke Kitou 147 ( 2025 ) 13642 - 13648 2022 A 0304 BL 02 B 1 原 武史 Piezoelectric Transition in a Nonpyroelectric Gyroidal Metal–Organic Framework 48384 Jie Zhang 147 ( 2025 ) 12644 - 12651 2023 B 1575 BL 02 B 2 Pan Zhao Realization of Intrinsic Colossal Magnetoresistance in Pb(Pb 1 / 3 Hg 2 / 3 ) 3 Mn 4 O 12 : An A Site-Ordered Quadruple Perovskite Oxide 48411 Takeshi Hara 146 ( 2024 ) 23825 - 23830 2019 A 0070 BL 02 B 1 澤 博 Unveiling the Nature of Chemical Bonds in Real Space 2022 A 0304 BL 02 B 1 原 武史 48481 Jonas Ruby Sandemann 145 ( 2023 ) 21053 - 21065 2014 A 0078 BL 02 B 1 Iversen Bo Benchmark Crystal Structure of Defect-Free Spinel ZnFe 2 O 4 2022 B 0508 BL 02 B 1 Iversen Bo 理研 BL 44 B 2 48519 Po-Hsun Wang 147 ( 2025 ) 16084 - 16098 2022 B 8038 BL 2 山元 淳平 Redox-State-Dependent Structural Changes within a Prokaryotic 6 4 Photolyase 48532 Peipei Xiao 146 ( 2024 ) 31969 - 31981 2023 A 1738 BL 01 B 1 大須賀 遼太 Revealing Active Sites and Reaction Pathways in Direct Oxidation of Methane over Fe-Containing CHA Zeolites Affected by the Al Arrangement 2022 B 1784 BL 01 B 1 西堀 麻衣子 48553 Qiaoling Fan 146 ( 2024 ) 30349 - 30360 2023 B 8059 BL 3 Schriber Elyse Nucleophilic Displacement Reactions of Silver-Based Metal Organic Chalcogenolates 2024 A 8043 BL 2 Hohman James 48658 Masaya Fujioka 146 ( 2024 ) 34324 - 34332 2022 B 3682 BL 14 B 1 藤岡 正弥 Hydrogen-Assisted Mg Intercalation into 2 H-TaS 2 2023 A 3682 BL 14 B 1 藤岡 正弥 48684 Zhu Bing 147 ( 2025 ) 11250 - 11256 2023 A 3626 BL 14 B 1 Wu Dongshuang Stabilizing the Unstable: Enhancing OER Durability with 3 d -Orbital Transition Metal Multielemental Alloy Nanoparticles by Atomically Dispersed 4 d -Orbital Pd for a 100 -Fold Extended Lifetime 2023 B 3626 BL 14 B 1 Wu Dongshuang 2022 A 1780 BL 46 XU Seo Okkyun 2022 B 1601 BL 46 XU Seo Okkyun 2023 A 1892 BL 46 XU Seo Okkyun 2023 B 1840 BL 46 XU Seo Okkyun 2023 B 2053 BL 09 XU Wu Dongshuang 48730 Satoshi Yoshida 147 ( 2025 ) 23917 - 23922 2020 A 0747 BL 45 XU 佐藤 宗太 Micro Crystalline Sponge Method Combined with Small-Wedge Synchrotron Crystallography for Nanogram Scale Molecular Structure Elucidation 2021 A 1315 BL 45 XU 佐藤 宗太 2021 B 1517 BL 45 XU 佐藤 宗太 2021 B 2556 BL 41 XU 佐藤 宗太 2022 A 1572 BL 45 XU 佐藤 宗太 2022 B 1320 BL 45 XU 佐藤 宗太 2022 B 2546 BL 41 XU 佐藤 宗太 2023 A 1419 BL 45 XU 佐藤 宗太 2023 B 1367 BL 45 XU 佐藤 宗太 2023 B 2549 BL 41 XU 佐藤 宗太 2024 A 1262 BL 45 XU 佐藤 宗太 2024 B 1448 BL 45 XU 佐藤 宗太 2024 B 2545 BL 41 XU 佐藤 宗太 ACS Catalysis-1 48435 Keita Omura 12 ( 2022 ) 11108 - 11117 2021 A 2759 BL 45 XU 杉本 宏 A P 450 Harboring Manganese Protoporphyrin IX Generates a Manganese Analogue of Compound I by Activating Dioxygen 48475 Junya Ohyama 15 ( 2025 ) 697 - 705 2024 B 1225 BL 39 XU 大山 順也 ABO 4 as an Active Catalyst Structure for Direct Partial CH 4 Oxidation as Identified through Screening of Supported Catalysts 48476 Mizuki Sato 15 ( 2025 ) 6466 - 6472 2022 B 4253 BL 12 XU 大山 順也 Rh K-Edge High-Energy-Resolution Fluorescence- Detected X-ray Absorption Near-Edge Structure Spectroscopy Reveals Deactivated RhAlO x Structure in Aged Rh/ γ -Al 2 O 3 Catalyst 2022 A 4256 BL 12 XU 大山 順也 2023 A 4263 BL 12 XU 大山 順也 48477 Zhiqing Feng 14 ( 2024 ) 7416 - 7425 2022 A 1020 BL 39 XU 今井 英人 Structural Effects of FeN 4 Active Sites Surrounded by Fourteen-Membered Ring Ligands on Oxygen Reduction Reaction Activity and Durability 162 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS ACS Catalysis-2 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48497 Masaru Kato 15 ( 2025 ) 7710 - 7719 2021 A 3736 BL 22 XU 八木 一三 Electrocatalytic Nitrous Oxide Reduction Reaction at Sn-Modified Pd–Pt Single Crystalline Electrodes in Acidic Media 2021 B 3736 BL 22 XU 八木 一三 2022 A 3736 BL 22 XU 八木 一三 2022 B 3736 BL 22 XU 八木 一三 2023 A 3736 BL 22 XU 八木 一三 48594 Kohsuke Mori 14 ( 2024 ) 18861 - 18871 2023 A 1668 BL 01 B 1 森 浩亮 Heterogeneous Tandem Catalysis Strategy for Additive-Free CO 2 Hydrogenation into Formic Acid in Water: Crystal Plane Effect of Co 3 O 4 Cocatalyst 2023 B 1805 BL 01 B 1 森 浩亮 48597 Hiroko Ariga-Miwa 15 ( 2025 ) 9856 - 9869 2018 B 7801 BL 36 XU 岩澤 康裕 Cyclic Voltammetry–Synchronized Operando HERFD- XANES and RIXS Analyses of Adsorbed Structures and Bonding States of Active Oxygen Species on Pt Nanoparticle Electrocatalysts in PEFC 2019 A 7803 BL 36 XU 岩澤 康裕 2019 B 7803 BL 36 XU 岩澤 康裕 48628 Peipei Xiao 14 ( 2024 ) 17434 - 17444 2022 B 1784 BL 01 B 1 西堀 麻衣子 Roles of Acidic Proton for Fe-Containing Zeolite in Direct Oxidation of Methane 2023 A 1738 BL 01 B 1 大須賀 遼太 48631 Peipei Xiao 13 ( 2023 ) 16168 - 16178 2022 B 1784 BL 01 B 1 西堀 麻衣子 One-Pot Synthesized Fe-AEI Zeolite Catalysts Contribute to Direct Oxidation of Methane Nature Communications 48278 Ziyang Yuan 16 ( 2025 ) 3096 2020 A 1101 BL 09 XU Kong Xiangjin Nuclear Phase Retrieval Spectroscopy using Resonant X-ray Scattering 2021 B 1522 BL 35 XU Kong Xiangjin 48410 Xubin Ye 16 ( 2025 ) 3746 2023 B 1575 BL 02 B 2 Pan Zhao High-temperature Ferrimagnetic Order Triggered Metal-to-Insulator Transition in CaCu 3 Ni 2 Os 2 O 12 2024 A 1506 BL 02 B 2 Pan Zhao 48461 Longjian Xie 16 ( 2025 ) 3239 2023 A 1109 BL 04 B 1 Xie Longjian Low Melt Viscosity Enables Melt Doublets above the 410 -km Discontinuity 2024 A 1175 BL 04 B 1 Xie Longjian 48473 Dan Kozome 15 ( 2024 ) 3227 2022 A 2769 BL 45 XU 神初 弾 Remote Loop Evolution Reveals a Complex Biological Function for Chitinase Enzymes beyond the Active Site 2022 A 2769 BL 41 XU 神初 弾 48491 Haoyue Li 16 ( 2025 ) 257 2022 B 0528 BL 14 B 2 Yan Ning Chemical Looping Synthesis of Amines from N 2 via Iron Nitride as a Mediator 2023 A 1533 BL 01 B 1 Yan Ning 48555 Basudev Maity 15 ( 2024 ) 5518 2019 A 8052 BL 2 岩田 想 Real-time Observation of a Metal Complex-driven Reaction Intermediate using a Porous Protein Crystal and Serial Femtosecond Crystallography 2019 B 8029 BL 2 岩田 想 2019 B 8053 BL 2 上野 隆史 2020 A 8034 BL 2 上野 隆史 2021 B 8024 BL 2 上野 隆史 2022 B 8005 BL 2 上野 隆史 2023 B 8003 BL 2 Wang Jiangyun 2023 B 8062 BL 2 上野 隆史 48562 Sharon Berkowicz 15 ( 2024 ) 10610 2022 B 8033 BL 3 Perakis Foivos Supercritical Density Fluctuations and Structural Heterogeneity in Supercooled Water-glycerol Microdroplets 48593 Hyojin Kim 16 ( 2025 ) 2697 2022 B 1807 BL 01 B 1 森 浩亮 Layered Na 2 Ti 3 O 7 -supported Ru Catalyst for Ambient CO 2 Methanation 2023 A 1668 BL 01 B 1 森 浩亮 ACS Applied Materials & Interfaces 48300 Mohammad Kassem 17 ( 2025 ) 17075 - 17095 2022 B 1471 BL 04 B 2 Bychkov Evgeny Atomic Structure, Dynamics, Changes in Chemical Bonding and Semiconductor-Metal Transition in Sb 2 Se 3 : A Remarkable Material for Quantum Networks and Energy Applications 2023 B 1475 BL 04 B 2 Bychkov Evgeny 48455 Morino Yusuke 17 ( 2025 ) 23786 - 23794 2024 A 1048 BL 20 XU 越谷 直樹 In-Situ Internal Observation of Silicon Composite Anode in All-Solid-State Battery Using X-ray CT 48464 Takehiro Yamada 17 ( 2025 ) 25267 - 25277 2023 A 1676 BL 01 B 1 桑原 泰隆 Contiguous Mo Species and SMSI Effect in MoO x Reinforce Catalytic Performance in Reverse Water- Gas Shift Reaction 2024 B 1857 BL 01 B 1 桑原 泰隆 48601 Minori Saito 16 ( 2024 ) 67545 - 67552 2022 B 1252 BL 37 XU 井口 翔之 Electro-Epoxidation of Propylene in the Gas Phase with Solid-Polymer-Electrolyte Water Electrolysis 48620 Yusei Matsumura 17 ( 2025 ) 20261 - 20269 2022 B 1934 BL 19 B 2 高島 義徳 Light Stimuli-Responsive Degradable and Tough Polymeric Materials with Movable Cross-Links 2023 A 1329 BL 40 B 2 小西 隆士 2023 A 1286 BL 40 B 2 小西 隆士 2023 B 1407 BL 40 B 2 小西 隆士 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 163 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Chemistry of Materials 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48357 Qiumin Liu 37 ( 2025 ) 3305 - 3310 2022 A 1312 BL 09 XU 東 正樹 Colossal Thermal Expansion in Ca-Substituted PbCrO 3 2024 A 1037 BL 13 XU 東 正樹 2024 A 1549 BL 02 B 2 西久保 匠 2024 A 1798 BL 09 XU 劉 丘民 2024 A 3693 BL 14 B 1 山本 隆文 48398 Takeshi Uyama 37 ( 2025 ) 3327 - 3342 2019 A 7034 BL 33 XU 野中 敬正 Role of Chloride Ions in the Heat Treatment of β -FeOOH(Cl) Catalysts to Enhance the Oxygen Evolution Reaction Activity 2023 B 7038 BL 33 XU 坂本 直柔 48424 Duyen K. Tran 34 ( 2022 ) 9644 - 9655 2018 A 1744 BL 46 XU 小金澤 智之 Unified Understanding of Molecular Weight Dependence of Electron Transport in Naphthalene Diimide-Based n-Type Semiconducting Polymers 2018 B 1772 BL 46 XU 小金澤 智之 2021 B 1947 BL 46 XU 小金澤 智之 2022 A 2063 BL 19 B 2 小金澤 智之 2022 A 2069 BL 13 XU 小金澤 智之 48545 Toshiki Higashino 36 ( 2024 ) 848 - 859 2021 B 8018 BL 3 米倉 功治 Effects of Thiophene-Fused Isomer on High-Layered Crystallinity in π -Extended and Alkylated Organic Semiconductors 48626 Chunli Han 37 ( 2025 ) 1205 - 1214 2021 B 1859 BL 14 B 2 西堀 麻衣子 High Oxygen Storage Capacity of Ultrasmall Mn- Doped CeO 2 Nanoparticles via Enhanced Local Distortion and Mn(II) Lattice Substitution Japanese Journal of Applied Physics 48304 Shinya Tsukada 62 ( 2023 ) 106501 2019 A 3761 BL 22 XU 大和田 謙二 Temperature-gradient Investigation of Phase Transitions in Ferroelectrics using Cooling and Heating Stage 48320 Kenji Ohwada 63 ( 2024 ) 09 SP 15 2023 B 3761 BL 22 XU 大和田 謙二 Observation of Ferroelectric Domains in BaTiO 3 by Synchrotron Radiation X-ray Diffraction Topography 2024 A 3761 BL 22 XU 大和田 謙二 48478 Kayoko Sakaguchi 63 ( 2024 ) 08 SP 14 2022 B 1598 BL 13 XU 黒岩 芳弘 Two Types of Cubic Components Coexisting in the Paraelectric Phase of Relaxor Ferroelectric Pb(Mg 1 / 3 Nb 2 / 3 )O 3 Revealed by Synchrotron Radiation X-ray Diffraction 2023 A 1499 BL 13 XU 黒岩 芳弘 2023 B 1611 BL 13 XU 黒岩 芳弘 2023 B 1938 BL 13 XU 黒岩 芳弘 2024 A 1707 BL 13 XU 黒岩 芳弘 2024 A 1711 BL 02 B 2 Kim Sangwook 48533 Masaki Nakamura 64 ( 2025 ) 055505 2023 A 3231 BL 24 XU 住田 弘祐 In situ Formation and Characterization of Oxygen vacancies in SnO 2 and WO 3 in Near-ambient Pressure Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy 2023 B 3231 BL 24 XU 住田 弘祐 48622 Tomoyuki Horikawa 64 ( 2025 ) 045502 2015 B 3265 BL 24 XU 堀川 智之 Analyses of Oxygen Precipitates in CZ-Si by X-ray Diffuse Scattering using Parallel X-ray Beam 2016 A 3265 BL 24 XU 堀川 智之 2017 B 3265 BL 24 XU 堀川 智之 The Journal of Physical Chemistry Letters 48512 Hiroyuki S. Kato 15 ( 2024 ) 10769 - 10776 2019 A 3832 BL 23 SU 垣内 拓大 Electron Transfer Capability in Atomic Hydrogen Reactions for Imidazole Groups Bound to the Insulating Alkanethiolate Layer on Au( 111 ) 2019 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2021 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2022 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 48514 Takuya Kurihara 16 ( 2025 ) 4683 - 4688 2022 B 1836 BL 02 B 2 栗原 拓也 Determination of Locations and Dynamics of Adsorbed CO 2 in MIL- 53 (Al) Using Solid-State Nuclear Magnetic Resonance Analysis and Theoretical Calculations 48575 Isabel Bogacz 16 ( 2025 ) 3778 - 3787 2023 B 8068 BL 3 Yano Junko X-Ray Absorption Spectroscopy of Dilute Metalloenzymes at X-Ray Free-Electron Lasers in a Shot-by-Shot Mode 48641 Yohei Uemura 16 ( 2025 ) 6138 - 6145 2022 A 8063 BL 3 上村 洋平 Electronic and Structural Relaxation of Photoexcited WO 3 Observed by Femtosecond Resonant Xray Emission Spectra 48651 Keke Chai 16 ( 2025 ) 5091 - 5100 2022 A 1402 BL 40 B 2 真田 雄介 Z-Bonds in Choline Chloride/Water Deep Eutectic Solvent: X-ray/Neutron Scattering and Density Functional Theory Calculations 2023 B 1478 BL 40 B 2 真田 雄介 164 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Scientific Reports 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48276 Hung-Yu Wu 15 ( 2025 ) 7666 2024 A 4132 BL 12 B 2 Kao Li-Cheng Potential Geological Risks from Mud Diatremes in the Orogen Regime of Southwestern Taiwan 48440 Julia Kitadokoro 15 ( 2025 ) 11876 2021 B 6700 BL 44 XU 中川 敦史 Structural Analysis Shows the Mode of Inhibition for Staphylococcus aureus Lipase by Antipsychotic Penfluridol 2022 A 6700 BL 44 XU 中川 敦史 2022 B 6700 BL 44 XU 中川 敦史 2023 A 6700 BL 44 XU 中川 敦史 2023 B 6700 BL 44 XU 中川 敦史 2019 A 6912 BL 44 XU 北所 健悟 2019 B 6912 BL 44 XU 北所 健悟 2020 A 6512 BL 44 XU 北所 健悟 2021 A 6611 BL 44 XU 北所 健悟 2021 B 6611 BL 44 XU 北所 健悟 2022 A 6710 BL 44 XU 北所 健悟 2022 B 6710 BL 44 XU 北所 健悟 2023 A 6809 BL 44 XU 北所 健悟 2024 A 6908 BL 44 XU 北所 健悟 48458 Ryota Takeda 14 ( 2024 ) 22832 2021 A 2753 BL 41 XU 竹田 一旗 Structural Characterization of Green Fluorescent Protein in the I-state 2022 B 2555 BL 41 XU 竹田 一旗 48482 Yajun Li 15 ( 2025 ) 8366 2022 B 1735 BL 25 SU 片岡 範行 Local-structure Insight into the Improved Superconducting Properties of Pb-substituted La(O, F) BiS 2 : a Photoelectron Holography Study 2022 A 1362 BL 25 SU 横谷 尚睦 2022 A 3845 BL 23 SU 横谷 尚睦 2021 B 3845 BL 23 SU 横谷 尚睦 2021 B 1027 BL 25 SU 横谷 尚睦 48508 Keisuke Omosako 15 ( 2025 ) 14477 2022 B 1844 BL 14 B 2 神野 伊策 In-situ XAFS Measurements of Amorphous Li 3 PO 4 - doped V 2 O 5 Cathode for All-solid-state Thin-film Li-ion Batteries Angewandte Chemie International Edition 48325 Taito Hashimoto 64 ( 2025 ) e 202419992 2023 A 1264 BL 40 XU 久木 一朗 Single Crystalline, Non-Stoichiometric Hydrogen- Bonded Organic Frameworks Showing Versatile Fluorescence Depending on Composition Ratios and Distributions 2024 A 1208 BL 40 XU 久木 一朗 2024 B 1717 BL 40 XU 橋本 泰利 48348 Jiali Wang 63 ( 2024 ) e 202403333 2024 B 4126 BL 12 B 2 Tung Ching-wei Light-Induced Dynamic Activation of Copper/Silicon Interface for Highly Selective Carbon Dioxide Reduction 2024 B 4253 BL 12 XU Tung Ching-wei 48460 Min Fey Chek 64 ( 2025 ) e 202504626 2019 A 2516 BL 41 XU 森 智行 Structures of Polyhydroxyalkanoate Synthase PhaC from Aeromonas caviae , Producing Biodegradable Plastics 2019 A 6955 BL 44 XU 森 智行 2019 B 2727 BL 41 XU Chek Min Fey 2019 B 6955 BL 44 XU 森 智行 2020 A 2559 BL 45 XU Chek Min Fey 2021 B 2520 BL 45 XU Chek Min Fey 2022 A 2721 BL 45 XU Chek Min Fey 2023 B 2757 BL 45 XU Chek Min Fey 2024 B 2538 BL 45 XU Chek Min Fey 2018 A 2503 BL 32 XU 森 智行 2018 A 2529 BL 41 XU 村瀬 浩司 2018 A 2540 BL 41 XU 平野 良憲 2018 A 6855 BL 44 XU 森 智行 2018 B 6855 BL 44 XU 森 智行 2019 A 2576 BL 45 XU 平野 良憲 48483 Julien Mahin 64 ( 2025 ) e 202502552 2023 A 1739 BL 01 B 1 北川 宏 All Iron-Group and Platinum-Group Elements Metal High-Entropy Alloy Nanoparticles 2022 B 0509 BL 01 B 1 草田 康平 2024 A 1755 BL 13 XU 北川 宏 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 165 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Applied Physics Letters 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48378 Kohdai Inagaki 124 ( 2024 ) 021602 2022 A 3841 BL 23 SU 小林 正起 Allotropic Transition of Dirac Semimetal α -Sn to Superconductor β -Sn Induced by Focused-ion-beam Irradiation 48447 Takuya Minowa 126 ( 2025 ) 072103 2024 A 1797 BL 46 XU 伊藤 佑太 Evaluation of Bias-dependent Band Structure Changes in Metal oxide semiconductor Structures with Varying Doping Concentrations using Laboratory Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy 48685 Goro Shibata 126 ( 2025 ) 241902 2018 A 1013 BL 09 XU 齋藤 智彦 Hard X-ray Photoemission Study of Bulk Single- crystalline InGaZnO 4 2018 B 1049 BL 47 XU 大川 万里生 2018 B 1025 BL 09 XU 齋藤 智彦 2019 A 1433 BL 47 XU 大川 万里生 2019 B 1013 BL 09 XU 齋藤 智彦 2020 A 1258 BL 09 XU 齋藤 智彦 2020 A 1008 BL 09 XU 齋藤 智彦 2021 A 1415 BL 47 XU 齋藤 智彦 2021 B 1029 BL 09 XU 齋藤 智彦 2021 B 1457 BL 09 XU 齋藤 智彦 48693 Haruka Matsumoto 126 ( 2025 ) 253903 2024 B 2007 BL 02 B 2 小島 慶太 Cubic ReSTe as a High-performance Thermoelectric Material 2024 A 1528 BL 13 XU 片山 尚幸 Communications Materials 48275 Mohamed Oudar 6 ( 2025 ) 58 2022 B 4256 BL 12 XU 武上 大介 Charge-entropy-stabilized Selenide Ag x Sn 1 x Se 2023 A 4250 BL 12 XU 武上 大介 48280 Yan Chong 6 ( 2025 ) 50 2022 A 1007 BL 13 XU 辻 伸泰 Mechanistic Origin of Grain Size and Oxygen Interstitial Effects on Strain-induced α„ Martensitic Transformation in Ti- 12 Mo Alloy 48414 Takeshi Sakai 6 ( 2025 ) 68 2018 B 1380 BL 10 XU 境 毅 The Equations of State of Nine Materials up to 0 . 43 TPa for Extreme Pressure Science 2019 B 1521 BL 37 XU 石松 直樹 2019 B 1528 BL 37 XU 境 毅 2020 A 1510 BL 10 XU 境 毅 2020 A 1560 BL 37 XU 境 毅 2021 A 1532 BL 10 XU 境 毅 2021 B 1549 BL 10 XU 境 毅 2022 A 1566 BL 10 XU 境 毅 48613 Takeshi Nakagawa 6 ( 2025 ) 98 2023 A 4139 BL 12 B 2 中川 剛志 Narrowing Band Gap Chemically and Physically: Conductive Dense Hydrocarbon Electrochemistry 48615 Yasushi Idemoto 93 ( 2025 ) 063005 2023 B 2051 BL 19 B 2 井手本 康 Cathode Properties, Average and Electronic Structures of α Li 2 MnO 3 –( 1 -α )Li(Mn 10 / 24 Ni 7 / 24 Co 7 / 24 )O 2 in Li-ion Batteries with TiNb 2 O 7 Anode 2024 B 1607 BL 19 B 2 井手本 康 2023 A 1699 BL 19 B 2 井手本 康 48636 Aika Takezawa 93 ( 2025 ) 067004 2022 A 1019 BL 37 XU 今井 英人 Operand o X-ray Fluorescence Analysis of Through- plane Cerium Ion Radical Quencher Migration in Polymer Electrolyte Fuel Cells 2022 B 1011 BL 37 XU 今井 英人 2022 B 1197 BL 37 XU 折笠 有基 2023 A 1012 BL 37 XU 今井 英人 2023 B 1189 BL 37 XU 折笠 有基 2023 B 1194 BL 37 XU 折笠 有基 2024 A 1201 BL 37 XU 折笠 有基 2024 A 1010 BL 37 XU 今井 英人 2024 B 1018 BL 37 XU 今井 英人 2024 B 1231 BL 37 XU 折笠 有基 48637 Daisuke Shibata 93 ( 2025 ) 063016 2023 B 1233 BL 47 XU 折笠 有基 Analysis of Degradation Mechanisms in LiNi 0 . 8 Mn 0 . 1 Co 0 . 1 O 2 Lithium-ion Battery Cathodes During High-Rate Charge–Discharge Cycling 2024 A 1866 BL 46 XU 折笠 有基 2024 A 1015 BL 27 SU 折笠 有基 2024 A 1576 BL 46 XU 折笠 有基 2024 B 1831 BL 46 XU 折笠 有基 2024 B 1008 BL 20 XU 折笠 有基 48643 Naoto Kitamura 93 ( 2025 ) 063010 2023 A 1699 BL 19 B 2 井手本 康 Effects of Metal Composition and Preparation Process on Negative Electrode Properties and Crystal Structure of Ga-Substituted TiNb 2 O 7 2023 B 1046 BL 14 B 2 正井 博和 2023 A 1216 BL 04 B 2 北村 尚斗 166 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Journal of Physics: Conference Series 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48682 Mamoru Kitaura 3029 ( 2025 ) 012018 2022 B 1534 BL 25 SU 北浦 守 Local Structure Analyses of Oxygen Impurities and Vacancy-type Defects in Oxygen Doped CrN Epitaxial Films 2022 A 1008 BL 01 B 1 正井 博和 48706 Seiki Baba 3010 ( 2025 ) 012082 2019 A 2548 BL 45 XU 馬場 清喜 Upgrade for Non-cryogenic Crystallography of MX Beamline BL 41 XU at SPring- 8 2020 A 2041 BL 45 XU 馬場 清喜 2020 A 2082 BL 45 XU 馬場 清喜 2020 A 2525 BL 26 B 1 馬場 清喜 2021 B 2102 BL 45 XU 馬場 清喜 2021 B 2528 BL 26 B 1 馬場 清喜 2022 B 2104 BL 41 XU 馬場 清喜 2022 B 2540 BL 41 XU 馬場 清喜 2023 B 2522 BL 41 XU 馬場 清喜 2021 A 2725 BL 41 XU 長谷川 和也 2021 B 2105 BL 41 XU 長谷川 和也 2022 A 2745 BL 41 XU 長谷川 和也 2021 A 1004 BL 41 XU 山本 雅貴 2021 B 1002 BL 41 XU 山本 雅貴 2022 B 1028 BL 41 XU 山本 雅貴 2023 A 0205 BL 41 XU 山本 雅貴 2024 A 0211 BL 41 XU 山本 雅貴 2022 A 2752 BL 41 XU 奥村 英夫 2023 A 2741 BL 41 XU 奥村 英夫 2024 A 2749 BL 41 XU 矢野 直峰 48707 Nobuhiro Mizuno 3010 ( 2025 ) 012090 2018 B 2090 BL 41 XU 水野 伸宏 Beamline Alignment Software BOSS (Beamline Operation Scheduling Software) for Structural Biology Beamlines at SPring- 8 2019 A 2072 BL 41 XU 水野 伸宏 2019 B 2096 BL 41 XU 水野 伸宏 2019 B 2097 BL 45 XU 水野 伸宏 2020 A 2030 BL 45 XU 水野 伸宏 2020 A 2586 BL 45 XU 水野 伸宏 2021 A 2082 BL 45 XU 水野 伸宏 2022 A 2079 BL 45 XU 水野 伸宏 2022 B 2117 BL 45 XU 水野 伸宏 2022 B 1027 BL 45 XU 山本 雅貴 2022 B 1028 BL 41 XU 山本 雅貴 2023 A 0205 BL 41 XU 山本 雅貴 2023 A 0205 BL 45 XU 山本 雅貴 2024 A 0211 BL 41 XU 山本 雅貴 2024 A 0211 BL 45 XU 山本 雅貴 48710 Masaki Yamamoto 3010 ( 2025 ) 012123 2022 B 1027 BL 45 XU 山本 雅貴 Beamline Automation Opens up Cutting Edges of Macromolecular Crystallography 2022 B 1028 BL 41 XU 山本 雅貴 2023 A 0205 BL 41 XU 山本 雅貴 2024 A 0211 BL 41 XU 山本 雅貴 Journal of The Electrochemical Society 48293 Kazuma Shinozaki 172 ( 2025 ) 024505 2021 B 7040 BL 33 XU 北野 直紀 In Situ 2 D-XAS Imaging and Modeling Analysis of Cerium Migration in Proton Exchange Membrane Fuel Cells 2022 A 7040 BL 33 XU 北野 直紀 2021 A 7040 BL 33 XU 北野 直紀 48587 Ikkei Ban 172 ( 2025 ) 054505 2023 B 1599 BL 19 B 2 渡部 弘達 Operando X-Ray Diffraction Analysis and DFT Calculations of Ni Cathode Oxidation during Electrochemical CO 2 Reduction 2024 B 1674 BL 19 B 2 渡部 弘達 48639 Yuya Sakka 171 ( 2024 ) 070536 2021 A 1005 BL 20 XU 折笠 有基 Investigating Plastic Deformation Between Silicon and Solid Electrolyte in All-Solid-State Batteries Using Operando X-ray Tomography 2021 A 1539 BL 20 XU 山重 寿夫 2021 B 1053 BL 20 XU 山重 寿夫 2021 B 1724 BL 20 XU 折笠 有基 2022 A 1047 BL 20 XU 山重 寿夫 2022 B 1201 BL 20 XU 折笠 有基 2022 B 1082 BL 20 XU 山重 寿夫 48733 Yumi Katasho 172 ( 2025 ) 062505 2021 B 1384 BL 28 B 2 片所 優宇美 In Situ X-ray Diffraction/Fluorescence and Crystal Orientation Analysis for Nd–Ni Electrochemical Alloying and Dealloying in Molten Salt 2023 A 1471 BL 28 B 2 片所 優宇美 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 167 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Pediatric Research 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48526 Lauren Hadley 95 ( 2024 ) 660 - 667 2018 A 0150 BL 20 B 2 Hooper Stuart Sustained Inflation Improves Initial Lung Aeration in Newborn Rabbits with a Diaphragmatic Hernia 2016 A 0132 BL 20 B 2 Hooper Stuart 48527 Kristel L. A. M. Kuypers 97 ( 2025 ) 723 - 728 2009 A 0022 BL 20 B 2 Lewis Robert Slowing Lung Deflation by Increasing the Expiratory Resistance Enhances FRC in Preterm Rabbits 48528 Sophie J. E. Cramer 96 ( 2024 ) 325 - 331 2018 A 0150 BL 20 B 2 Hooper Stuart The Effect of Vibrotactile Stimulation on Hypoxia- induced Irregular Breathing and Apnea in Preterm Rabbits 2016 A 0132 BL 46 XU Hooper Stuart 48530 Ebony R. Cannata ( 2025 ) Online published 18 Jan. 2025 2018 A 0150 BL 20 B 2 Hooper Stuart Optimising CPAP and Oxygen Levels to Support Spontaneous Breathing in Ppreterm Rabbits Applied Surface Science 48504 Koki Hayashida 669 ( 2024 ) 160475 2023 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 Dissociative Adsorption of Supersonic CH 3 Cl on Cu Oxide Surfaces: Cu 2 O( 111 ) and Bulk Cu 2 O Precursor “ 29 ” -Structure on Cu( 111 ) 2023 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2022 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2022 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2021 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2021 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2020 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2019 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2019 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2017 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2017 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 48510 Takamasa Makino 642 ( 2024 ) 158568 2017 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 CH 3 Cl Dissociation, CH 3 Abstraction, and Cl Adsorption from the Dissociative Scattering of Supersonic CH 3 Cl on Cu( 111 ) and Cu( 410 ) 2017 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 A 3831 BL 23 SU 岡田 美智雄 2018 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 B 3831 BL 23 SU 岡田 美智雄 2019 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2019 A 3831 BL 23 SU 岡田 美智雄 2019 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2020 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2021 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2021 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2022 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2022 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 48586 Hiroshi Shinotsuka 685 ( 2025 ) 162001 2012 A 3808 BL 23 SU 小川 修一 Bayesian Estimation Analysis of X-ray Photoelectron Spectra: Application to Si 2 p Spectrum Analysis of Oxidized Silicon Surfaces Biochemical and Biophysical Research Communications 48319 Yuichiro Takekawa 761 ( 2025 ) 151737 2024 A 2726 BL 45 XU 尾瀬 農之 Chain-length Preference of Trans-acting Enoylreductases Involved in the Bosynthesis of Fungal Polyhydroxy Polyketides 48415 Rara Fukui 758 ( 2025 ) 151655 2021 A 2750 BL 45 XU 入江 一浩 Identification of the Binding Site and Immunoreactivity of Anti-A β Antibody 11 A 1 : Comparison with the Toxic Conformation-specific TxCo- 1 Antibody 48469 Ryosuke Nakamura 754 ( 2025 ) 151497 2022 B 6734 BL 44 XU 藤城 貴史 Visualizing Thiazolidine Ring Formation in the Reaction of D-cysteine and Pyridoxal- 5 '-phosphate within L-cysteine Desulfurase SufS 2021 A 6639 BL 44 XU 藤城 貴史 2020 A 6545 BL 44 XU 藤城 貴史 2019 A 6945 BL 44 XU 藤城 貴史 168 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS bioRxiv 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48290 Yoshihiko Furuike ( 2024 ) 584087 2021 B 6602 BL 44 XU 古池 美彦 The Priming Phosphorylation of KaiC is Activated by the Release of its Autokinase Autoinhibition 2023 B 6842 BL 44 XU 古池 美彦 2024 B 6930 BL 44 XU 古池 美彦 48291 Atsushi Mukaiyama ( 2024 ) 604570 2021 B 6602 BL 44 XU 古池 美彦 Evolutionary Origins of Self-sustained Kai Protein Circadian Oscillators 2023 B 6842 BL 44 XU 古池 美彦 2024 B 6930 BL 44 XU 古池 美彦 48691 Saacnicteh Toledo- Patiño ( 2022 ) 491946 2021 B 2562 BL 41 XU 落合 佳樹 Insertions and Deletions Mediated Functional Divergence of Rossmann Fold Enzymes 2021 A 2735 BL 32 XU Toledo Patino Saacnicteh 2021 B 2524 BL 32 XU Toledo Patino Saacnicteh Chemical Communications 48577 Peiyuan Yang 61 ( 2025 ) 7847 - 7850 2024 A 1851 BL 02 B 1 吾郷 友宏 Dicationic Dibenzo[ 1 , 4 ]azaborine with an Open-shell Electronic Structure 2024 A 1857 BL 02 B 1 中村 貴志 48638 Tatsumi Suzuki 61 ( 2025 ) 2953 - 2956 2024 A 1576 BL 46 XU 折笠 有基 Enhanced Charge Transfer Kinetics at the Electrode/ Electrolyte Interface in Acetonitrile Solvent for Lithium- ion Battery Cathodes 2024 A 1866 BL 46 XU 折笠 有基 48649 Shu Ashimura 61 ( 2025 ) 6775 - 6778 2024 B 1694 BL 01 B 1 吉田 真明 In situ SEIRAS Analysis of Enhanced Photocatalytic Carrier Transfer to a Pt Cocatalyst Induced by Sacrificial Reagents 2023 B 1636 BL 01 B 1 吉田 真明 Inorganic Chemistry 48323 Pingping Huang 62 ( 2023 ) 1135 - 1140 2021 B 1233 BL 02 B 1 吉田 幸大 Isomerization-Controlled Proton–Electron Coupling in a π -Planar Metal Complex 48448 Shion Tsujimura 64 ( 2025 ) 5755 - 5763 2024 A 1730 BL 02 B 1 秋吉 亮平 Chirality and Polarity Modulation in Semiconductive Zinc(II) Coordination Polymers Containing Thiolate- Based Ligands 2023 A 1528 BL 02 B 1 田中 大輔 2023 B 1612 BL 02 B 1 秋吉 亮平 2023 B 1861 BL 02 B 1 田中 大輔 2023 B 2015 BL 02 B 1 田中 大輔 2024 B 1281 BL 04 B 2 田中 大輔 2024 A 1222 BL 04 B 2 田中 大輔 2023 B 1247 BL 04 B 2 田中 大輔 48729 Xuan Liang 64 ( 2025 ) 10467 - 10477 2023 B 1676 BL 02 B 2 山浦 一成 Negative Magnetization Phenomena in A-Site Columnar-Ordered Quadruple Perovskites Ce 2 MnM(Mn 2 Sb 2 )O 12 with M = Mn and Zn Journal of Materials Chemistry C 48422 Q. Eynaud 11 ( 2023 ) 9657 - 9669 2021 B 1947 BL 46 XU 小金澤 智之 Towards Efficient NFA-based Selective Near-infrared Organic Photodetectors: Impact of Thermal Annealing of Polymer Blends 2022 A 2069 BL 13 XU 小金澤 智之 2022 A 2063 BL 19 B 2 小金澤 智之 48425 Y. A. Quiroz Avalos 12 ( 2024 ) 4130 - 4141 2021 B 1947 BL 46 XU 小金澤 智之 Insights into the Relationship between Molecular and Order-dependent Photostability of ITIC Derivatives for the Production of Photochemically Stable Blends 2022 A 2069 BL 13 XU 小金澤 智之 2022 A 2063 BL 19 B 2 小金澤 智之 48484 Thomas Bjørn Egede Grønbech 11 ( 2023 ) 12922 - 12932 2022 B 0508 BL 02 B 1 Iversen Bo Elucidating the Superexchange Mechanisms in Magnetic Coordination Polymer [Co(HCOO) 2 (H 2 O) 2 ] ∞ through Chemical Bonding Analysis SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 169 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 The Journal of Physical Chemistry C 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48486 Taiki Uno 128 ( 2024 ) 11802 - 11816 2022 B 1156 BL 04 B 2 大窪 貴洋 Understanding the Carbonation Phenomenon of C S H through Layer Structure Changes and Water Exchange 48660 Toyoto Sato 129 ( 2025 ) 2865 - 2873 2021 B 3694 BL 14 B 1 佐藤 豊人 Synthesis, Crystal Structure, and Hydrogen Storage Properties of an AB 3 -Based Alloy Synthesized by Disproportionation Reactions of AB 2 -Based Alloys 2022 A 3694 BL 14 B 1 佐藤 豊人 2022 B 3694 BL 14 B 1 佐藤 豊人 48705 Miki Yamamoto 129 ( 2025 ) 11831 - 11837 2019 A 7616 BL 28 XU 安部 武志 Changes in Structure and Valence of Iron-Based Positive Electrodes in All-Solid-State Fluoride Batteries 2019 B 7616 BL 28 XU 安部 武志 2020 A 7616 BL 28 XU 安部 武志 2021 B 7618 BL 28 XU 安部 武志 Journal of the Physical Society of Japan 48489 Fuki Sato 93 ( 2024 ) 093601 2022 B 1260 BL 10 XU 青山 拓也 Structural and Electronic Properties of Ru X 3 ( X = Br and I) under High Pressure 48599 Katsuya Shimizu 89 ( 2020 ) 051005 2018 B 1677 BL 10 XU 中尾 敏臣 Investigation of Superconductivity in Hydrogen-rich Systems 48681 Shigenori Ueda 94 ( 2025 ) 074703 2019 B 4606 BL 15 XU 上田 茂典 Polarization-dependent Bulk-sensitive Valence Band Photoemission Spectroscopy and Density Functional Theory Calculations: Part IV. 4 f Rare-earths Macromolecules 48513 Xueyu Li 58 ( 2025 ) 2984 - 2995 2022 B 1589 BL 19 B 2 黒川 孝幸 Mechanical Performance of Polyampholyte Hydrogels Influenced by Ionic Bond Strength under Isochoric Conditions 48650 Kenji Sakanaya 58 ( 2025 ) 5456 - 5464 2021 A 1419 BL 40 B 2 真田 雄介 Hydrophobic Collapse of a Poly(ethylene Oxide) Poly(propylene Oxide) Alternating Multiblock Copolymer in Water 48713 Shota Usukawa 58 ( 2025 ) 5738 - 5746 2022 B 1235 BL 40 B 2 鈴木 祥仁 Exceptionally High Melting Temperature of Polymer Crystal with Fully Extended Chains Prepared via Topochemical Polymerization and Its Analysis Based on Nonlinear Modified Hoffman Weeks Approach 2024 A 1328 BL 40 B 2 鈴木 祥仁 2024 B 1415 BL 40 B 2 鈴木 祥仁 Molecules 48388 Shinnosuke Usuda 30 ( 2025 ) 1361 2022 A 1200 BL 02 B 1 箕浦 真生 A Disila[ 2 ]ferrocenophane with a Bridging 9 , 9 '-Bi- 9 H - 9 -Silafluorene Moiety 2022 A 1354 BL 02 B 1 村田 理尚 2022 A 1584 BL 02 B 1 森迫 祥吾 2022 A 1705 BL 02 B 1 成田 皓樹 2022 B 0552 BL 02 B 1 村田 理尚 2022 B 0589 BL 02 B 1 森迫 祥吾 2022 B 1626 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 A 1539 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1771 BL 02 B 1 菅又 功 2023 A 1785 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1794 BL 02 B 1 髙橋 聡史 2023 A 1859 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 A 1925 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1675 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1806 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 B 1878 BL 02 B 1 菅又 功 2024 A 1633 BL 02 B 1 髙橋 聡史 2024 A 1699 BL 02 B 1 森 達哉 2024 A 1851 BL 02 B 1 吾郷 友宏 2024 A 1857 BL 02 B 1 中村 貴志 2024 B 2033 BL 02 B 1 薄葉 純一 48446 Satomi Inaba- Inoue 30 ( 2025 ) 1793 2018 A 1051 BL 40 B 2 稲葉 理美 Plasticity and Co-Factor-Dependent Structural Changes in the RecA Nucleoprotein Filament Studied by Small-Angle X-Ray Scattering (SAXS) Measurements and Molecular Modeling 2018 B 1051 BL 40 B 2 稲葉 理美 2019 A 2024 BL 40 B 2 稲葉 理美 48471 Alexei A. Belik 30 ( 2025 ) 1749 2024 B 1825 BL 02 B 2 Belik Alexei A Site-Ordered Quadruple Perovskites, RMn 3 Ni 2 Mn 2 O 12 with R = Bi, Ce, and Ho, with Different Degrees of B Site Ordering 170 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Physical Review Materials 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48279 Susumu Hirata 9 ( 2025 ) 025002 2024 A 1876 BL 09 XU 前里 光彦 Efficient Electron Doping into KTaO 3 by Hydrogen Ion Beam 48377 Kazuaki Iwasa 7 ( 2023 ) 014201 2018 B 3811 BL 23 SU 藤森 伸一 Weyl Kondo Semimetal Behavior in the Chiral Structure Phase of Ce 3 Rh 4 Sn 13 48480 Kristoffer Andreas Holm Støckler 8 ( 2024 ) 034409 2014 A 0078 BL 02 B 1 Iversen Bo Models of Polaron Fluctuations in LuFe 2 O 4 2019 A 0159 BL 02 B 1 西堀 英治 Polymer 48397 Yuki Matsumoto 327 ( 2025 ) 128417 2023 A 1111 BL 40 B 2 寺尾 憲 Dimensional and Conformational Properties of Pullulan Tris(alkylcarbamate)s in Tetrahydrofuran 2023 A 1112 BL 40 B 2 寺尾 憲 2024 B 1209 BL 40 B 2 高橋 倫太郎 48581 Ayaka Takazawa 313 ( 2024 ) 127683 2022 B 1731 BL 40 XU 髙澤 彩香 Oriented Crystalline Structure in Melt-drawn Ultrahigh-molecular-weight Polyethylene Induced by Entanglement Networks 2021 B 1263 BL 40 XU 上原 宏樹 48584 Ryohei Fuse 332 ( 2025 ) 128558 2021 B 1746 BL 19 B 2 冨澤 錬 In situ Analysis of Hierarchal Structure Changes to the Tensile Breakage of Poly(ethylene terephthalate) Fiber 2021 B 1868 BL 19 B 2 冨澤 錬 2022 B 1580 BL 19 B 2 冨澤 錬 2023 A 1847 BL 19 B 2 冨澤 錬 2023 B 7261 BL 03 XU 中田 克 Science Advances 48332 Noriyuki Isobe 11 ( 2025 ) eads 2426 2021 B 1682 BL 40 B 2 磯部 紀之 Fully Circular Shapable Transparent Paperboard with Closed-loop Recyclability and Marine Biodegradability across Shallow to Deep Sea 48521 Manuel Maestre- Reyna 11 ( 2025 ) eadu 7247 2023 A 8024 BL 2 山元 淳平 Capturing Structural Intermediates in an Animal- like Cryptochrome Photoreceptor by Time-resolved Crystallography 2021 B 8051 BL 2 別所 義隆 2021 A 8035 BL 2 別所 義隆 2020 A 8055 BL 2 別所 義隆 2019 A 8014 BL 2 別所 義隆 2018 B 8031 BL 2 別所 義隆 2018 A 8008 BL 2 別所 義隆 48603 Xiaokang Feng 11 ( 2025 ) eads 3139 2021 A 8642 BL 3 Yang Wenge Nanosecond Structural Evolution in Shocked Coesite 2021 A 8017 BL 3 尾崎 典雅 Acta Materialia 48385 Gustavo Alberto Rosales- Sosa 292 ( 2025 ) 120973 2019 B 1364 BL 04 B 1 山田 明寛 Indentation Stress Fields in Brittle Materials: A Micro- photoelastic Investigation in Silicate Glasses 2021 B 1368 BL 04 B 1 山田 明寛 48420 Hiroshi Akamine 292 ( 2025 ) 121054 2020 A 1197 BL 02 B 1 赤嶺 大志 Successive Stress-induced Phase Transformations with Large Stress-strain Hysteresis in Single Crystal Cu-Al-Mn Shape Memory Alloys 2021 B 1270 BL 02 B 1 赤嶺 大志 2021 B 3740 BL 22 XU 赤嶺 大志 Advanced Materials 48316 Ziheng Gao ( 2025 ) Online published 27 Mar. 2025 2023 B 1376 BL 44 B 2 Zhang Jiawei Tunable Vacancy Order and Emergent Functionalities in Half-Heusler Crystals 48349 You- Chiuan Chu 36 ( 2024 ) 2400640 2024 B 4126 BL 12 B 2 Tung Ching- wei Dynamic (Sub)surface-Oxygen Enables Highly Efficient Carbonyl-Coupling for Electrochemical Carbon Dioxide Reduction 2024 B 4253 BL 12 XU Tung Ching- wei SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 171 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Applied Catalysis B 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48450 Lingcong Li 339 ( 2023 ) 123151 2022 A 1827 BL 14 B 2 宮崎 眞太 Continuous Direct Air Capture and Methanation using Combined System of Membrane-based CO 2 Capture and Ni-Ca Based Dual Functional Materials 48644 Qi-An Huang 373 ( 2025 ) 125351 2021 A 1543 BL 14 B 2 石田 玉青 Active and Stable Au/ZrO 2 Catalysts for Isomerization of Allylic Esters: A Practical Application of Heterogeneous Gold Catalysis 2021 B 1949 BL 14 B 2 村山 美乃 Asian Journal of Organic Chemistry 48328 Yuzuru Kanetada 14 ( 2025 ) e 202500288 2024 A 1208 BL 40 XU 久木 一朗 Hydrogen-Bonded Framework with Low- Density Hexagonal Network Structure Formed by Diethynylterphenyl-Bridged Macrocyclic Hexacarboxylic Acid 2024 B 1142 BL 41 XU 佐々木 俊之 48419 Tetsuo Okujima 14 ( 2025 ) e 202500342 2015 B 1234 BL 38 B 1 佐々木 俊之 Synthesis of [ 34 ]Octaphyrin( 1 . 0 . 1 . 0 . 1 . 0 . 1 . 0 ) Biophysics and Physicobiology 48292 Yoshihiko Furuike 21 ( 2024 ) e 210001 2021 B 6602 BL 44 XU 古池 美彦 Structure-function Relationship of KaiC around Dawn 2023 B 6842 BL 44 XU 古池 美彦 2024 B 6930 BL 44 XU 古池 美彦 48598 Fumiya Kondo 22 ( 2025 ) e 220009 2022 B 2529 BL 38 B 1 織田 昌幸 Structure-activity Relationship of PET-degrading Cutinase Regulated by Weak Ca 2 + Binding and Temperature 2023 B 2524 BL 38 B 1 織田 昌幸 2023 A 2728 BL 38 B 1 織田 昌幸 Cellulose 48633 Soichi Tanaka 32 ( 2025 ) 5989 - 6001 2023 B 1470 BL 40 B 2 田中 聡一 Uniform Silver Nanoparticles Synthesized on the Surface of the TEMPO-oxidized Cellulose Nanofibers 2024 B 1389 BL 40 B 2 田中 聡一 48642 Yangyang Zhang 32 ( 2025 ) 2337 - 2351 2023 B 1402 BL 40 B 2 小林 加代子 Comparative Analysis of the Structures and Properties of Cellulose Hydrogels Prepared using Different Solvent Systems Chemical Engineering Journal 48277 Xinhang Cai 509 ( 2025 ) 161388 2023 A 1825 BL 02 B 2 柴山 直之 Bilateral Energy Level Tuning for Efficient Inverted Perovskite Solar Cells 2024 A 1567 BL 19 B 2 柴山 直之 48451 Lingcong Li 477 ( 2023 ) 147199 2022 A 1827 BL 14 B 2 宮崎 眞太 Rb-Ni/Al 2 O 3 as Dual Functional Material for Continuous CO 2 Capture and Selective Hydrogenation to CO Chemical Science 48329 Mitsuo Shoji 13 ( 2022 ) 10923 - 10938 2021 B 6606 BL 44 XU 岡島 俊英 Molecular Mechanism of a Large Conformational Change of the Quinone Cofactor in the Semiquinone Intermediate of Bacterial Copper Amine Oxidase 2020 A 6507 BL 44 XU 岡島 俊英 2007 B 6904 BL 44 XU 岡島 俊英 2007 A 6904 BL 44 XU 岡島 俊英 2006 B 6809 BL 44 XU 岡島 俊英 2006 A 6809 BL 44 XU 岡島 俊英 48390 Akihiro Nomoto 15 ( 2024 ) 20509 - 20514 2023 A 1539 BL 02 B 1 森 達哉 Bis(methylene)- λ 5 -phosphane Anions 2023 A 1771 BL 02 B 1 菅又 功 2023 A 1785 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1794 BL 02 B 1 髙橋 聡史 2023 A 1859 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 A 1925 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1675 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1806 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 B 1878 BL 02 B 1 菅又 功 2024 A 1857 BL 02 B 1 中村 貴志 172 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Chemistry - A European Journal 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48596 Gissi Novientri 31 ( 2025 ) e 202404736 2022 B 2525 BL 45 XU 廣田 俊 Construction of a Cyclic Regular-Triangle Trimer of Cytochrome c 555 with a Central Hole Using Sortase A 2023 B 2523 BL 45 XU 廣田 俊 48632 Ryohei Akiyoshi 30 ( 2024 ) e 202400618 2022 B 1584 BL 02 B 2 田中 大輔 Polymorphism of Two-Dimensional Semiconducting Coordination Polymers: Impact of a Lead–Sulfur Network on Photoconductivity 2023 A 1528 BL 02 B 1 田中 大輔 2023 B 1622 BL 02 B 2 田中 大輔 Chemistry Letters 48324 Yuto Ohmura 53 ( 2024 ) upae 140 2023 A 1264 BL 40 XU 久木 一朗 Synthesis, Solid-state Structures, and Properties of Linear and Tripodal Flexible Molecules with Pyrazinopyrazine Moieties 2023 B 1142 BL 40 XU 久木 一朗 48655 Mina Tanigawa 53 ( 2024 ) upae 211 2022 A 1123 BL 40 B 2 櫻木 美菜 Highly Efficient Transdermal Delivery of Rutin via Microemulsions Containing Deep Eutectic Solvents Composed of Choline Chloride-polyethylene Glycol 2022 B 1196 BL 40 XU 櫻木 美菜 Dalton Transactions 48389 Togo Anzai 54 ( 2025 ) 1360 - 1364 2023 A 1539 BL 02 B 1 森 達哉 Monomeric Tri-coordinated Bis(ferrocenyl)haloalumanes 2023 A 1771 BL 02 B 1 菅又 功 2023 A 1785 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1794 BL 02 B 1 髙橋 聡史 2023 A 1859 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 A 1925 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1806 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 B 1878 BL 02 B 1 菅又 功 2023 B 1675 BL 02 B 1 菅又 功 2024 A 1857 BL 02 B 1 中村 貴志 48394 Yusuke Kataoka 54 ( 2025 ) 3047 - 3056 2022 B 1647 BL 02 B 1 片岡 祐介 Paddlewheel-type and Half-paddlewheel-type Diruthenium(II,II) Complexes with 1 , 8 -naphthyridine- 2 -carboxylate 2023 A 1741 BL 02 B 1 片岡 祐介 2023 B 1829 BL 02 B 1 片岡 祐介 2024 A 1713 BL 02 B 1 片岡 祐介 e-Journal of Surface Science and Nanotechnology 48472 Akitaka Yoshigoe 23 ( 2025 ) 16 - 21 2018 B 1189 BL 17 SU 吉越 章隆 Synchrotron Radiation Photoemission Electron Microscopy Study on Radioactive Cesium-bearing Microparticle Collected in Fukushima 2022 A 3731 BL 17 SU 小畠 雅明 2022 B 3731 BL 22 XU 小畠 雅明 48501 Junichiro Kamiya 22 ( 2024 ) 316 - 326 2022 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 SRPES and XPS Analysis of Activation and Deterioration Processes for Ti-Zr-V NEG Coating 2023 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2023 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2024 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 ISIJ International 48610 Mitsuharu Yonemura 65 ( 2025 ) 1192 - 1200 2019 B 8004 BL 3 米村 光治 Dislocation Density and Reverse Transformation Kinetics in Martensitic Steel Under Cyclic Ultrafast Heating and Cooling 2020 A 8001 BL 3 米村 光治 48662 Tomohiko Hojo 65 ( 2025 ) 284 - 296 2018 B 3681 BL 14 B 1 北條 智彦 Stress and Plastic Strain Partitioning Behaviors and Those Contributions to Martensitic Transformation of Retained Austenite in Medium Manganese and Transformation-Induced Plasticity-Aided Bainitic Ferrite Steels 2020 A 3681 BL 14 B 1 北條 智彦 2021 B 3681 BL 14 B 1 北條 智彦 Journal of Applied Crystallography 48616 Mizuki Kishimoto 58 ( 2025 ) 879 - 885 2017 A 7215 BL 03 XU 三田 一樹 Strain-induced Density Fluctuations in Linear Low- density Polyethylene 2017 B 7267 BL 03 XU 三田 一樹 2018 A 7217 BL 03 XU 内田 公典 2018 B 7267 BL 03 XU 内田 公典 2019 A 7215 BL 03 XU 内田 公典 2019 B 7264 BL 03 XU 内田 公典 48618 Masato Arakawa 58 ( 2025 ) 886 - 896 2022 B 7263 BL 03 XU 内田 公典 Differences in Hierarchical Structural Changes between Unoriented P( 3 HB) and P( 3 HB- co - 3 HH) under Stretching 2023 A 7214 BL 03 XU 内田 公典 2023 B 7263 BL 03 XU 内田 公典 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 173 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Journal of Applied Physics 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48578 Tomoki Nagase 137 ( 2025 ) 055702 2018 A 3584 BL 11 XU 荒木 努 Misfit Accommodation in a Single Interface Atomic Layer at a Highly Lattice-mismatched InN/GaN 2019 A 3586 BL 11 XU 荒木 努 2017 A 3588 BL 11 XU 荒木 努 48608 Ryotaro Nakazawa 135 ( 2024 ) 085301 2020 A 1824 BL 46 XU 東海林 弘 Reliable Measurement of the Density of States Including Occupied in-gap States of an Amorphous In–Ga–Zn–O Thin Film via Photoemission Spectroscopies: Direct Observation of Light-induced in-gap States Journal of Materials Chemistry A 48417 Ching Kit Tommy Wun 12 ( 2024 ) 25442 - 25448 2018 A 1253 BL 44 B 2 Tang Chiu Investigating Synergistic Cooperativity of Metal- Brønsted Acid Site Pair in MFI-type Zeolites by Synchrotron X-ray Powder Diffraction 2022 B 0545 BL 02 B 2 Lo Benedict 2023 B 1665 BL 01 B 1 Lo Benedict 2023 B 1666 BL 13 XU Lo Benedict 48635 Kenji Arai 13 ( 2025 ) 21472 - 21479 2019 B 1776 BL 02 B 2 新井 健司 Thermally Stable Proton-conducting Oxyhydroxides Synthesized in Concentrated Water Vapor Journal of Materials Research and Technology 48535 Dongdong Xu 35 ( 2025 ) 4779 - 4791 2021 A 3740 BL 22 XU 魏 代修 Heterogeneous Nucleation of Ni 3 Ti by Mo-enriched Particles Enhances Strength and Fracture Toughness of Maraging Steel 48549 Lu Cao 36 ( 2025 ) 272 - 283 2023 B 1117 BL 08 W Jiang Haoran Effect of Quenching Temperature on the Structure and Properties of Cu-Zr-Al Glassy Ribbons Journal of Physics: Condensed Matter 48299 Abulikemu Aierxiding 37 ( 2025 ) 185201 2022 B 1284 BL 08 W 桜井 浩 Investigation of First-cycle Voltage Hysteresis in Li-rich Cathode Materials by Magnetic Compton Scattering Experiments 2023 A 1656 BL 02 B 2 内本 喜晴 2023 B 1466 BL 08 W 桜井 浩 48699 D. A. Kukusta 37 ( 2025 ) 255501 2016 A 3552 BL 11 XU 石井 賢司 Electronic Structure and Resonant Inelastic X-ray Scattering in Ta 2 NiSe 5 2016 B 3552 BL 11 XU 石井 賢司 Journal of the American Ceramic Society 48494 Abudushalamu Aili 105 ( 2022 ) 6924 - 6937 2021 A 1118 BL 13 XU Geng Guoqing Micro X-ray Diffraction and Elemental Study on Al- tobermorite Formation in Aged Modern Concrete 48704 Shingo Taniguchi 108 ( 2025 ) e 70040 2023 B 1116 BL 04 B 2 山田 明寛 Synthesis and Structure of Anisotropic Borosilicate Glasses under Differential Stress at High Pressure and Temperature Journal of the Ceramic Society of Japan 48605 Mamoru Kitaura ( 2025 ) Online published May 23 , 2025 2023 A 1287 BL 39 XU 北浦 守 Effect of Zn Doping on p-type Conduction of γ -CuI Studied by X-ray Fluorescence Holography and Positron Annihilation Spectroscopy 2024 A 1092 BL 25 SU 北浦 守 48634 Kengo Oka 133 ( 2025 ) 246 - 249 2022 B 1830 BL 02 B 2 岡 研吾 Rapid Fluorination using Polyvinylidene-difluoride (PVDF) for the Synthesis of Oxyfluoride Bi 2 VO 5 F 1 -x Nano Letters 48507 Yue Wang 22 ( 2022 ) 9964 - 9971 2020 A 3842 BL 23 SU 和達 大樹 Layer-Number-Independent Two-Dimensional Ferromagnetism in Cr 3 Te 4 48689 Ziyan Liu 25 ( 2025 ) 6218 - 6226 2024 B 1697 BL 19 B 2 柴山 直之 Nickel Chlorophyll-Derived Hole Transport Materials for Stable and Efficient Inverted Perovskite Solar Cells 2024 A 1567 BL 19 B 2 柴山 直之 2024 B 1916 BL 19 B 2 柴山 直之 Organic & Biomolecular Chemistry 48579 Kazusa Kuyama 23 ( 2025 ) 4927 - 4933 2024 A 1194 BL 26 B 1 棚谷 綾 An Aromatic Layered Foldamer Based on a ( cis , cis )- Squaramide: Chiral Induction and Absolute Structure 48702 Katsumasa Sakoda 23 ( 2025 ) 2638 - 2644 2024 B 1602 BL 01 B 1 山口 渉 Reductive Amination of Triglycerides to Fatty Amines over a Titanium Oxide-supported Pt–Mo Catalyst 174 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Physics of the Earth and Planetary Interiors 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48358 Kenji Ohta 363 ( 2025 ) 107351 2017 A 0072 BL 10 XU 廣瀬 敬 Electrical and Thermal Conductivities of Fe–Ni–Si Alloy under Core Conditions: A Reevaluation 2021 B 0181 BL 10 XU 廣瀬 敬 2023 B 1280 BL 10 XU 太田 健二 2024 A 1244 BL 10 XU 太田 健二 48688 Bunrin Natsui 366 ( 2025 ) 107392 2022 A 1459 BL 47 XU 安武 正展 Crystallographic Preferred Orientation of (Mg,Fe)O up to 125 GPa Inferred from Torsional Deformation Experiments using a Rotational Diamond Anvil Cell 2022 A 1496 BL 47 XU 岡崎 啓史 2022 B 1410 BL 47 XU 東 真太郎 2022 B 1408 BL 47 XU 岡崎 啓史 2023 A 1359 BL 47 XU 岡崎 啓史 2023 A 1314 BL 47 XU 東 真太郎 2023 B 0312 BL 10 XU 夏井 文凜 2023 B 1392 BL 47 XU 安武 正展 2023 B 1462 BL 47 XU 東 真太郎 2024 A 1496 BL 47 XU 岡崎 啓史 2024 A 1392 BL 47 XU 東 真太郎 2024 B 1426 BL 47 XU 東 真太郎 2023 B 0312 BL 47 XU 夏井 文凜 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 48493 Shun Nakamura 122 ( 2025 ) e 2413465122 2024 A 2753 BL 45 XU 中村 駿 Structure-guided Engineering of a Mutation-tolerant Inhibitor Peptide against Variable SARS-CoV- 2 Spikes 2023 A 2724 BL 45 XU 中村 駿 2022 A 2746 BL 45 XU 中村 駿 2021 B 2751 BL 45 XU 中村 駿 2019 B 2721 BL 41 XU 中村 駿 48538 Rachel Bolton 121 ( 2024 ) e 2308478121 2022 A 8002 BL 2 Hough Michael A Redox Switch Allows Binding of Fe(II) and Fe(III) Ions in the Cyanobacterial Iron-binding Protein FutA from Prochlorococcus 2022 B 8041 BL 2 Hough Michael Quantum Beam Science 48465 Kenji Suzuki 9 ( 2025 ) 15 2023 A 3684 BL 14 B 1 鈴木 賢治 Residual Stresses of Small-Bore Butt-Welded Piping Measured by Quantum Beam Hybrid Method 2024 B 3684 BL 14 B 1 鈴木 賢治 2023 B 5051 BL 16 XU 野口 真一 48607 Hiroshi Sekiguchi 9 ( 2025 ) 19 2018 A 1315 BL 40 XU 関口 博史 Diffracted X-Ray Tracking for Analysis of Heterogeneity of Hydrogels 2019 B 1334 BL 40 B 2 秋葉 勇 2020 A 1158 BL 40 B 2 秋葉 勇 2020 A 1161 BL 40 B 2 秋葉 勇 2019 B 1625 BL 40 XU 関口 博史 2019 B 1335 BL 40 XU 秋葉 勇 2020 A 1159 BL 40 XU 秋葉 勇 2021 B 1579 BL 40 XU 関口 博史 RSC Advances 48534 Hirokazu Narita 13 ( 2023 ) 17001 - 17007 2013 B 3518 BL 11 XU 成田 弘一 Extraction of Se(IV) and Se(VI) from Aqueous HCl Solution by using a Diamide-containing Tertiary Amine 48592 Erika Saito 13 ( 2023 ) 32039 - 32044 2022 B 1944 BL 02 B 1 松永 周 Formation of Charge-transfer Complexes in Ionic Crystals Composed of 1 , 3 -bis(dicyanomethylidene) indan Anion and Viologens Bearing Alkyl Chains 粉体および粉末冶金(Journal of the Japan Society of Powder and Powder Metallurgy) 48376 Hayato Nakasawa 72 ( 2025 ) S 997 -S 1001 2022 B 3726 BL 22 XU 菖蒲 敬久 Strain Analysis of Thermoelectric Materials using High-resolution Synchrotron X-ray Diffraction Data 2023 A 3721 BL 22 XU 菖蒲 敬久 2023 B 3722 BL 22 XU 菖蒲 敬久 48588 Kazushi Hayashi 72 ( 2025 ) S 1167 -S 1173 2022 A 5320 BL 16 B 2 福田 一徳 Application of Warm Isostatic Pressing to Densification of All Solid-State Composite Cathode Electrodes in All Solid-State Lithium-Ion Batteries 2022 B 5320 BL 16 B 2 福田 一徳 2021 A 5320 BL 16 B 2 横溝 臣智 2021 B 5320 BL 16 B 2 横溝 臣智 2023 A 5320 BL 16 B 2 林 和志 2023 B 5320 BL 16 B 2 林 和志 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 175 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 ACS Applied Energy Materials 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48731 Kousuke Beppu 8 ( 2025 ) 1683 - 1688 2023 B 1913 BL 14 B 2 別府 孝介 Unraveling Vibrational Energies of Chemical Bonds in Silver-Containing Chalcopyrite Compounds (Ag,Cu) InSe 2 and Ag(In,Ga)Se 2 by Low-Temperature EXAFS Analysis 2018 B 1448 BL 01 B 1 別府 孝介 2019 B 1605 BL 01 B 1 別府 孝介 2021 A 1230 BL 01 B 1 別府 孝介 2022 B 0590 BL 01 B 1 別府 孝介 2019 B 1622 BL 37 XU 山添 誠司 ACS Applied Engineering Materials 48624 Quan Zou 3 ( 2025 ) 1200 - 1209 2022 B 1061 BL 01 B 1 西堀 麻衣子 Cu-Doped TiO 2 Nanoparticle-Based Thin Films Obtained via the Mist-Deposition Method and Their Photocatalytic Antibacterial Properties 2021 B 1712 BL 19 B 2 蟹江 澄志 ACS Applied Nano Materials 48595 Kohsuke Mori 7 ( 2024 ) 28649 - 28658 2023 A 1668 BL 01 B 1 森 浩亮 Entropy-Stabilized Isolated Active Pd Species within a High-Entropy Fluorite Oxide Matrix for CO 2 Hydrogenation to Formic Acid 2023 B 1805 BL 01 B 1 森 浩亮 ACS Applied Polymer Materials 48468 Namie Ikeda 7 ( 2025 ) 5546 - 5555 2023 A 1289 BL 04 B 2 藤井 健太 Unusual Polyether Dissolution in Salt-Concentrated Ionic Liquid Electrolytes:Application to High- Performance Ion Gels for Lithium-Ion Batteries 2023 B 1359 BL 04 B 2 直井 勝彦 2023 B 1328 BL 04 B 2 藤田 正博 2024 B 1501 BL 04 B 2 澤山 沙希 2022 A 1688 BL 04 B 2 上山 祐史 ACS ES&T Engineering 48359 Daichi Takami 5 ( 2025 ) 864 - 873 2022 A 1171 BL 01 B 1 桑原 泰隆 Photothermal Approach on Chemical Looping Method for Reverse Water Gas Shift Reaction using Defective Molybdenum Oxide 2023 A 1676 BL 01 B 1 桑原 泰隆 ACS Nano 48467 Andrés Burgos- Caminal 19 ( 2025 ) 21950 - 21961 2021 B 8047 BL 3 Gawelda Wojciech Selective Tracking of Charge Carrier Dynamics in CuInS 2 Quantum Dots ACS Nanoscience Au 48492 Masashi Nakamura 5 ( 2025 ) 196 - 207 2024 B 1844 BL 13 XU 北川 宏 Unraveling Element-Selective Local Structures in Multielement Alloy Nanoparticles with EXAFS 2023 A 1739 BL 01 B 1 北川 宏 2023 B 1588 BL 01 B 1 北川 宏 2023 B 1988 BL 14 B 2 北川 宏 ACS Omega 48591 Tamaki Matsumura 10 ( 2025 ) 10060 - 10070 2023 B 1039 BL 01 B 1 松本 太 The Relationship between the Electronic State of Pt in Pt-Based Nanoparticle Catalysts and Their Electrochemical Catalytic Activity in the Oxidation of Small Organic Compounds 2023 B 1944 BL 01 B 1 松本 太 ACS Sustainable Chemistry & Engineering 48701 Taiki Kawakami 13 ( 2025 ) 7994 - 8002 2023 B 1646 BL 14 B 2 水垣 共雄 Mild and Selective Hydrogenation of Furfural and Its Derivatives to Tetrahydrofurfuryl Compounds Catalyzed by Aluminum Oxide-supported Nickel Carbide Nanoparticles 2024 A 1548 BL 01 B 1 山口 渉 2023 A 1896 BL 01 B 1 山口 渉 Acta Crystallographica Section B 48490 Emilie Skytte Vosegaard 79 ( 2023 ) 380 - 391 2022 B 0508 BL 02 B 1 Iversen Bo Comparative Study of Conventional and Synchrotron X-ray Electron Densities on Molecular Crystals 176 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Acta Crystallographica Section D 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48307 Hiroyuki Iwamoto 81 ( 2025 ) 196 - 206 2007 A 1190 BL 45 XU 岩本 裕之 Restoration of the 3 D Structure of Insect Flight Muscle from a Rotationally Averaged 2 D X-ray Diffraction Pattern Advanced Functional Materials 48354 Keiju Wachi 34 ( 2025 ) 2425452 2024 A 1718 BL 01 B 1 宍戸 哲也 Oxygen Defect Engineering of Hexagonal Perovskite Oxides to Boost Catalytic Performance for Aerobic Oxidation of Sulfides to Sulfones 2024 B 1631 BL 01 B 1 和知 慶樹 Advanced Physics Research 48331 Fumiaki Kato 3 ( 2024 ) 2400063 2022 B 1825 BL 02 B 1 中埜 彰俊 Enhanced Cryogenic Thermoelectricity in Semimetal Ta 2 PdSe 6 through Non-Fermi Liquid-Like Charge and Heat Transport Antimicrobial Agents and Chemotherapy 48434 Shigehiro Enkai 67 ( 2023 ) 01428 - 22 2022 A 6714 BL 44 XU 志波 智生 Killing Two Birds with One Stone: Discovery of Dual Inhibitors of Oxygen and Fumarate Respiration in Zoonotic Parasite, Echinococcus multilocularis Applied Clay Science 48466 Shingo Machida 242 ( 2023 ) 107025 2022 B 1125 BL 20 XU 町田 慎悟 A Three-dimensional Image Reflecting the Dispersion State of Ceramic Platelets in Solvent: Observation of Montmorillonite Dispersed in Silica Gel by Synchrotron X-ray Multiscale Tomography Applied Materials Today 48361 Rei Okuno 44 ( 2025 ) 102710 2022 B 1363 BL 04 B 2 橋本 英樹 Amorphous Alumina: an Ideal Material for Advancing Pentacoordinated Aluminum Chemistry and Verifying its Catalytic Properties 2023 B 1237 BL 04 B 2 橋本 英樹 2024 B 1527 BL 04 B 2 橋本 英樹 Applied Physics Express 48609 Kohei Shimizu 15 ( 2022 ) 094002 2020 A 1824 BL 46 XU 東海林 弘 Study of the Effect of Density of States Distribution on Carrier Injection at Organic/Electrode Interface through High-sensitivity Photoemission Spectroscopy and Injection Simulation Applied Sciences 48496 Takahiro Matsumoto 15 ( 2025 ) 3931 2023 A 1009 BL 04 B 2 今井 英人 FC-BENTEN: Synchrotron X-Ray Experimental Database for Polymer-Electrolyte Fuel-Cell Material Analysis 2023 B 1014 BL 04 B 2 今井 英人 2022 B 1967 BL 09 XU 今井 英人 2023 A 1040 BL 09 XU 今井 英人 2023 A 1651 BL 09 XU 今井 英人 2023 A 1819 BL 09 XU 今井 英人 2023 B 1939 BL 09 XU 今井 英人 2021 B 1849 BL 14 B 2 今井 英人 2021 B 1913 BL 14 B 2 今井 英人 2022 B 1049 BL 14 B 2 今井 英人 2022 B 1968 BL 19 B 2 今井 英人 2023 A 1041 BL 19 B 2 今井 英人 2023 A 1652 BL 19 B 2 今井 英人 2023 A 1820 BL 19 B 2 今井 英人 2023 A 1019 BL 04 B 2 今井 英人 2021 B 1046 BL 46 XU 今井 英人 2022 B 1051 BL 46 XU 今井 英人 理研 BL 36 XU SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 177 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Atmospheric Chemistry and Physics 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48735 Kohei Sakata 22 ( 2022 ) 9461 - 9482 2015 A 1809 BL 27 SU 坂田 昂平 Iron (Fe) Speciation in Size-fractionated Aerosol Particles in the Pacific Ocean: The Role of Organic Complexation of Fe with Humic-like Substances in Controlling Fe Solubility 2016 A 1642 BL 27 SU 坂田 昂平 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 48520 Seigo Yumura 125 - 126 ( 2025 ) 130277 2023 B 6810 BL 44 XU 木下 誉富 The Discrepancies in Amino Acid Sequence of the Phosphate-binding Loop Lead to Distinctive Binding Modes of a Covalent Inhibitor for MAP 2 K 1 and MAP 2 K 6 : Structural Insights for Producing Selective Inhibitors Biophysical Journal 48387 Yusuke Asagoe 124 ( 2025 ) 129 A- 130 A 2024 A 1111 BL 28 B 2 清水 啓史 BPS 2025 - Twisting Motion of a Single-KcsA Channel in Response to Sequential Chemical Stimuli 2024 B 1116 BL 28 B 2 清水 啓史 2022 A 1431 BL 28 B 2 清水 啓史 2022 B 1771 BL 28 B 2 清水 啓史 2023 A 1133 BL 28 B 2 清水 啓史 2023 B 1314 BL 28 B 2 清水 啓史 Bioscience, Biotechnology and Biochemistry 48502 Miyu Akagashi 89 ( 2025 ) 733 - 742 2024 B 2524 BL 45 XU 渡辺 誠也 Crystal Structure of ʟ - 2 -keto- 3 -deoxyrhamnonate 4 -dehydrogenase Involved in the Non-phosphorylating Pathway of ʟ -rhamnose Metabolism by Bacteria Bulletin of the Chemical Society of Japan 48326 Ayano Fujiwara 98 ( 2025 ) uoaf 013 2023 A 1264 BL 40 XU 久木 一朗 A Robust Layer-motif Composed of Binaphthyl Dibenzoic Acid Derivatives in Inclusion Crystals 2023 B 1142 BL 40 XU 久木 一朗 2024 A 1208 BL 40 XU 久木 一朗 Cell 48590 Xin Jiang 183 ( 2020 ) 258 - 268 2019 B 2717 BL 32 XU Yan Nieng Structural Basis for Blocking Sugar Uptake into the Malaria Parasite Plasmodium falciparum Chem 48453 Yuuki Inomata ( 2025 ) Online published May 1 , 2025 2020 A 0168 BL 26 B 1 藤田 誠 An M 60 L 60 Metal-peptide Capsid with a 60 -crossing Woven Network 2021 B 2556 BL 41 XU 佐藤 宗太 2022 A 1572 BL 45 XU 佐藤 宗太 2022 B 1308 BL 26 B 1 佐藤 宗太 The Chemical Record 48645 Haruno Murayama 23 ( 2023 ) e 202300148 2012 A 1454 BL 14 B 2 大橋 弘範 Supported Noble Metal Catalysts and Adsorbents with Soft Lewis Acid Functions 2012 B 1075 BL 14 B 2 大橋 弘範 2013 A 1820 BL 14 B 2 大橋 弘範 2013 B 1598 BL 14 B 2 大橋 弘範 2014 A 1534 BL 14 B 2 大橋 弘範 2016 A 1521 BL 14 B 2 村山 美乃 2017 A 1576 BL 14 B 2 村山 美乃 2017 B 1827 BL 14 B 2 村山 美乃 2018 A 1736 BL 14 B 2 村山 美乃 Chemistry - An Asian Journal 48648 Min-Hua Huang 20 ( 2025 ) e 202401171 2022 B 1609 BL 01 B 1 吉田 真明 Carbon-Supported Nano-Dispersed Metallic Copper Derived From Carbonization of MOF- 199 for Electrocatalytic CO 2 Reduction 178 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Chemistry Europe 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48334 Tasuki Tsurumi 3 ( 2025 ) e 202500069 2023 B 2549 BL 41 XU 佐藤 宗太 Self-Assembly of Silver Nanoclusters by Cooperative Acetylene Bonding with Mutual Pyridyl Coordination 2023 A 1118 BL 26 B 1 堂本 悠也 2024 A 1123 BL 26 B 1 堂本 悠也 2023 A 1371 BL 36 XU 足立 精宏 ChemistrySelect 48647 Arisu Sakai 10 ( 2025 ) e 00885 2024 B 1694 BL 01 B 1 吉田 真明 Development of a Mn 2 O 3 -based Water Oxidation Electrocatalyst From a Naturally Occurring Bixbyite Ore 2023 B 1636 BL 01 B 1 吉田 真明 2022 B 1609 BL 01 B 1 吉田 真明 2021 B 1168 BL 01 B 1 吉田 真明 ChemSusChem 48565 Keitaro Ohashi 18 ( 2025 ) e 202402576 2023 A 1690 BL 01 B 1 神谷 和秀 Size-Dependency of Electrochemically Grown Copper Nanoclusters Derived from Single Copper Atoms for the CO Reduction Reaction 2023 A 1934 BL 01 B 1 大橋 圭太郎 2023 B 2081 BL 14 B 2 原田 隆史 2023 B 2097 BL 01 B 1 大橋 圭太郎 2024 A 1940 BL 01 B 1 大橋 圭太郎 Coatings 48360 Roshan Sanjeewa Fernando Wattoru Thanthrige 15 ( 2025 ) 467 2021 B 1761 BL 19 B 2 Jayathilaka Charith Facile Synthesis of Sponge-like Microstructured CuO Anode Material for Rechargeable Lithium-Ion Batteries 2022 B 1658 BL 19 B 2 Kumara L. S. 2023 A 1541 BL 19 B 2 Kumara L. S. 2019 A 1762 BL 19 B 2 大坂 恵一 2019 B 1893 BL 19 B 2 大坂 恵一 2019 B 1725 BL 19 B 2 大坂 恵一 Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects 48640 Muhamad Diki Permana 720 ( 2025 ) 137110 2024 A 1789 BL 02 B 2 武井 貴弘 The Synergistic Effect of Fe 3 O 4 /g-C 3 N 4 for Persulfate Activation in Sulfate Radical Photo-Fenton Communications Chemistry 48509 Mungo Frost 8 ( 2025 ) 128 2024 A 1404 BL 10 XU Pena-Alvarez Miriam Implications of High-pressure Oxygen Hydrates on Radiolytic Oxygen in Jovian Icy Moons 2024 A 1415 BL 10 XU Howie Ross Communications Earth & Environment 48711 Motohiko Murakami 6 ( 2025 ) 406 2020 A 0593 BL 10 XU 村上 元彦 The Texture of the Post-perovskite Phase Controls the Characteristics of the D ” Seismic Discontinuity 2017 A 1870 BL 10 XU 平尾 直久 Communications Physics 48306 Shinya Tsukada 6 ( 2023 ) 107 2012 A 3713 BL 22 XU 大和田 謙二 Polarization Behavior in a Compositionally Graded Relaxor–ferroelectric Crystal Visualized by Angle- resolved Polarized Raman Mapping 2013 A 3713 BL 22 XU 大和田 謙二 Composites Part A: Applied Science and Manufacturing 48653 Kosuke Takahashi 198 ( 2025 ) 109060 2022 A 1026 BL 20 XU 高橋 航圭 Influence of Irradiation with Synchrotron Radiation X-ray on Nano-Scale CT for Carbon Fibers and Epoxy Matrix Composites Science and Technology 48427 Go Yamamoto 265 ( 2025 ) 111137 2023 A 1258 BL 20 XU 山本 剛 Unravelling the Role of inter CNT Yarn–Yarn Interactions in Governing the Failure Behavior in a Unidirectional CNT Yarn-reinforced Plastic Composite SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 179 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Crystal Growth & Design 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48327 Namiki Tanaka 25 ( 2025 ) 1851 - 1859 2023 A 1264 BL 40 XU 久木 一朗 Hydrogen-Bonded Ladder Frameworks Composed of Low Symmetric Tricarboxylic Acids 2024 A 1208 BL 40 XU 久木 一朗 2024 B 1717 BL 40 XU 橋本 泰利 Crystals 48454 Alexey Rulev 15 ( 2025 ) 440 2022 A 1406 BL 35 XU Braun Artur 119 Sn Element-Specific Phonon Density of States of BaSnO 3 2023 B 1095 BL 35 XU Braun Artur Electronics 48423 Quentin Eynaud 13 ( 2024 ) 1752 2021 B 1947 BL 46 XU 小金澤 智之 Ternary Polymer Solar Cells: Impact of Non-Fullerene Acceptors on Optical and Morphological Properties 2022 A 2069 BL 13 XU 小金澤 智之 2022 A 2063 BL 19 B 2 小金澤 智之 eLife 48433 Takayuki Yamaguchi ( 2025 ) Online published Mar. 12 , 2025 2021 B 2542 EM 02 CT 深井 周也 Structural Insights into Heterohexameric Assembly of Epilepsy-related Ligand–receptor Complex LGI 1 – ADAM 22 2022 B 2543 EM 01 CT 深井 周也 Energy & Fuels 48449 Shinta Miyazaki 37 ( 2023 ) 7945 - 7957 2022 A 1827 BL 14 B 2 宮崎 眞太 Chemical Looping Dry Reforming of Methane over Ni- Modified WO 3 /ZrO 2 : Cooperative Work of Dispersed Tungstate Species and Ni over the ZrO 2 Surface 2020 A 1695 BL 14 B 2 井 元 European Journal of Inorganic Chemistry 48392 Keisuke Iijima 27 ( 2024 ) e 202400198 2023 A 1539 BL 02 B 1 森 達哉 Bis(ferrocenyl)stannylene 2023 A 1785 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1859 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 B 1675 BL 02 B 1 菅又 功 Friction 48456 Naoko Takeuchi- Takahashi 13 ( 2025 ) 9441040 2018 A 5071 BL 16 XU 高橋 直子 Friction and Wear Characteristics of Acidic Phosphate Ester Boundary Layers Analyzed by Near-edge X-ray Absorption Fine Structure 2018 B 5071 BL 16 XU 高橋 直子 Frontiers in Molecular Biosciences 48429 Augustin Tshibaka Kabongo 10 ( 2023 ) 1095026 2022 A 6714 BL 44 XU 志波 智生 Biochemical Characterization and Identification of Ferulenol and Embelin as Potent Inhibitors of Malate:Quinone Oxidoreductase from Campylobacter jejuni 2021 A 6616 BL 44 XU 志波 智生 2021 B 6616 BL 44 XU 志波 智生 Frontiers in Pediatrics 48529 Cailin Diedericks 12 ( 2024 ) 1526603 2022 B 1246 BL 20 B 2 Hooper Stuart External Negative Pressure Improves Lung Aeration in Near-term Rabbit Kittens at Risk of Developing Respiratory Distress Geophysical Research Letters 48500 Tomohiro Ohuchi 52 ( 2025 ) e 2025 GL 114960 2023 B 1229 BL 04 B 1 大内 智博 A Stress Memory Effect in Olivine at Upper Mantle Pressures and Temperatures 2023 A 1213 BL 04 B 1 大内 智博 2022 B 1183 BL 04 B 1 大内 智博 Inorganica Chimca Acta 48582 Yusuke Ikeda 550 ( 2023 ) 121434 2021 B 3624 BL 14 B 1 大越 慎一 Crystal Structure, Photomagnetic and Dielectric Properties of a Cyanido-bridged Cu-Mo Assembly Film 2022 B 3624 BL 14 B 1 大越 慎一 180 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Inorganics 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48273 Alexei Belik 13 ( 2025 ) 91 2021 A 1334 BL 02 B 2 Belik Alexei The Conversion Polymorphism of Perovskite Phases in the BiCrO 3 –BiFeO 3 System International Journal of Hydrogen Energy 48353 Hirohisa Tanaka 141 ( 2025 ) 1088 - 1097 2021 A 3609 BL 14 B 1 松村 大樹 Experimental Verification to Developing Safety Technology for Liquefied Hydrogen in the Project "STACY" 2021 B 3609 BL 14 B 1 松村 大樹 2022 A 3609 BL 14 B 1 松村 大樹 2022 B 3609 BL 14 B 1 松村 大樹 2022 B 3630 BL 14 B 1 田中 裕久 2023 A 3630 BL 14 B 1 田中 裕久 2023 B 3630 BL 14 B 1 田中 裕久 JACS Au 48442 Yuki Nakaya 5 ( 2025 ) 1956 - 1964 2022 A 0302 BL 01 B 1 中谷 勇希 Distorted Surface Ensembles in Platinum–Antimony for the Durable Catalytic Dehydrogenation of Methylcyclohexane 2024 B 2022 BL 01 B 1 古川 森也 Journal of Alloys and Compounds 48625 Zheyuan Liang 1025 ( 2025 ) 180158 2022 B 1506 BL 27 SU 二宮 翔 Chemical Interactions in Cu-Al-Mn Shape-memory Alloy during Low-temperature Aging Treatment: XAS and DFT Study 2023 A 1490 BL 27 SU 二宮 翔 The Journal of Biological Chemistry 48355 Yasunori Watanabe 301 ( 2025 ) 108507 2020 A 2572 BL 32 XU 渡邊 康紀 Structural Basis for Phosphatidylcholine Synthesis by Bacterial Phospholipid N-methyltransferases 2021 A 2762 BL 45 XU 渡邊 康紀 Journal of Colloid and Interface Science 48350 Ruina Li 674 ( 2024 ) 326 - 335 2024 B 4126 BL 12 B 2 Tung Ching- wei d-band Center Engineering of Single Cu Atom and Atomic Ni Clusters for Enhancing Electrochemical CO 2 Reduction to CO 2024 B 4253 BL 12 XU Tung Ching- wei Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 48313 Saki Imada 280 ( 2025 ) 147538 2021 A 1301 BL 27 SU 今田 早紀 Geometry-dependent Analysis of 2 p 3 d- and 2 p 3 s- partial Fluorescence Yield Spectra for High-spin 3 d 5 Systems 2021 A 1289 BL 27 SU 今田 早紀 2021 B 1536 BL 27 SU 今田 早紀 2022 A 1149 BL 27 SU 今田 早紀 2022 A 1150 BL 27 SU 今田 早紀 Journal of Electronic Materials 48375 Yukimasa Fukada 54 ( 2025 ) 686 - 692 2019 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 Synthesis of Carbon Nanowalls using Plasma- Irradiated Solid Carbon and Absorption of Cs in Water 2019 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 Journal of Magnetism and Magnetic Materials 48657 Akane Agui 629 ( 2025 ) 173248 2017 A 1083 BL 08 W 安居院 あかね Four Compensation Points in Tb x Co 100 - x Amorphous Films 2017 B 1115 BL 08 W 安居院 あかね 2018 A 1090 BL 08 W 安居院 あかね 2019 A 1322 BL 08 W 安居院 あかね 2019 A 1324 BL 37 XU 安居院 あかね 2019 B 1211 BL 08 W 安居院 あかね Journal of Materials Science 48602 Hiroshi Nakajima 60 ( 2025 ) 9197 - 9207 2022 A 1085 BL 04 B 2 中島 宏 Characteristic Ferroelectric Domains and Their Dynamic Behavior in Ordered Pb(Sc 1 / 2 Nb 1 / 2 )O 3 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 181 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Journal of Materials Science & Technology 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48439 Yi Shuang 210 ( 2025 ) 246 - 253 2022 A 1575 BL 09 XU 齊藤 雄太 Amorphous-to-crystalline Transition-induced Two-step Thin Film Growth of Quasi-one-dimensional Penta- telluride ZrTe 5 The Journal of Physical Chemistry B 48444 Ward Wakileh 129 ( 2025 ) 2461 - 2470 2022 B 2094 BL 40 XU 関口 博史 Investigation of Cubosome Interactions with Liposomal Membranes Based on Time-Resolved Small-Angle X-ray Scattering and Laurdan Fluorescence Spectroscopy 2022 B 0301 BL 40 XU Ward Wakileh 2022 B 0301 BL 40 B 2 Ward Wakileh Journal of Physics and Chemistry of Solids 48614 Takeshi Nakagawa 175 ( 2023 ) 111202 2019 A 4132 BL 12 B 2 Ding Yang Pressure-induced Valence Fluctuation in CsEuF 3 : From Divalent Eu Valence to Trivalent Eu Valence State 2020 A 4260 BL 12 XU 平岡 望 Journal of Synchrotron Radiation 48426 Yuichi Inubushi 32 ( 2025 ) 534 - 538 2021 A 8064 BL 2 犬伏 雄一 Development of Portable Nanofocusing Optics for X-ray Free-electron Laser Pulses 2022 A 8074 BL 2 犬伏 雄一 2022 B 8071 BL 3 犬伏 雄一 2023 A 8020 BL 2 犬伏 雄一 2023 A 8067 BL 3 犬伏 雄一 Luminescence 48441 Ryo Sasai 40 ( 2025 ) e 70174 2019 A 0068 BL 02 B 2 森吉 千佳子 Mechanism Responsible for Changes in the Luminescence Properties of Terbium (III)–Doped Layered Double Hydroxides During Carbonate/ Chloride Exchange 2022 A 1162 BL 02 B 2 笹井 亮 2022 A 1175 BL 02 B 2 岡田 友彦 2022 B 0573 BL 02 B 2 森吉 千佳子 2022 B 1643 BL 02 B 2 原 孝佳 Materials Characterization 48318 Kartik Prasad 218 ( 2024 ) 114573 2021 B 1858 BL 46 XU 鳥塚 史郎 On the Dislocation Storage Capacity of Additively Manufactured Hastelloy X: In situ Synchrotron Diffraction Study 2021 B 1921 BL 19 B 2 鳥塚 史郎 2022 A 1598 BL 13 XU 鳥塚 史郎 2022 A 1760 BL 19 B 2 鳥塚 史郎 2022 B 1672 BL 19 B 2 鳥塚 史郎 2022 B 1975 BL 13 XU 鳥塚 史郎 Materials Today Physics 48536 J. Bi 28 ( 2022 ) 100840 2021 A 1172 BL 10 XU Zhu Jinlong Stabilization of Superconductive La–Y Alloy Superhydride with T c above 90 K at Megabar Pressure 2021 B 1407 BL 10 XU Zhu Jinlong Materials Transactions 48487 Shota Tsuchiya 66 ( 2025 ) 895 - 902 2021 B 1124 BL 20 XU 清水 一行 Analysis of Void Formation and Crack Propagation at Grain Boundaries in Al-Zn-Mg-Cu Alloy 2022 A 1113 BL 20 XU 清水 一行 2022 B 1377 BL 20 XU 清水 一行 Materials Science and Engineering: A 48563 Yuxiang Zhang 939 ( 2025 ) 148493 2024 B 1606 BL 13 XU 王 延緖 Texture-induced Anisotropic Elastic Properties and Their Temperature Dependences in Hot-rolled Ti- 24 Nb- 4 Zr- 8 Sn Alloy Materials Science in Semiconductor Processing 48511 Takuma Kobayashi 175 ( 2024 ) 108251 2021 A 3833 BL 23 SU 渡部 平司 Characterization of Nitrided SiC( 1100 ) MOS Structures by Means of Electrical Measurements and X-ray Photoelectron Spectroscopy 2021 B 3833 BL 23 SU 渡部 平司 182 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Materials Today Communications 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48703 Shin-ichi Inoue 47 ( 2025 ) 113098 2024 A 1761 BL 19 B 2 Kumara L. S. Effects of Beryllium Segregation along Grain Boundaries of Y 2 O 3 Film in Mg–Zn–Y Alloy on Nonflammability and Oxidation Resistance 2024 B 1883 BL 19 B 2 井上 晋一 The Minerals, Metals and Materials Series (Light Metals 2025) 48712 Keitaro Horikawa ( 2025 ) 134 - 143 2024 A 1147 BL 20 B 2 堀川 敬太郎 Evaluation of Hydrogen-Induced Pores in Ni–P-Plated Al–Zn–Mg Alloys Using Synchrotron X-Ray Computed Tomography and Hydrogen Analysis 2024 B 1139 BL 20 B 2 堀川 敬太郎 MLF Annual Report 2023 48330 Takeshi Murakawa 24 ( 2025 ) 7 - 9 2021 B 6606 BL 44 XU 岡島 俊英 Neutron Crystallography of a Semiquinone Radical Intermediate of Copper Amine Oxidase Nano Research 48690 Masaki Saruyama 18 ( 2025 ) 94907284 2024 A 1255 BL 40 B 2 猿山 雅亮 One-step Preparation of Three-dimensional Superlattices during Nanoparticle Synthesis 2024 B 1498 BL 40 B 2 猿山 雅亮 New Physics: Sae Mulli 48505 Hidenori Fujiwara 73 ( 2023 ) 1062 - 1066 2014 B 3882 BL 23 SU 関山 明 Polarization Dependence of Soft X-ray Absorption Spectroscopy on the Heavy Fermion Superconductor CeNi 2 Ge 2 2013 B 3882 BL 23 SU 関山 明 2014 A 1023 BL 27 SU 関山 明 2014 B 1299 BL 27 SU 関山 明 Optica 48428 Ichiro Inoue 12 ( 2025 ) 530 - 533 2023 A 8051 BL 3 井上 伊知郎 High-intensity X-ray Pump-monochromatic X-ray Probe Technique across Time Zero 2023 B 8002 BL 3 井上 伊知郎 2024 A 8045 BL 3 井上 伊知郎 Optical Materials 48470 F. D. Fedyunin 164 ( 2025 ) 117022 2019 B 4500 BL 15 XU 山浦 一成 Towards Enhancement of Energy Transfer Efficiency to Ce 3 + in Gd 3 (Al,Ga,Sc) 5 O 12 :Ce Crystals 2020 A 4501 BL 15 XU Belik Alexei Patterns 48347 Yasuhiro Iba 6 ( 2025 ) 101210 2018 A 1703 BL 20 B 2 竹田 裕介 Nature Visible only Digitally 2021 B 1810 BL 20 B 2 池上 森 Photosynthesis Research 48558 Uwe Bergmann 162 ( 2024 ) 371 - 384 2017 B 8066 BL 3 Bergmann Uwe Stimulated X-ray Emission Spectroscopy Physical Review Research 48503 Ludovic Rapp 6 ( 2024 ) 023101 2018 A 3738 BL 22 XU 松岡 健之 Observation of High-pressure Polymorphs in Bulk Silicon Formed at Relativistic Laser Intensities Physics and Chemistry of Minerals 48457 Yuhei Umeda 52 ( 2025 ) 20 2018 B 8039 BL 3 奥地 拓生 In situ Observation of Shock-induced Structural Evolution of Calcite 2018 B 8061 BL 3 佐藤 友子 2018 B 8069 BL 3 尾崎 典雅 2021 B 8644 BL 3 梅田 悠平 2021 B 8067 BL 3 尾崎 典雅 2021 B 8045 BL 3 奥地 拓生 2021 B 8659 BL 3 佐藤 友子 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 183 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 Progress in Nuclear Science and Technology 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48459 Naoki Kanno 7 ( 2025 ) 154 - 160 2022 A 3625 BL 14 B 1 中瀬 正彦 Valence Separation of Fe and Removal of Sn 2 + by Solvent Extraction as a Potential Method to Determine Fe 2 + in Glass Containing Sn 2 + 2020 A 3738 BL 22 XU 中瀬 正彦 Polymer Degradation and Stability 48617 Daisuke Takaya 240 ( 2025 ) 111431 2019 B 2020 BL 03 XU 加部 泰三 Biodegradation Rate Control with Blends of Poly(butylene succinate) and Poly(butylene succinate- co -adipate) 2022 B 1330 BL 40 B 2 甘 弘毅 Polymer Journal 48568 Shin Takano 55 ( 2023 ) 1387 - 1391 2022 B 1713 BL 40 B 2 髙野 心 A Surprisingly Narrow Particle Size Distribution for Polyacrylic Acid Nanospheres Produced by Precipitation Polymerization and Revealed by Small- angle X-ray Scattering 2022 B 1277 BL 40 B 2 櫻井 和朗 2022 A 1106 BL 40 B 2 櫻井 和朗 Review of Scientific Instruments 48315 Ahmed Gadelmawla 96 ( 2025 ) 035107 2022 B 1392 BL 39 XU 木村 耕治 Application of X-ray Fluorescence Holography to a Single Grain in Polycrystalline Ferroelectric Ceramics 2022 A 1011 BL 39 XU 木村 耕治 2021 B 1381 BL 37 XU 林 好一 2021 A 1376 BL 37 XU 林 好一 2020 A 1546 BL 13 XU 林 好一 2019 B 1388 BL 13 XU 林 好一 2019 A 1221 BL 13 XU 林 好一 RSC Applied Polymers 48418 Naoya Nozaki 2 ( 2024 ) 163 - 171 2021 B 1106 BL 40 B 2 松本 英俊 Thienoisoindigo-based Recyclable Conjugated Polymers for Organic Electronics 2022 B 1474 BL 40 B 2 松本 英俊 Separation and Purification Technology 48396 Wei-Han Wei 360 ( 2025 ) 131129 2021 B 1168 BL 01 B 1 吉田 真明 Mn-MIL- 100 Derived MnO 2 @carbon for the Photo- induced Thermal Catalytic HCHO Oxidation Small Structures 48412 Ebru Destan 6 ( 2025 ) 2400680 2023 B 8058 BL 2 當舎 武彦 Experimental and Computational Insights into the Structural Dynamics of the Fc Fragment of IgG 1 Subtype from Biosimilar VEGF-Trap 2023 A 2761 BL 32 XU 當舎 武彦 Structural Dynamics 48540 Adams Vallejos 11 ( 2024 ) 044302 2019 A 8077 BL 2 Neutze Richard Appraising Protein Conformational Changes by Resampling Time-resolved Serial X-ray Crystallography Data Structure 48437 Kazuki Kawahara 33 ( 2025 ) 1040 - 1050 2021 B 2538 EM 01 CT 中村 昇太 High-resolution Cryo-EM Analysis Visualizes Hydrated Type I and IV Pilus Structures from Enterotoxigenic Escherichia coli 2022 A 2747 EM 01 CT 中村 昇太 2023 A 2738 EM 01 CT 中村 昇太 Surfaces and Interfaces 48295 Sue Ying Tan 56 ( 2025 ) 105683 2021 B 1738 BL 14 B 2 Wong WaiYin Template-free Modulation of MOF-derived Atomically Dispersed Fe-N-C Catalyst for Enhanced Oxygen Reduction Reaction and Durability in Acidic Medium Vacuum 48548 Lin-Zhi Xu 239 ( 2025 ) 114373 2023 B 1117 BL 08 W Jiang Haoran Role of Se Addition on the Glass Formation and Crystallization of Cu-Zr Glassy Alloy 184 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS Zeitschrift für Anorganische und Allgemine Chemie 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48391 Koichi Sato 650 ( 2024 ) e 202400115 2023 A 1539 BL 02 B 1 森 達哉 Synthesis of 2 , 2 , 3 , 3 -Tetraphenyl- 5 , 5 , 6 , 6 , 7 , 7 , 8 , 8 - octamethyl- 2 , 3 , 5 , 6 , 7 , 8 -hexasilabicyclo[ 2 . 2 . 2 ]octane – a Phenyl-substituted Silicon-containing Cage 2023 A 1785 BL 02 B 1 森 達哉 2023 A 1859 BL 02 B 1 村田 理尚 2023 B 1675 BL 02 B 1 菅又 功 X線分析の進歩 (Advances in X-ray Chemical Analysis, Japan) 48463 Ryotaro Sato 54 ( 2023 ) 193 - 201 2022 A 3558 BL 11 XU 上原 章寛 High Energy Resolution Fluorescence Detected X-ray Absorption Fine Structure (HERFD-XAFS) Measurements for Rubidium Compounds to Prepare Estimation Methods for Chemical Form of Uranium in Biological System 2022 B 3558 BL 11 XU 上原 章寛 コンクリート工学年次論文集(Proceedings of the Japan Concrete Institute) 48700 Takashi Hitomi 47 ( 2025 ) 696 - 701 2017 B 1627 BL 28 B 2 人見 尚 Development of New Binder with Chemical Reactivity Imparted by Grinding Treatment 2018 A 1565 BL 28 B 2 人見 尚 2018 A 1783 BL 46 XU 人見 尚 2018 B 1602 BL 28 B 2 人見 尚 2018 B 2068 BL 19 B 2 人見 尚 2019 A 1659 BL 28 B 2 人見 尚 2019 A 1780 BL 19 B 2 人見 尚 2019 B 1712 BL 28 B 2 人見 尚 2019 B 1895 BL 46 XU 人見 尚 2020 A 1622 BL 28 B 2 人見 尚 2021 B 1917 BL 46 XU 人見 尚 2022 B 1774 BL 28 B 2 人見 尚 2023 A 1813 BL 28 B 2 人見 尚 材料(Journal of the Society of Materials Science, Japan) 48413 Kenji Suzuki 74 ( 2025 ) 251 - 257 2023 B 1568 BL 19 B 2 北脇 高太郎 Residual Stresses of Aluminum Alloy Blank Disk for Hard Disk Drive しょうとつ(原子衝突学会誌 , Journal of Atomic Collision Research) 48551 Shinichirou Minemoto 21 ( 2024 ) R 005 2018 B 8045 BL 1 峰本 紳一郎 X 線自由電子レーザーを利用した超高速分子構造決定法 の開発 成形加工(Journal of the Japan Society of Polymer Processing) 48619 Mizuki Kishimoto 37 ( 2024 ) 27 - 29 2017 A 7215 BL 03 XU 三田 一樹 Correlation between Submicron Structures and Mechanical Properties of Polyethylene 2017 B 7267 BL 03 XU 三田 一樹 2018 A 7217 BL 03 XU 内田 公典 2018 B 7267 BL 03 XU 内田 公典 2019 A 7215 BL 03 XU 内田 公典 2019 B 7264 BL 03 XU 内田 公典 日本ゴム協会誌(Journal of the Society of Rubber Science and Technology, Japan) 48452 Satoshi Sawada 97 ( 2024 ) 119 - 124 2021 B 7700 BL 28 XU 竹中 幹人 Time-resolved XAFS Study on Formation Behavior of Zinc Compounds during Vulcanization in Rubbers with Different Vulcanization Systems 2022 A 7700 BL 28 XU 竹中 幹人 2022 B 7700 BL 28 XU 竹中 幹人 2023 A 7700 BL 28 XU 竹中 幹人 2023 B 7700 BL 28 XU 竹中 幹人 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 185 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 表面と真空(Vacuum and Surface Science) 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48517 Daiki Katsube 65 ( 2022 ) 526 - 530 2017 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 Restoration of Oxygen Vacancies on an Anatase TiO 2 ( 001 ) Surface with Supersonic Seeded Oxygen Molecular Beam 2017 A 3832 BL 23 SU 大野 真也 2017 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2017 B 3832 BL 23 SU 大野 真也 2018 A 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 A 3832 BL 23 SU 阿部 真之 2018 B 3801 BL 23 SU 吉越 章隆 2018 B 3838 BL 23 SU 阿部 真之 2019 A 3838 BL 23 SU 阿部 真之 2020 A 3838 BL 23 SU 阿部 真之 2021 A 3838 BL 23 SU 阿部 真之 保全学(Maintenology) 48580 Lina Yu 23 ( 2025 ) 77 - 84 2023 B 1991 BL 19 B 2 Yu Lina A Study on Residual Stresses of Multilayer Welded SUS 316 Steel with Surface Machining using Double Exposure Method 博士論文(University of Oxford) 48541 James Francis Unwin ( 2024 ) 2022 B 8043 BL 1 Allum Felix Characterising the Photodissociation Dynamics of Few-atom Systems via X-ray Coulomb Explosion Imaging 48542 Tiffany Rae Walmsley ( 2024 ) 2021 A 8038 BL 1 Forbes Ruaridh Coulomb Explosion Imaging and Covariance Analysis of Concurrent Fragmentation Mechanisms 48560 Joseph W. McManus ( 2024 ) 2022 B 8048 BL 1 Warne Emily Studies of Photoinduced Molecular Dynamics using Ion Imaging and Correlation Analysis 博士論文(京都大学) 48281 Jongbin Go ( 2024 ) 2021 B 1049 BL 46 XU 辻 伸泰 Effect of Twinning and De-twinning on Macroscopic and Microscopic Deformation in AZ 31 Magnesium Alloy 2021 B 1911 BL 46 XU 辻 伸泰 2022 B 1056 BL 13 XU 辻 伸泰 2022 B 1785 BL 13 XU 辻 伸泰 2023 A 1038 BL 13 XU 辻 伸泰 2023 B 1762 BL 13 XU 辻 伸泰 2021 A 1039 BL 46 XU 辻 伸泰 2021 A 1618 BL 46 XU 辻 伸泰 2021 B 1853 BL 46 XU 辻 伸泰 2022 A 1007 BL 13 XU 辻 伸泰 2023 A 1823 BL 13 XU 辻 伸泰 48416 Yuka Matsushima ( 2025 ) 2021 A 2750 BL 45 XU 入江 一浩 Structure–Function Analysis of Conformationally Fixed Analogs of Amyloid β 42 and Development of Antibodies against the Toxic Conformer 48659 Hiroyuki Yamashita ( 2025 ) 2022 B 3581 BL 11 XU 瀬戸 誠 Development of Measuring Method of Gamma-ray Waveform Transmitted through Vibrating Nuclear Resonant Absorber for Study of Quantum Applications 2023 A 3581 BL 11 XU 瀬戸 誠 博士論文(東京大学) 48272 Masami Nirei ( 2022 ) 2018 A 1500 BL 04 B 2 山室 修 Thermodynamic and X-ray/Neutron Scattering Study on High Entropy Molecular Liquids 2018 B 1489 BL 04 B 2 山室 修 2018 B 1717 BL 04 B 2 楡井 真実 2019 B 1771 BL 04 B 2 楡井 真実 48436 Yosuke Arai ( 2023 ) 2022 A 1714 BL 35 XU 新井 陽介 Electronic Structure of Low-carrier Rare Earth Compounds Cerium Monopnictides Investigated by Angle-resolved Photoemission Spectroscopy 48438 Keisuke Ozawa ( 2023 ) 2022 A 1701 BL 39 XU 小澤 佳祐 Compression Behaviors of Elements in Basaltic Glass Revealed by High-pressure XAFS Measurements 186 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 博士論文(東北大学) 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン 実験責任者 タイトル 48314 Satoshi Matsuno ( 2025 ) 2023 B 2108 BL 19 B 2 松野 哲士 Data-Driven Analyses of Element Transfer within Oceanic Crust During Fluid-Rock Interactions at Seafloor and Subduction Plate Interface 2024 B 1937 BL 19 B 2 松野 哲士 48585 Peiao Xie ( 2024 ) 2023 A 3657 BL 14 B 1 石井 賢司 Research on the Electronic States of 214 -type T* Phase Cuprates using Quantum Beam Spectroscopy 2023 B 3657 BL 14 B 1 石井 賢司 2024 A 3657 BL 14 B 1 石井 賢司 名古屋大学(Nagoya University) 48692 Shuto Asano ( 2024 ) 2022 B 1718 BL 10 XU 浅野 秀斗 Ultra-High Pressure Synthesis and Crystal Chemistry of Early Transition Metal Nitrides 2021 A 1602 BL 10 XU 浅野 秀斗 48734 Takeshi Hara ( 2025 ) 2022 A 0304 BL 02 B 1 原 武史 Research on Molecular Crystals by Precise Valence Electron DensityAnalysis Using Synchrotron X-ray Diffraction 博士論文(Hanyang University) 48661 Sumin Im ( 2025 ) 2019 A 3784 BL 22 XU 裵 晟哲 Multiscale Studies on Thermo-Treated Calcium Silicate Hydrates: Its Potential for CO 2 Sequestration 2020 A 3782 BL 22 XU 裵 晟哲 博士論文(University of Basel) 48554 Melissa Carrillo ( 2024 ) 2019 A 8007 BL 2 Schmidt Marius Polymer Fixed-targets for Time-resolved Serial Protein Crystallography at XFELs and Synchrotrons 博士論文(University oe Essex) 48556 Peter Smyth ( 2024 ) 2022 A 8002 BL 2 Hough Michael Serial and Time-resolved Crystallography of Metalloproteins 2022 B 8041 BL 2 Hough Michael 博士論文(Stanford University) 48547 Priyanka Muhunthan ( 2024 ) 2022 B 8017 BL 3 Ihme Werner Investigating the Structure and Dynamics of Supercritical Fluids using X-ray Techniques and Atomistic-scale Simulations 博士論文(The University of Edinburgh) 48539 Kyle Lewis Barlow ( 2024 ) 2021 B 8001 BL 3 Johansson Johan Application of Ultrafast Spectroscopic Techniques to Single-molecule Magnets 博士論文(大阪大学) 48566 Shintaro Kato ( 2024 ) 2021 A 1294 BL 01 B 1 神谷 和秀 Study on Electrochemical Upgrading Reactions of Gaseous Substrates at High-Current Density 2021 B 1204 BL 01 B 1 神谷 和秀 2022 A 1165 BL 01 B 1 神谷 和秀 2022 B 0566 BL 01 B 1 神谷 和秀 2023 A 1690 BL 01 B 1 神谷 和秀 2023 B 2081 BL 14 B 2 原田 隆史 2023 A 1934 BL 01 B 1 大橋 圭太郎 博士論文(東京科学大学) 48356 Eito Hirai ( 2025 ) 2023 B 1703 BL 35 XU 平井 英人 Experimental Study on Surface Energy and Elasticity of Organic Materials on Titan 2024 A 1609 BL 35 XU 平井 英人 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 187 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 課題以外の成果として登録された論文 Chemical Reviews 研究成果番号 主著者 雑誌情報 課題番号 ビームライン タイトル 48544 Lin Chen 124 ( 2024 ) 5421 - 5469 装置 & 技術 SACLA Deciphering Photoinduced Catalytic Reaction Mechanisms in Natural and Artificial Photosynthetic Systems on Multiple Temporal and Spatial Scales Using X-ray Probes The Journal of Physical Chemistry C 48683 Yuhei Sasaki 129 ( 2025 ) 10624 - 10632 装置&技術 BL 29 XU Development of Operando Hard X-ray Ptychography: Application to Thin-Film All-Solid-State Lithium-Ion Batteries Nature Communications 48559 Quentin Bertrand 15 ( 2024 ) 10278 装置 & 技術 SACLA Structural Effects of High Laser Power Densities on an Early Bacteriorhodopsin Photocycle Intermediate Proceedings of the 32nd Linear Accelerator Conference 48561 T. Inagaki ( 2024 ) 747 - 750 加速器 SACLA Studies on High Repetition Rate Operation of SACLA with X-band Normal Conducting Accelerator Review of Scientific Instruments 48557 Kazuaki Togawa 95 ( 2024 ) 043304 装置 & 技術 SACLA Slice Emittance Measurements using a Slit-grid System and a Fast Wall-current Monitor Science and Technology of Advanced Materials 48546 Tatsuo Hasegawa 25 ( 2024 ) 2418282 装置 & 技術 SACLA Exploration and Development of Molecule-based Printed Electronics Materials: an Integrated Approach using Experimental, Computational, and Data Sciences 放射光 (Journal of the Japanese Society for Synchrotron Radiation Research) 48550 Eito Iwai 37 ( 2024 ) 253 - 259 加速器 SACLA Automatic Accelerator Tuning using Machine Learning Method at SACLA 博士論文(大阪大学) 48552 Shotaro Matsumura ( 2024 ) 装置 & 技術 SACLA 微小間隙における高精度プラズマエッチングとその X 線結晶光学素子へ の応用 188 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 SPring-8/SACLA 研究成果公表 論文サイテーション数調査 ─ 2025 ─ 1.SPring-8/SACLA 利用研究者が発表した論文の総数と被引用数 ●集計対象論文: SPring-8/SACLA 成果登録 DB に登録された成果中、サイテーション値の取得が可能な論 文について集計した。 ●集計対象 BL * 3 共用 BL ── 計 26 本 BL 01 B 1 BL 02 B 1 BL 02 B 2 BL 04 B 1 BL 04 B 2 BL 08 W BL 09 XU BL 10 XU BL 13 XU BL 14 B 2 BL 19 B 2 BL 20 XU BL 20 B 2 BL 25 SU BL 27 SU BL 28 B 2 BL 35 XU BL 37 XU BL 38 B 1 * 4 BL 39 XU BL 40 XU BL 40 B 2 BL 41 XU BL 43 IR BL 46 XU BL 47 XU 専用 BL ── 計 20 本 BL 03 XU * 4 BL 07 LSU * 4 BL 08 B 2 * 4 BL 11 XU BL 12 XU BL 12 B 2 BL 14 B 1 BL 15 XU * 4 BL 16 XU * 4 BL 16 B 2 * 4 BL 22 XU BL 23 SU BL 24 XU * 4 BL 28 XU BL 31 LEP BL 32 B 2 * 4 BL 33 XU BL 33 LEP * 4 BL 36 XU * 4 BL 44 XU 理研 BL ── 計 11 本 BL 05 XU BL 17 SU BL 19 LXU BL 26 B 1 BL 26 B 2 BL 29 XU BL 32 XU BL 38 B 2 BL 43 LXU BL 44 B 2 BL 45 XU * 4 ●備考 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングで、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用い、ドキュメン トタイプ Article と Review を集計対象論文とした。 * 2 : 2025 年は、 2025 年 1 月 1 日から 2025 年 3 月 31 日までに発行された論文を集計対象とした。それ以外は、各年 1 月 1 日から 12 月 31 日までに発行さ れた論文を集計対象とした。 * 3 :複数の BL に関連する成果は、それぞれの集計値に重複して集計した。 * 4 :共用・専用・理研の変更があった次の BL については、変更前のカテゴリに含めた。 BL 03 XU 、 BL 07 LSU 、 BL 08 B 2 、 BL 15 XU 、 BL 16 XU 、 BL 16 B 2 、 BL 24 XU 、 BL 32 B 2 、 BL 33 LEP 、 BL 36 XU 、 BL 38 B 1 (以上、現 理研 BL ) 、 BL 45 XU (現 共用 BL ) 調査日: 2025 / 04 / 03 SPring- 8 1989 - 2025 * 2 (総累積) 2014 - 2024 ( 11 年間累積) 2023 ( 2 年経過値) 累積 論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 累積 論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 年間 総論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 全 SPring- 8 [net] * 1 18 , 542 611 , 862 33 . 0 9 , 691 226 , 348 23 . 4 639 3 , 423 5 . 4 共用 BL * 3 * 4 12 , 945 438 , 780 33 . 9 6 , 737 157 , 776 23 . 4 460 2 , 496 5 . 4 専用 BL * 3 * 4 4 , 515 133 , 348 29 . 5 2 , 724 59 , 633 21 . 9 173 847 4 . 9 理研 BL * 3 * 4 2 , 321 92 , 068 39 . 7 1 , 113 29 , 696 26 . 7 64 237 3 . 7 その他(技術開発等) 179 2 , 876 16 . 1 19 46 2 . 4 1 0 0 . 0 SACLA 2006 - 2025 * 2 (総累積) 2014 - 2024 ( 11 年間累積) 2023 ( 2 年経過値) 累積 論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 累積 論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 年間 総論文数 累積 被引用数 平均 被引用数 全 SACLA [net] * 1 601 19 , 682 32 . 7 492 14 , 557 29 . 6 49 406 8 . 3 BL 1 , 2 , 3 418 15 , 179 36 . 3 396 12 , 651 31 . 9 42 379 9 . 0 その他(技術開発等) 194 6 , 352 32 . 7 102 2 , 070 20 . 3 7 27 3 . 9 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 189 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 2 . SPring-8/SACLA 利用の総論文数とそれら被引用状況(トップ 10%、トップ 1% 論文割合) ●集計対象論文: SPring-8/SACLA 成果登録 DB に登録された成果中、サイテーション値の取得が可能な論 文について集計した。 ●集計対象 BL * 3 共用 BL ── 計 26 本 BL 01 B 1 BL 02 B 1 BL 02 B 2 BL 04 B 1 BL 04 B 2 BL 08 W BL 09 XU BL 10 XU BL 13 XU BL 14 B 2 BL 19 B 2 BL 20 XU BL 20 B 2 BL 25 SU BL 27 SU BL 28 B 2 BL 35 XU BL 37 XU BL 38 B 1 * 4 BL 39 XU BL 40 XU BL 40 B 2 BL 41 XU BL 43 IR BL 46 XU BL 47 XU 専用 BL ── 計 20 本 BL 03 XU * 4 BL 07 LSU * 4 BL 08 B 2 * 4 BL 11 XU BL 12 XU BL 12 B 2 BL 14 B 1 BL 15 XU * 4 BL 16 XU * 4 BL 16 B 2 * 4 BL 22 XU BL 23 SU BL 24 XU * 4 BL 28 XU BL 31 LEP BL 32 B 2 * 4 BL 33 XU BL 33 LEP * 4 BL 36 XU * 4 BL 44 XU 理研 BL ── 計 11 本 BL 05 XU BL 17 SU BL 19 LXU BL 26 B 1 BL 26 B 2 BL 29 XU BL 32 XU BL 38 B 2 BL 43 LXU BL 44 B 2 BL 45 XU * 4 ●備考 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングで、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用い、ドキュメン トタイプ Article と Review を集計対象論文とした。 * 2 : 2025 年は、 2025 年 1 月 1 日から 2025 年 3 月 31 日までに発行された論文を集計対象とした。それ以外は、各年 1 月 1 日から 12 月 31 日までに発行さ れた論文を集計対象とした。 * 3 :複数の BL に関連する成果は、それぞれの集計値に重複して集計した。 * 4 :共用・専用・理研の変更があった次の BL については、変更前のカテゴリに含めた。 BL 03 XU 、 BL 07 LSU 、 BL 08 B 2 、 BL 15 XU 、 BL 16 XU 、 BL 16 B 2 、 BL 24 XU 、 BL 32 B 2 、 BL 33 LEP 、 BL 36 XU 、 BL 38 B 1 (以上、現 理研 BL ) 、 BL 45 XU (現 共用 BL ) 調査日: 2025 / 04 / 03 SPring- 8 1989 - 2025 * 2 (総累積) 2014 - 2024 ( 11 年間累積) 2023 ( 2 年経過値) 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 全 SPring- 8 [net] * 1 18 , 542 10 . 6 % 1 . 5 % 9 , 691 9 . 6 % 1 . 6 % 639 7 . 2 % 0 . 9 % 共用 BL * 3 * 4 12 , 945 11 . 2 % 1 . 6 % 6 , 737 10 . 1 % 1 . 6 % 460 7 . 6 % 0 . 9 % 専用 BL * 3 * 4 4 , 515 8 . 3 % 1 . 5 % 2 , 724 7 . 2 % 1 . 7 % 173 4 . 6 % 1 . 2 % 理研 BL * 3 * 4 2 , 321 12 . 3 % 1 . 3 % 1 , 113 12 . 0 % 1 . 3 % 64 6 . 3 % 0 . 0 % SACLA 2006 - 2025 * 2 (総累積) 2014 - 2024 ( 11 年間累積) 2023 ( 2 年経過値) 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 論文数 TOP 10 % 論文割合 TOP 1 % 論文割合 全 SACLA [net] * 1 601 15 . 6 % 2 . 7 % 492 16 . 5 % 2 . 4 % 49 20 . 4 % 4 . 1 % BL 1 , 2 , 3 418 18 . 9 % 3 . 1 % 396 18 . 4 % 2 . 8 % 42 21 . 4 % 4 . 8 % 190 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 3.SPring-8 利用の年別発行総論文数と 2025 年 4 月における平均被引用数(2014-2024) ●備考 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングで、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用い、ドキュメン トタイプ Article と Review を集計対象論文とした。 * 2 :被引用数確認は、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用いた。 4.SACLA 利用の年別発行総論文数と 2025 年 4 月における平均被引用数(2014 - 2024) ●備考 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングで、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用い、ドキュメン トタイプ Article と Review を集計対象論文とした。 * 2 :被引用数確認は、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用いた。 調査日: 2025 / 04 / 03 SPring- 8 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 年別発行論文数 * 1 880 878 1000 986 893 1004 1061 903 806 643 648 累積被引用数 * 2 32 , 338 30 , 947 35 , 959 27 , 749 24 , 171 27 , 476 20 , 684 13 , 332 9 , 028 3 , 437 1 , 267 平均被引用数 [累積被引用数 / 年別発行論文数] 36 . 7 35 . 2 36 . 0 28 . 1 27 . 1 27 . 4 19 . 5 14 . 8 11 . 2 5 . 3 2 . 0 調査日: 2025 / 04 / 03 SACLA 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 年別発行論文数 * 1 24 48 53 47 41 57 57 51 38 49 27 累積被引用数 * 2 1541 4 , 208 1 , 877 1 , 854 1 , 031 1 , 417 1036 771 346 406 70 平均被引用数 [累積被引用数 / 年別発行論文数] 64 . 2 87 . 7 35 . 4 39 . 4 25 . 1 24 . 9 18 . 2 15 . 1 9 . 1 8 . 3 2 . 6 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 191 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 5.SPring-8 の BL 別累積論文数と累積被引用数の比較(2014-2024) 調査日: 2025 / 04 / 03 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングおよび、 SPring- 8 /SACLA 利用研究成果集を対象とし、 累積被引用数は Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用いて集計した。 * 2 :検索 DB ( Clarivate Analytics Web of Science )未登録のため、被引用数が確認出来ない論文は「被引用数未確認」に計上する。 * 3 :一つの論文が異なる複数の BL に関わる共通の成果とみなせる場合、各 BL それぞれに計上する。 * 4 :共用・専用・理研の変更があった次の BL については、変更前のカテゴリに含めた。 BL 03 XU 、 BL 07 LSU 、 BL 08 B 2 、 BL 15 XU 、 BL 16 XU 、 BL 16 B 2 、 BL 24 XU 、 BL 32 B 2 、 BL 33 LEP 、 BL 36 XU 、 BL 38 B 1 (以上、現 理研 BL ) 、 BL 45 XU (現 共用 BL ) 6.SPring-8 の BL 別年間総論文数と総被引用数の比較(2023 年の発表論文) 調査日: 2025 / 04 / 03 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングおよび、 SPring- 8 /SACLA 利用研究成果集を対象とし、 累積被引用数は Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用いて集計した。 * 2 :検索 DB ( Clarivate Analytics Web of Science )未登録のため、被引用数が確認出来ない論文は「被引用数未確認」に計上する。 * 3 :一つの論文が異なる複数の BL に関わる共通の成果とみなせる場合、各 BL それぞれに計上する。 * 4 :共用・専用・理研の変更があった次の BL については、変更前のカテゴリに含めた。 BL 03 XU 、 BL 07 LSU 、 BL 08 B 2 、 BL 15 XU 、 BL 16 XU 、 BL 16 B 2 、 BL 24 XU 、 BL 32 B 2 、 BL 33 LEP 、 BL 36 XU 、 BL 38 B 1 (以上、現 理研 BL ) 、 BL 45 XU (現 共用 BL ) 192 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 7.2023 年発行論文の被引用数トップ 10 SPring- 8 /SACLA 利用関連論文の被引用数トップ 10 ( 2023 ) 調査日: 2025 / 04 / 03 ●備考 * 1 :成果登録 DB に登録された原著論文/博士論文/査読付きプロシーディングで、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用い、ドキュメン トタイプ Article と Review を集計対象論文とした。 * 2 :被引用数確認は、 Clarivate Analytics 社 InCites Benchmarking を用いた。 回数 BL 実験責任者 タイトル 主著者 所属 投稿先ジ ャーナル名 1 140 BL 36 XU - Pd–PdO Nanodomains on Amorphous Ru Metallene Oxide for High-Performance Multifunctional Electrocatalysis Viet-Hung Do Nanyang Technological University Advanced Materials 2 85 BL 40 XU 他 Takuji Hatakeyama Sequential Multiple Borylation Toward an Ultrapure Green Thermally Activated Delayed Fluorescence Material Shigetada Uemura Kyoto University, Kwansei Gakuin University Journal of the American Chemical Society 3 76 BL 2 Junko Yano Structural Evidence for Intermediates during O 2 Formation in Photosystem II Asmit Bhowmick Lawrence Berkeley National Laboratory Nature 3 76 BL 10 XU Katsuya Shimizu 他 Stoichiometric Ternary Superhydride LaBeH 8 as a New Template for High-Temperature Superconductivity at 110 K under 80 GPa Yinggang Song Jilin University Physical Review Letters 5 74 BL 12 XU Nozomu Hiraoka A Tin-Based Tandem Tlectrocatalyst for CO 2 Reduction to Ethanol with 80 % Selectivity Jie Ding Chinese Academy of Sciences, City University of Hong Kong Nature Energy 6 72 BL 47 XU Akira Tsuchiyama 他 A Dehydrated Space-Weathered Skin Cloaking the Hydrated Interior of Ryugu Takaaki Noguchi Kyoto University Nature Astronomy 7 61 BL 01 B 1 他 Seiji Yamazoe 他 Surface-Exposed Silver Nanoclusters inside Molecular Metal Oxide Cavities Kentaro Yonesato The University of Tokyo Nature Chemistry 8 56 BL 3 Gebhard Schertler Ultrafast Structural Changes Direct the First Molecular Events of Vision Thomas Gruhl Paul Scherrer Institute Nature 9 52 BL 01 B 1 Tokuhisa Kawawaki Metal Single-Atom Cocatalyst on Carbon Nitride for the Photocatalytic Hydrogen Evolution Reaction: Effects of Metal Species Yuki Akinaga Tokyo University of Science Advanced Functional Materials 10 49 BL 02 B 2 他 Susumu Kitagawa Fine Pore-Structure Engineering by Ligand Conformational Control of Naphthalene Diimide-Based Semiconducting Porous Coordination Polymers for Efficient Chemiresistive Gas Sensing Ziqian Xue Kyoto University Angewandte Chemie International Edition SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 193 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 SPring-8/SACLA 有償利用料収入の実績 有償利用:成果専有と公開優先 1.SPring-8/SACLA 有償利用(成果専有と公開優先)の実績 1997B 期(供用開始)から 2024B 期までに実施された有償利用にかかる利用料の実績について集計した。 共用ビームライン(共用 BL ) 、専用ビームライン(専用 BL ) 、及び一部共用にビームタイムを供している理 研ビームライン(共用供出理研 BL )において実施された成果専有利用(一般課題、時期指定課題[測定代行 課題及び産業利用準備課題を含む] ) 、成果公開優先利用を対象としている。 SPring-8 については、総累計、 10 年間累計、及び 2024 年度( 1 年間)の実績について、それぞれに総計、共 用 BL 、専用 BL 、及び共用供出理研 BL ごとに集計した。 SACLA については、 2012 年の供用開始から 2024 年までの総累計、及び 2024 年度 ( 1 年間) の実績を集計した。 ● SPring- 8 集計対象 BL 共用 BL ─ 計 26 本及び CryoTEM 2 台 BL 01 B 1 BL 02 B 1 BL 02 B 2 BL 04 B 1 BL 04 B 2 BL 08 W BL 09 XU BL 10 XU BL 13 XU BL 14 B 2 BL 19 B 2 BL 20 XU BL 20 B 2 BL 25 SU BL 27 SU BL 28 B 2 BL 35 XU BL 37 XU BL 39 XU BL 40 XU BL 40 B 2 BL 41 XU BL 43 IR BL 45 XU BL 46 XU BL 47 XU EM 01 CT * 3 EM 02 CT * 2 専用 BL * 1 ─ 計 12 本 BL 08 B 2 BL 11 XU BL 12 XU BL 12 B 2 BL 14 B 1 BL 22 XU BL 23 SU BL 24 XU BL 28 XU BL 31 LEP BL 33 XU BL 44 XU 理研 BL * 2 ─ 計 18 本 BL 03 XU * 2 BL 05 XU BL 07 LSU * 1 BL 15 XU * 1 BL 16 XU * 1 BL 16 B 2 * 1 BL 17 SU BL 19 LXU BL 26 B 1 BL 26 B 2 BL 29 XU BL 32 XU BL 32 B 2 * 1 BL 33 LEP * 1 BL 36 XU * 1 BL 38 B 1 BL 38 B 2 * 2 BL 43 LXU BL 44 B 2 EM 03 CT * 3 EM 04 CT * 3 ●備考 * 1 : BL 32 B 2 は専用 BL に含めた( 2012 / 03 / 29 に設置期間終了) 。 BL 36 XU は専用 BL に含めた( 2020 / 04 / 01 より理研 BL ) 。 BL 15 XU は専用 BL に含め た( 2021 / 10 / 01 より理研 BL ) 。 BL 07 LSU は専用 BL に含めた( 2023 / 04 / 01 より理研 BL ) 。 BL 33 LEP は専用 BL に含めた( 2023 / 04 / 01 より理研 BL ) 。 BL 16 XU 、 BL 16 B 2 は専用 BL に含めた( 2024 / 04 / 01 より理研 BL ) 。 * 2 :理研 BL のうち BL 03 XU 、 BL 38 B 2 は、 2024 B 期時点でビームタイムを共用に供していない。 * 3 : EM 01 CT 、 EM 02 CT は共用 BL 付帯設備、 EM 03 CT 、 EM 04 CT は理研 BL 附帯設備としての取扱い。 調査日: 2025 / 04 / 01 (単位:千円) Spring- 8 1997 - 2024 (総累計) 2015 - 2024 ( 10 年間累計) 2024 ( 1 年間) 有償利用料 収入 うち 成果専有 うち 公開優先 有償利用料 収入 うち 成果専有 うち 公開優先 有償利用料 収入 うち 成果専有 うち 公開優先 総 計 7 , 376 , 507 5 , 954 , 926 1 , 421 , 581 4 , 260 , 877 3 , 321 , 899 938 , 978 645 , 979 499 , 068 146 , 911 共用 BL 5 , 996 , 672 4 , 590 , 517 1 , 406 , 155 3 , 511 , 287 2 , 579 , 760 931 , 527 588 , 262 442 , 530 145 , 732 専用 BL * 1 1 , 110 , 879 1 , 110 , 879 ー 535 , 619 535 , 619 ー 38 , 778 38 , 778 ー 理研 BL * 2 268 , 956 253 , 530 15 , 426 213 , 971 206 , 520 7 , 451 18 , 939 17 , 760 1 , 179 (単位:千円) SACLA 2012 - 2024 (総累計) 2024 ( 1 年間) 有償利用料収入 有償利用料収入 BL 1 - 3 9 , 333 2 , 196 194 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 2.SPring-8/SACLA 有償利用料収入の年次推移 2015 年度から 2024 年度までの SPring-8/SACLA における有償利用料収入の年次推移について集計した。 3.2024 年度の SPring-8 有償利用の状況(シフト数) 2024 年度の SPring-8 有償利用の状況について、ビームライン( BL )ごとにシフト数を集計した。共用 BL は 26 本について全て表示、専用 BL 及び共用供出理研 BL は有償利用実績があった BL のみ表示している。 調査日: 2025 / 04 / 01 ●共用 BL 26 本は全表示。専用 BL 及び共用供出理研 BL は、有償利用実績があった BL のみ表示。 調査日: 2025 / 04 / 01 (単位:億円) 年度 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 SPring- 8 2 . 41 2 . 91 2 . 98 3 . 53 3 . 57 3 . 17 5 . 09 6 . 15 6 . 34 6 . 46 SACLA ー 0 . 04 ー 0 . 02 0 . 02 ー ー ー ー 0 . 02 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 195 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 4.SPring-8 の BL 別の年間有償利用料収入(2024 年度) 2024 年度における SPring-8 の年間有償利用料収入の実績を BL ごとに集計した。 調査日: 2025 / 04 / 01 5.SPring-8 の BL 別の 10 年間累計有償利用料収入(2015−2024 年度) 2015 年度から 2024 年度までの 10 年間における SPring-8 の年間有償利用料収入の累計による実績を BL ごと に集計した。 調査日: 2025 / 04 / 01 196 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 登録施設利用促進機関 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 専用ビームラインにおける評価・審査の結果について SPring-8 専用施設審査委員会において、以下の各専用ビームラインについて 2025 年 2 月及び 6 月に事後評価 及び延長評価を行い、それらの結果を 2025 年 8 月開催の SPring-8 選定委員会に諮り、承認されましたので報 告いたします。 記 事後評価 ·兵庫県ビームライン ( BL24XU,BL08B2 ) (設置者:兵庫県) 事後評価 ·フロンティアソフトマター開発産学連合ビームライン ( BL03XU ) (設置者:フロンティアソフトマター開発ビームライン産学連合体) 延長評価 · JAEA 重元素科学 I 、 II ビームライン ( BL22XU,BL23SU ) (設置者:日本原子力研究開発機構) 詳細は、以下に示す各施設の評価報告書をご覧ください。 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 197 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 兵庫県ビームライン(BL24XU, BL08B2)の 契約期間満了に伴う専用施設事後評価報告書 兵庫県は、 SPring-8 創設間もない 1998 年度より X 線マイクロビームの生成とその応用技術を核と した BL24XU 、さらに 2005 年度より汎用性の高い X 線吸収分光、粉末 X 線回折、単色 X 線トポグラ フィ、イメージングなどの機能を担う BL08B2 の運 用を開始し、企業ユーザーに専用ビームライン独自 の運用体制(フレキシブルなマシンタイム配分、迅 速かつ手厚い利用支援)でそのニーズに合わせた放 射光利用を提供し、放射光の産業利用に貢献して きた。 2015 年 4 月より BL08B2 の第 2 期計画が、ま た 2017 年 11 月より BL24XU の第 3 期計画が開始さ れ、 2021 年 2 月に両ビームライン計画に対する統合 的な中間評価結果が示された。 BL24XU の第 3 期計 画において「放射光を利用したことがない地元中 小企業などを支援」等の新たな方針も示されてお り、中間評価以降もそれに沿って運営を続けてきた が、 2025 年 4 月をもってビームラインの運営を終 了したい旨の申し出があり、 2 月に事後評価が実施 された。評価の対象は BL08B2 の第 2 期計画および BL24XU の第 3 期計画である。結果として、先進的 および汎用性も考慮した機器整備や測定手法の開発、 論文数・成果専有利用料・勉強会の開催数などの成 果指標に対しては十分な成果があったと認められる が、地元中小企業の支援等の観点からは問題の残る 結果であったと結論づけられた。 なお、今回の事後評価の対象外であるものの、評 価委員会では、ビームライン運営終了後の今後の活 動の方向性に対しても意見が出されたので、参考と して付記する。 ◎ BL 08 B 2 第2期計画および BL 24 XU 第3期計画に 対する評価 ビームラインの機器や機能には以下のようなもの が追加されている。〇分光器の液体窒素冷却化と最 適位置への移動、〇検出器 EIGER-1M の導入、〇 多波回折明視野 X 線トポグラフィ法の開発(以上 BL24XU ) 、〇試料自動交換ロボットの整備、〇検 出器 PILATUS-1M の導入、光学系機器自動アライ メント機能の追加、〇金属試料向けの加熱・引張試 験・腐食加速等の機器整備(以上 BL08B2 ) 。また 付随する実験室機器としての HAXPES-Lab の導入 の整備もある。このように、先進的な装置だけでな く、産業利用の裾野拡大を意識したものまでが幅広 く整備され、先端性と汎用性を両立させる取り組み がなされてきた。さらに、実験機器の拡充や高度化 も適切に実施されており、ビームラインと実験ス テーションの構成と性能については、当初計画を達 成できていたと評価された。 代表的な成果として、株式会社コベルコ科研との リチウム二次電池に関する応用研究、マツダ株式会 社と兵庫県立大学との自動車の各部品に関する応用 研究の他、兵庫県手延素麺協同組合に協力した素 麺の解析などが挙げられている。これらの活動の 成果の指標として、 2021 年の中間評価以降、 1 ) 毎 年度 20 報の論文、 2 ) 毎年度 12,000 千円の成果専有 料、のほかに 3 ) 毎年度 12 回以上の講演会、勉強会 開催が目標とされ、 1 ) は概ね達成、 2 ) 3 ) は目標を 大きく上回る成果があげられている。 1 ) について は目標そのものも決して多い数とは言えないが、産 業界からの利用者が多い現状を鑑みると妥当な成果 と考えられる。 2 ) については目標の 1.5 ~ 2 倍の収入、 3 ) については目標の 2 倍以上の開催数を数えている。 人材育成の観点からは、兵庫県立大学大学院生の実 習に利用して放射光人材育成に貢献しているほか、 企業の利用者に対する研修会も行われており、成果 があげられていると判断される。 一方で BL24XU 第 3 期計画における新たな基本方 針が設定されており、兵庫県ビームライン運営会議 の設置、管理運営の委託先として兵庫県立大学から 公益財団法人ひょうご科学技術協会への変更などを 通して放射光未経験ユーザーへの利用支援や新分野 のユーザー獲得などを志向することが謳われている。 とくに県内の中小企業への利用拡大が意識されたと 考えるが、素麺の解析などの事例はあるものの、報 告からは「十分な成果があげられた」とは言い難い 状況と判断された。この点は、目標未達よりもむし ろ目標設定そのもの、すなわち対象とする企業群の 選定やそれら企業からのニーズ把握そのものに問題 があったのではないかとの意見が委員会内で出され 198 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS た。この他にも、上記のような先進的な実験環境の 整備が、中小企業も含めた幅広い潜在利用者のニー ズにマッチしていたかについて、疑問が呈された。 先端技術開発をアカデミアが主導した建設当初の運 営体制は、もう少し早い段階で見直しが必要であっ たのではないかとの意見が出された。また、今回の ビームライン運営終了の主因と考えられる、兵庫県 ビームラインの独自の産業利用に向けた運用体制を 支えてきた利用支援や技術相談を担う人員が十分に 確保できなかった点も残念である。これは、過去の 評価委員会でも指摘されていた、正規雇用研究員の 確保等による安定的な運用体制が実現できなかった ことに起因すると思われるが、できなかった理由に ついて兵庫県から「別途行われる県の本ビームライ ン運用に関わる事業計画の見直しに対応するため、 長期的な雇用の実現は難しかった」とコメントが あった。共用ビームラインとは異なる独自の運用体 制で放射光利用を提供できる点は専用ビームライン の強みであるが、その運用体制を放射光施設運用を 専門としない団体がいかに維持するかについては専 用ビームラインに共通する課題かと思われる。安全 確保の取り組みについては、これまでに重篤な事故 も無く、過去に問題が指摘された部分については改 善されており、適切であったと判定された。 今後兵庫県においては、ビームラインの運営その ものは理化学研究所にその任を移管し、利用者の立 場から産業利用を含めた放射光利用の活動を継続 されるとのことであり、本事後評価に至っている。 BL08B2 の第 2 期および BL24XU の第 3 期の活動に ついては、成果指標とされている論文数、成果専有 使用料等の面においては妥当な成果があり、また講 習会等を通じた人材育成の面でも十分な成果があっ たと評価できる。しかし一方で、新たな利用ニーズ の掘り起こし、中小企業者・地場産業への貢献等の 面では多くの課題の残る結果であったと評価される。 ◎ 活動方針に対するコメント 評価委員会では兵庫県の活動方針に対して委員か ら多くの意見が出された。中には今後の方針に関す るもので、本委員会の責務を超えるものもあったが、 参考のためそういった意見も含めて本報告書に記し ておきたい。 BL24XU は先進的なマイクロビーム利用技術を 有することで広く知られていた。今期の報告におい ても、多波回折明視野 X 線トポグラフィ法、金属材 料のその場測定技術、 X 線タイコグラフィ法などの 技術開発が報告されている。これらを産業応用に資 するためには、これらが駆使できる技術力を有する 企業の選定、それが有用に活用できる技術課題の探 索など非常な労力が必要である。一方で新たな活動 方針として未利用者からのニーズの掘り起こしや中 小企業・地場産業への貢献などが目標とされており、 これらに必要な労力は前記とずいぶん方向性が異な る。前述の通り、人員の確保の問題は、以前の評価 委員会からも指摘を受けており、この保有技術と目 標との乖離によってこの問題がますます顕著になっ たと考えられる。 今期の活動報告には、前述の人材育成や、マテリ アルインフォーマティクスに関する数多くの講習会 など、現在兵庫県が有している先進技術を多くの機 関が活用するための地固めの活動が地道に行われて いることが記されている。しかしながら上記の乖離 を埋めるための量的、質的な人材の確保は容易では なかったと想像される。今後は、どこか他の機関と 共同で役割分担のようなことを考えることも可能性 としてあるのではないかと考える。 BL24XU の活動開始以来、兵庫県は非常に高い放 射光活用技術を開発し、活用して来られた。今後も そのような技術が活かされる形での活動の継続を期 待するものである。 以 上 フロンティアソフトマター開発産学連合ビームライン (BL03XU) の運営終了に伴う事後評価報告書 フロンティアソフトマター開発産学連合ビームラ イン( BL03XU ) (以下、本ビームライン)は、学 術と企業の研究者が SPring-8 の高度な光源性能を駆 使してソフトマター(高分子材料)新素材の「もの づくり」を進めるという理念により、 2008 年に発 足したソフトマター製造企業と大学の対からなる SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 199 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 研究グループで構成されるフロンティアソフトマ ター開発専用ビームライン産学連合体により建設さ れ 2010 年から本格的に運用が開始された。同産学 連合体は基本的に、先端放射光計測技術を用いたソ フトマター分野の「ものづくり」の共通課題解決に、 企業が大学と 1 対 1 のペアの研究グループ単位で活 動する産学連携体制で取り組むことを目的とした共 同体であり、企業単独で運営している専用ビームラ インと比較すると学術寄りの部分を担っている特色 がある。 19 研究グループで構成される体制でスタートし た第一期( 2009 年 9 月~ 2019 年 9 月)の後、第二期 ( 2019 年 9 月~ 2025 年 3 月)では 15 研究グループの 体制で運用された。この第二期は本来 2025 年 9 月 までであったが、期中の 2025 年 3 月までで専用施 設としてのビームラインの利用を終了する旨申し出 があった。これに基づき 2025 年 6 月 30 日に第二期 の事後評価を行った。 第一期で掲げられ、遂行された研究目標の高分子 材料の動的、極小・局所領域の構造と物性の相関解 析、変形機構・整形加工過程の解明について、第二 期ではその更なる成果拡大のためにこれら研究活動 における計測のハイスループット化、データ活用促 進が目標として掲げられた。その結果として、各種 実験の調整作業の効率化・自動化が実現され、ビー ムタイムの有効活用化、省力化が達成された。これ により、データ取得の大幅なハイスループット化は 図られたが、データ解析のハイスループット化や ビッグデータへの対応等のデータ活用促進には遅れ が見られた。そのため、データ取得のハイスルー プット化の恩恵を論文等の成果拡大に有効に活かし きれていないと思われる。しかしながら、 「学」が 牽引する先端的な計測技術開発を「産」が提示する ソフトマターの多様な「ものづくり」の課題に結び つけ、幅広い応用成果を創出したことは、特定の材 料分野に目的を特化して産学連携体制で活用すると いう世界に類を見ない形態で運用された本ビームラ インであればこそ成し得た成果であると言える。こ のような産業応用への大型研究施設の活用形態のモ デルケースを示せたことは高く評価できる。 以下、項目ごとの評価結果の詳細を記載する。 1 . 「 BL とステーションの構成と性能」に対する評価 本ビームラインは薄膜解析用の斜入射小角・広角 X 線散乱 ( GISAXS/WAXS ) 装置、 X 線反射率 ( XRR ) 測定装置を整備した第 1 実験ハッチと、幅広い q レ ンジに対応でき大型の高分子製造装置も試料部分 に設置できる WAXS 、 SAXS 装置を整備した第 2 実 験ハッチにより構成されている。第二期では第 1 実 験ハッチの GISAXS/WAXS 、 XRR の利用が減少し たことを受け、ハイスループット化の一環として、 ハッチ切り替えに要するビームライン調整時間の削 減のため、 XRR は閉鎖、 GISAXS/WAXS は第 2 ハッ チでの実施に統合し、第 1 ハッチは利用ニーズが高 まった超小角 X 線散乱( USAXS )の実験環境整備 で要求される入射側スリット系のスリット間距離を 確保するために利用された。第 2 ハッチの SAXS 装 置ではカメラ長変更の自動化、試料周りレイアウト、 マイクロビーム光学系調整の省力化が実現され、結 果として実験レイアウト変更・調整に要する時間の 約 300 時間程度削減というハイスループット化に成 功している。このような分析ニーズの変化に合わせ て最適化した効率的な実験実施環境を柔軟に構築で きたのは、測定技術ではなく分析対象とする材料分 野に特化した専用ビームラインというコンセプトが 効果的であったと評価できる。また、実験手法と しては各種散乱実験に加えて CT や XPCS 計測が整 備され、ダイナミクスを含めたソフトマターの構造、 物性研究を推進可能な実験環境が整えられた。 2 . 「施設運用及び利用体制」に対する評価 第一期終了時の利用状況評価では、安全管理や成 果管理において一体性や主体性を欠いている点が見 られるという指摘がなされていた。まず安全管理に ついては、実験における安全確認、あるいは安全教 育の一部が連合体を構成する機関ごとに行われてい るため、連合体としてこれらの安全管理が十分に行 われているかどうか把握されていない、という指摘 に対して、第一期から設置されている安全委員会に よる管理体制が見直され、定期安全点検実施等の活 動結果の情報は運営委員会での報告により連合体全 体で共有するとともに JASRI の利用推進部、安全衛 生委員会とも共有するなど改善が図られていた。ま 200 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS た第二期に発生したコロナ禍に対しても適切な安全 対策が図られ、ハイスループット化による実験自動 化で実現可能になったメールインサービス運用の導 入によってビームライン利用を維持するなどの対策 がなされた。 次に成果管理については、各グループに任されて いる部分が多く、各実験課題における成果非専有/ 専有利用の基準が不透明であり、一体的な取り組み に欠けている、という指摘がされたが、第二期では 連合体内に設置された広報委員会により本ビームラ インの研究成果の取り扱いの管理、広報・啓蒙活動 を行う体制に改善されている。 3 . 「利用成果」に対する評価 第一期に引き続いて年間約 20 報の学術論文発表 のペースが維持できている(第二期計 116 報) 。し かし、特許に関しては第一期の 183 件に対し 29 件 と減少している。この原因として、ソフトマターへ の放射光 SAXS 応用が汎用化し、企業の事業におけ る本ビームライン利用の位置付けが特許の基本デー タ取得目的よりも製品の品質管理・改良のための分 析手法へとシフトしたことによるのではないかと報 告の中で分析している。また、論文発表のペースの 維持は評価されるべきではあるが、第二期で実現し た実験のハイスループット化によるデータ取得効率 向上を考えると、論文数の更なる拡大が期待される。 それが実現していない理由としては、第二期で掲げ ていたもう一つの目標であるデータ活用促進の遅れ によるものと考えられ、この点が惜しまれる。 しかしながら、本ビームラインの最大の特徴で ある産学連携体制により、 「学」によって牽引され た XPCS 、異常分散 X 線小角散乱、超小角 X 線散 乱、 SAXS-CT などの先端計測技術の開発を応用して、 モビリティー(タイヤゴム等) 、ライフサイエンス、 環境、エネルギーといった「ものづくり」の課題解 決に向けた多様な産業応用研究成果が創出されたこ とは評価に値する。 また、このような研究成果だけでなく、ワーク ショップや講習会など教育を目的とした活動にも連 合体として取り組まれており、参画機関の大学から 企業への学生の就職に結びつくなど、ソフトマター 分野の人材育成にも貢献している。 4 .総合評価 以上のように、産学連携体制でソフトマター分野 の材料開発研究に取り組むことに目的を特化した ビームラインとして、本分野の多様な研究成果創出 したことは評価に値する。今後はビームラインを理 化学研究所に返還し、ビームラインを持たない研究 共同体として活動を継続されるとのことであるが、 ソフトマター材料開発の共通課題に取り組む産学連 携連合体として更なる発展を期待したい。今後の連 合体の組織改変として、これまで企業・大学が 1 対 1 で研究グループを構成していたのに対し、このペ アの垣根をなくしてテーマ、解析手法でグループを 構成することが可能な体制も検討されているとのこ とであるが、これによって、より多様な研究成果が 創出されることを期待する。惜しむらくは第二期に 実現したハイスループット化をデータ活用促進の遅 れによって活かしきれなかったことであるが、デー タ活用を促進するにはその道の専門家と協力するこ とが重要であると思われるので、今後の活動におい てはデータ科学分野の研究者もメンバーに加えるこ とを検討されるのが良いかと考える。 以 上 JAEA 重元素科学 I、II ビームライン(BL22XU, BL23SU)延長評価報告書 2025 年 6 月 30 日に開催された第 43 回専用施設審 査委員会にて、日本原子力研究開発機構( JAEA ) が設置した重元素科学 I ビームライン( BL22XU ) 及び重元素科学 II ビームライン( BL23SU )の延長 計画に対する審査を行った。審査では、利用状況等 報告書、延長理由・延長計画書、及び口頭による報 告にもとづき、ビームライン( BL )とステーショ ンの構成と性能、施設運用及び利用体制、利用成果、 及び延長理由・延長計画の各項目について評価を 行った。その結果、第 2 期の施設運営が中間評価以 降に大きく改善され、延長計画も妥当であることか ら、 2025 年 10 月 1 日の設置期間満了より 5 年間の SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 201 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 延長が承認された。 以下、項目毎の評価結果の詳細を記載する。 1 . BL とステーションの構成と性能 前回の中間評価での指摘に真摯に対応して実験ス テーションの構成と性能を大きく改善し、 JAEA の ミッションに直結した研究に資源を集中したことが 高く評価された。特に高評価であったのは、 RI 実 験棟での核燃料物質使用の体制を整え、福島第一原 子力発電所からの燃料デブリの分析実験を実現した 点である。既に相当なビームタイムを割当てて実験 が行われているようであり、社会的にもインパクト のある成果が期待できる。他にも JAEA のミッショ ンに合致した研究開発が重点化項目として設定さ れ、それらに合わせたステーション整備が進められ ている。また、 BL22XU に設置されていた量子科 学技術研究開発機構( QST )所有の装置の移設も進 み、 JAEA の重点化項目に集中できる環境が整いつ つある。以上のように多くの点で改善が進んだもの の、 BL23SU の上流側アンジュレーターの故障が深 刻な問題として残っており、早期の解決が望まれる。 2 .施設運用及び利用体制 この評価項目についても中間評価での指摘に適切 に対応していることが認められ、問題のない運用 及び利用体制と判定された。施設運用については、 JAEA のミッションにもとづく目標を明確に定め、 福島第一原子力発電所廃炉に貢献する研究を集中的 に実施するなど、 JAEA の特徴を活かした研究活動 を重点化していることが高く評価された。利用体制 についても評価は高く、 4 つのチームからなる 1 グ ループ体制に研究及び技術系組織が改編され、柔軟 かつ集中的に重点課題に取り組むための体制となっ ている。また、ミッションにもとづく研究活動とそ の他の研究開発の位置付けを明確化し、それぞれの 位置付けに応じて外部資金も取り入れながら運用さ れており、合理的な体制が構築されている。安全管 理についても、 RI 実験棟で核燃料物質を使用する ための体制が整えられ、問題ないと判定された。 3 .研究課題、内容、成果 JAEA 専用ビームラインでは、福島第一原子力発 電所の燃料デブリ分析、アクチノイド基礎科学、環 境・エネルギー材料に関する研究が重点化され、 RI 実験棟を活用した独自性ある成果が挙げられている。 特に、燃料デブリに対する世界初の放射光分析は、 JAEA ならではの成果として高く評価された。前回 の中間評価を受けて、組織改変とともに研究課題の 選定が進み、研究の方向性がより明確になったこと も評価でき、研究チームの役割分担と重点化された 研究体制により、成果の質と一貫性が向上した点は 注目に値する。一方で、新材料開発など一部の研究 テーマでは、 JAEA の専用施設で実施する必然性や ミッションとの関係をより明確にされることが望ま れる。また、 BL23SU の装置故障等による制約も研 究の展開に一定の影響を与えており、継続的な整備 が求められる。総じて、社会的意義と技術的先進性 を備えた研究が進展しており、今後も専用施設とし ての特色をより明確にして、戦略的に成果を発信し ていくことを期待する。 4 .今後の計画 今後の計画では、原子力と再生可能エネルギーの 融合、廃炉支援、資源循環など JAEA のミッション に即した研究課題に注力し、 RI 実験棟を中核とする 体制のもとで継続的な利用と成果創出が目指されて いる。 SPring-8-II への対応として、装置群の整備方 針や実施体制が提示されており、妥当な延長理由と 計画であると評価された。外部施設との連携活用や 柔軟な研究展開も視野に入れており、 長期的なビジョ ンを持つ計画である点も評価ポイントとなっている。 また、組織体制の整備により研究の推進体制が改善 されつつあることも確認された。一方で、継続的な 装置整備や予算確保、専用ビームラインとしての研 究課題の選別と差別化は今後も検討事項として残る。 特に、 BL23SU の光源修復計画の明確化が求められる。 前回の中間評価で指摘を受けて改善された研究計画 は、全体として独自性が認められるものであり、戦 略的な運営と明確なビジョンのもと、実験ステーショ ンの高度化と成果の継続的創出が期待される。 以 上 202 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 SPring-8/SACLA/NanoTerasu COMMUNICATIONS 登録施設利用促進機関 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用推進部 専用施設の設置計画趣意書承認について 2025 年度に新たに提案があった以下の専用施設設置計画について、設置計画趣意書の審査を行った結果、 設置計画の趣意が認められました。 ビームライン名称:水素エネルギーマテリアル・マルチモーダル計測ビームライン(仮) 提案者:京都大学 今井 英人 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 203 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 通信 204 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information /Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 ANN06NCEMENTS 【ご案内】 SPring-8/SACLA/NanoTerasu では、 2026A 期における利用課題の募集を下記のとおり予定しております。 募集対象の課題種や申請時の注意事項等の詳細につきましては、下記 HP に記載の各施設の案内よりご確認 ください。 記 【問合せ先】 (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 共用推進課 TEL : 0791-58-0961 SPring- 8 e-mail : sp8jasri@spring8.or.jp SACLA e-mail : sacla.jasri@spring8.or.jp NanoTerasu e-mail : ntjasri@jasri.jp 今後の課題募集一覧 登録施設利用促進機関 公益財団法人高輝度光科学研究センター 施設名 課題名 応募締切 SPring- 8 大学院生提案型課題(長期型) 2025 年 11 月上旬 成果公開優先利用課題、成果専有課題、測定代行課題(定期募集) 2025 年 11 月中旬 一般課題、大学院生提案型課題 2025 年 12 月上旬 【 URL 】 https://user.spring8.or.jp/?p=22799 ( 10 月上旬頃公開予定) SACLA 一般課題(成果非専有利用、成果専有利用とも) 2025 年 11 月上旬 試験利用 【 URL 】 https://sacla.xfel.jp/?p=10944 ( 9 月下旬頃公開予定) NanoTerasu 共用ビームライン 一般課題(成果非専有利用) 2025 年 11 月中旬 コアリションビームライン 一般課題(成果非専有利用) 高度化研究開発課題(成果非専有利用) 【 URL 】 https://user.nanoterasu.jp/project-apply/52/#i-5 ( 10 月上旬頃公開予定) SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報/Vol.1 No.2 (2025 年 9月号) 205 告 知 ൘ 【ご案内】 SPring-8/SACLA/NanoTerasu では、下記のとおりイベント開催を予定しております。 詳細につきましては、下記 HP に記載の各施設の案内よりご確認ください。 記 SPring- 8 /SACLA URL ▶ http://www.spring8.or.jp/ja/science/meetings/ NanoTerasu URL ▶ https://www.jasri.jp/organization/organization-research-section/ntpromotion/ntevent/ 【問合せ先】 SPring- 8 / SACLA (公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課 TEL : 0791-58-2785 e-mail : jasri-event@spring8.or.jp NanoTerasu (公財)高輝度光科学研究センター ナノテラス事業推進室 研究業務課 e-mail : jasri-ntevent@jasri.jp 今後のイベント一覧 登録施設利用促進機関 公益財団法人高輝度光科学研究センター SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information Vol.1 No.2 SEPTEMBER 2025 発行日 2025 年 9 月 17 日 編 集 SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報編集委員会 発行所 公益財団法人高輝度光科学研究センター TEL 0791-58-0961 (禁無断転載) SPring-8/SACLA/NanoTerasu 利用者情報 編集委員会 委員長 池本 夕佳 利用推進部 委 員 朝倉 博行 特定放射光施設ユーザー協同体( SpRUC ) 編集幹事(近畿大学) 伊藤 華苗 産学総合支援室 大野 花菜 利用推進部 大和田成起 XFEL 利用研究推進室 河村 高志 回折・散乱推進室 桑田 金佳 研究 DX 推進室 坂尻佐和子 企画人財部 下野 聖矢 回折・散乱推進室 竹内 晃久 分光・イメージング推進室 成山 展照 ビームライン光学技術推進室 平山 明香 利用推進部 深見 健司 加速器部門 福井 宏之 精密分光推進室 本間 徹生 ナノテラス事業推進室 増永 啓康 回折・散乱推進室 (以上、敬称略五十音順) 事務局 岡澤 貴裕 利用推進部 松末恵理子 利用推進部 安藤 詩音 利用推進部 SPring-8/SACLA/NanoTerasu Information SPring-8 SACLA NanoTerasu JASRI 公益財団法人 高輝度光科学研究センター Japan Synchrotron Radiation Research Institute 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1 【研究支援部】TEL 0791-58-0950 【利用推進部】TEL 0791-58-0961 e-mail : ssn-info@jasri.jp website : https://ssn-info.jasri.jp/ 発行元